本当に優秀な“天才”しか採らない…Z世代経営者が紡ぐ「新時代の人材戦略」
Z世代起業家の今瀧健登氏が経営する「僕と私と株式会社」は、創業以来フルリモートワークを導入し、独自の働き方を実践している。メンバーの多くはZ世代であり、なかには自ら会社を経営しながら参画しているメンバーも少なくない。
また、「数字が標準語」「午前中はミーティング禁止」「サウナ採用」など、成果の最大化と働きやすさを追求したユニークな行動指針や社内制度も設けている。
今瀧氏が考える、これからの時代に求められる本質的な仕事のあり方について迫っていく——。
曜日を気にせず仕事に没頭できる社内文化の醸成

── 働き方は完全フルリモートと聞きました。
会社を作ったのはコロナ禍で、最初からフルリモートでの働き方を前提に設立しました。私は3か月に一度海外に行くのですが、そのうちの1回がこの写真にあるスイスです。スイスは初めて行きましたが、電車には基本的に机とコンセントがあって、景色の美しい湖や山々を眺めながらワーケーションできるのがとてもよかったですね。会社のメンバーが海外に住んでいることもあり、現地で集合して仕事をしながらコミュニケーションをとるようにしています。
会社主催で全員が集まる場合は交通費や食事代含めて会社が負担します。任意参加で、海外で集まる場合は宿泊費と食事代は会社が負担し、交通費は自費なのですが、以前韓国に行ったときは近場だったこともあり、多くのメンバーが参加しました。
── メンバーの福利厚生とかはどのようなものが用意されていますか?
ビジネス書は基本的に全て会社負担で利用できる「ビジネス書買い放題」や、店舗として運営しているバーやパーソナルジム、マーラータン屋さんなどはメンバー特典として利用可能です。
また「朝活制度」というユニークなものもあって、朝8時半までにカフェで仕事をすると、カフェ代は会社が負担する仕組みになっています。やはりフルリモートだと夜型になりやすく、健康に影響が出やすいので、朝の活動を推奨して体調管理をサポートしているんです。
また、健康面はメンタル部分も重視しており、会社では午前中にミーティングを入れない方針を採用しています。これは私が会社員時代に朝のアラームで常に緊張した状態で目覚めてしまい、睡眠が十分に取れなかったのが原体験としてあり、仕組み化したものです。満員電車に乗りたくないのも、フルリモートにしている理由の一つです。
大学生の頃のように、曜日を気にせず楽しむ感覚を、社会人になっても維持できるようにしたい。そうした思いから始めた取り組みでしたが、結果として仕事とプライベートの両立ができる文化が根付いています。
ユニークな採用手法と「人間性」を大切にする人材戦略
── 「僕と私と」では、ユニークな採用をしていると伺いました。
例えば、「サウナ採用」という取り組みがあります。社長の僕と一緒にプライベートサウナに行き、カジュアルに交流する面談のようなものです。サウナに入ってリラックスした状態で雑談しながら、会社や人となりに触れてもらい、お互いの興味や相性が合えば、あらためて正式な面談に進むという流れです。
また、社内の雰囲気や人間関係を感じてもらえる「花見新歓」というイベントも開催しています。給与や福利厚生などは調べればわかりますが、日常のコミュニケーションの空気感は伝わりにくいので、会社のリアルな雰囲気を体感してもらうための取り組みとして実施しています。
── 雑談の中で、PDCAを回せる人や数字を見られる人を見分けることができるのでしょうか?
もちろんサウナや花見だけで全部を把握するのは難しいかもしれませんが、天才と呼べる人は「気遣い」と「認識力」を併せ持っていることが多いんですね。
例えば、花見でブルーシートを敷く場面を考えます。荷物やペットボトルはどこに置くか、地面に石がないかの確認など、先読みできる人は自分から動けるということです。こうした行動ができるかどうかで、その人のPDCAを回す力や地頭のよさも意外と見えてきたりします。
── このような発想はどのように身につけたのでしょうか?
僕の場合、本で学んだことや自分が尊敬する人の考え方を組み合わせたりと、新しい発想は「掛け算」で作っていくことが多いですね。それ以外には、飲み会や交流の場で学ぶこともあります。
マーケティングに関して言えば、西口一希さんという有名なマーケターの方がいて、その人の働き方や考え方、人柄の良さはすごく参考になっています。
あとはプライベートの面では、父親が一番の参考になっています。父親は新卒でずっと同じ会社の総務に勤めていたので、今の起業に繋がるようなことは全くなかったんですが、人としての生き方や振る舞いの面ですごく影響を受けました。
例えば、母が外出しているときに昼ご飯を準備するために前日からカレーを仕込んだりしていて、その手際の良さやこだわりを見て感心したり、仕事を一生懸命やっているのに決して自慢しないところもすごく印象的でした。そういう日常のさりげない姿勢や行動から、父親の生き方を尊敬することが多かったように思います。
── そういう感覚を研ぎ澄ますためには、普段の生活の中でいろんなことを経験するのが良さそうですね。
そうですね。あとはシンプルに“いい奴”であるかどうかは非常に大事です。基本的に経済の本質は、「お金を誰かの幸せに変えること」にあると考えていて、マーケティングはいかにお金を最大化しつつ、根拠に基づいて再現性のある形で価値を届けるかがポイントだと思っています。
僕の言う“いい奴”は、常に頭を働かせて、「どうすれば相手が幸せになるか」を考えられる人のこと。これはマーケティングでも商品開発でも何でも言えることで、根本的に“いい奴”であれば、ビジネスが成功する可能性が高くなります。
スキルやノウハウは後天的に学べますし、交渉力や仕組みもマニュアルで補えますが、後から“いい奴”に変えるのは難易度高く、時間もかかってしまう。なので最終的には性格や人間性の良い人が、ビジネスでも得をするというのが僕の考えです。
学ぶより真似べ。自立性と成果最大化を重視した働き方

── 会社の採用方針について教えてください。
採用方針としては「本当に優秀な“天才”しか採らない」を徹底していて、基本的に会社でも人材教育は行っていません。“学ぶより真似べ”とよく伝えているのですが、「教わるものではなく、自分から取りにいくもの」という教育スタンスにしています。学びたい人が自発的にチャレンジしたり、誰かに付いていったりすることは歓迎しますが、受け身の姿勢になった瞬間にこの環境では合わなくなるんですよ。
なので、採用基準はかなり高く設定しています。
フルリモートで継続的に成果を出すには自律性が不可欠で、長時間働いたぶんだけ評価するのではなく、ひとつのタスクにおいて「どれだけ高い成果を出せるか・効率的に完了できるか」を重視した働き方をしていますね。
── 具体的にどういう人を天才と呼んでいるのでしょうか?
会社では12個の行動指針を定めていて、そのすべてをきちんと実践できているかどうかを「天才」の条件の一つにしています。例えば、「数字が標準語」という価値観がありまして、「今日やります」といった表現は絶対NGなんですよ。というのも、「今日」と言われても相手は何時なのかわかりませんし、「いつ成果物が上がってくるか読めない」という状態が、相手の集中力を削いでしまうからです。
そのため、「19時に完了します」といったように、必ず数字で伝えることを重視しています。今日とかすぐといった曖昧な表現は、人によって解釈が異なります。具体的な数字や期限で明示しない限り、必ず認識のズレが生じてしまうんですね。
このような行動指針が12個あり、それらを自然に守れている人を「天才」と定義しています。
── 一緒に働きたい、成長したいと感じるのはどんな特徴のある人ですか?
基本的には、自分で考えてPDCAを回し続けられるかは重要ですし、一緒にご飯に行きたいと思える人かどうかも大事ですね。行動指針の一つに「最速で最高を目指す」を掲げていて、1週間後の納品でも、それを当日中に終わらせたり、1時間の作業を前倒しでこなしたりする人は全然違います。つまり、PDCAを回してすぐに改善できるかどうかが肝になるということです。
加えて、独立志向の高い人材が集まっているのも当社の大きな特徴です。現在も約20名ほどのメンバーが自分の会社を持っていて、当社に在籍しながら起業家としても活動しているんですよ。
まさに経営者視点を持ったプロフェッショナルな人たちが集まり、互いに刺激し合いながら自律的に組織を成長させていく集団になっています。
自分のために生きるなら、他人を幸せにした方がいい
── 最後に次世代を背負うZ世代に向けて、“いい奴”になるためのアドバイスがあればお聞かせください。
僕自身、高校生の頃はかなり短気で、“いい奴”とは程遠かったんですね。でも大学に入ってから“いい奴”になろうと意識し、努力を続けたら、視野が広がって人生がすごくハッピーになったんですよね。もともとネガティブ思考だった自分も、ポジティブなマインドに変えることでストレスが減り、人間関係も良くなりました。
つまり、ある程度の努力で“いい奴”になることができるわけです。1日に人の良いところを3つ褒める、誰かにプレゼントをあげるなど、ちょっとしたことを続けてみる。こうした行動を積み重ねることで、自分自身の成長にもつながるし、人とのつながりも強くなります。
利己と利他のバランスで考えれば、自分のために生きるなら、他人を幸せにした方が自分も幸せになれるということですね。
そのため、まずは小さなことでもいいので、「他人を幸せにする」ことを意識しながら行動してみてはいかがでしょうか。
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Future Leaders Hub編集部