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2026.02.10 17:02

「若いときに過酷な会社でがっつり仕事をしたい」労務管理のプロが語る“自分の限界”を知ることの重要性


「もし、あなたが今の知識や経験を持ったまま学生時代に戻れるとしたら、どんな働き方を選びますか?」

多くの人が、より楽な道や安定した環境を思い描くかもしれません。しかし、株式会社LM&C代表取締役であり、宮子労務管理事務所を率いる宮子智子氏は、この問いに迷いなくこう答えます。

「今だったらあえて、過酷な会社でがっつり仕事をしたいなと思います」

労務管理のプロフェッショナルとして、数々の企業の課題解決に尽力してきた宮子氏。その言葉の裏には、自身の経験に裏打ちされた、キャリアを切り拓くための確固たる哲学がありました。

なぜあえて「過酷」な環境に身を置くべきだと考えるのか。若者たちが未来のリーダーとなるために必要な視点とは何か。宮子氏の情熱的な言葉からその哲学に迫ります。


自分の限界を知っておくと、その後が楽

宮子氏がもし今、学生として就職活動をするならば、かつての自分とはまったく違う選択をすると言います。

「学生のときって、あまり過酷じゃない、大変じゃないと思えるところを希望していました。でも今だったら、あえて過酷な会社を選びます」

その真意は、若いうちに「自分の限界を知る」ことの重要性にありました。

「お客さまの会社を見ていても思うのですが、若い時に一旦、仕事も時間も限界まで行くと、その後が非常にラクなんですよ。どこまで集中力を持って働けるか、どこまで頑張れるかという自分の限界を若いうちに知っておくと、その後の伸びしろがどんどん広がるんです。逆に若い時に大事にされすぎると、中堅になった時に頑張れなくなってしまう」

宮子氏自身も、これまで幾度となく自らの限界と向き合ってきました。時間的な限界で言えば徹夜もこなし、仕事の量で言えば10個ほどのプロジェクトを同時に動かした経験もあると言います。

「『もう無理』というところがわかっていると、そこまでは頑張れる。自分のキャパを知ることは、ビジネスをする上で非常に便利です」と、その意義を語りました。

「こんな面白い世界があるんだ」と知るのが面白かった

宮子氏の価値観の根底には、20代の頃に熱中した「多くの人と会う」という経験があります。

「学生時代は放送研究会でDJをしたり、他校の学生とフェスを企画したり。社会人になってからも、さまざまなコミュニティに顔を出していました。今、付き合っている周りの友人たちとは違うエリアに行き、違う人たちと会う。そうすると、『こんなこと考える人がいるんだ』『こんなことやっている人がいるんだ』と、自分の受け入れキャパが広がるんです」

自分とは異なる価値観に触れることで、物事を多角的に捉えられるようになる。キャパシティが狭いと、理解できない人を遠ざけてしまい、人生のチャンスを失いかねません。

「こんな面白い人たちがいるんだ、面白い世界があるんだと知ると、もっと知りたくなる。それがただただ面白かったんです」

みんながウィンウィンになったときが一番楽しい

仕事の「楽しさ」とは何でしょうか。宮子氏にとって、それは単なる賑やかさや明るさとは一線を画します。初めて仕事が楽しいと思えた瞬間は、ある工場の閉鎖に立ち会ったときのことでした。

「罵倒も受けながら、従業員の方々と合意を取り付け、きちんと事を収めたんです。その時、社長に『宮子さんについてもらってよかった』と言われた時に、初めてこの仕事をしていてよかったと思いました」。

状況は決して楽しいものではありません。しかし、入念な準備とストーリー設計の末に、困難な課題を乗り越え、依頼主も自分も納得できる結果を出す。その瞬間に得られる「充実感」こそが、仕事の醍醐味だと宮子氏は語ります。

「自分たちでストーリーを組んで想定をして、その通りにきちっと収まり、みんながウィンウィンになった時が一番楽しいですね」

過酷な状況から逃げずにやり遂げた先にこそ、真の喜びと成長がある。その信念が、宮子氏を突き動かす原動力となっているのです。

新入社員時代の自分に言うなら「今苦労しときなさい」

これまでの経験を踏まえ、宮子氏は「新入社員時代の自分にアドバイスするなら?」という問いに、「おばさん臭いですけど、『今苦労しときなさい』って言いたいですね」と即答しました。

「年を取ってから苦労するのって、本当に厳しいんですよ。若い時にやっておけば、年を取った時にやらなくて済むことっていっぱいあるんです。仕事もプライベートも、『嫌だな』と思うことも含めて、今のうちに取り組んでおくことが、結果的に未来の自分を楽にするって感じています」

さまざまな経験を重ねてきた宮子氏は今、どんな若者と一緒に働きたいと考えているのでしょうか。その答えは、実にユニークなものでした。

「尖った人、ですね。今の20代は、小さい頃から競争しなくていいと言われ、牙を抜かれてしまっている感じがします。その中で、あえて尖れる人というのは素晴らしいし、チャンスも多いはずです」

年齢を重ね、落ち着いてしまいがちな自分自身にとって、若者の尖った感性は刺激になると言います。

「『そういう見方があるのか』とか、『こういう格好が世の中に許されているんだ』とか。刺激を受けると脳が活性化して、若返るじゃないですか」

トラブルを未然に防ぐために大切なこと

労務管理のプロとして、企業のさまざまなトラブルと向き合ってきた宮子氏。その仕事の根幹には、独自の哲学があります。トラブルを未然に防ぐための体制作りで最も大切なのは、「性悪説で物事を見ること」だと言います。

「私たちは外部の人間なので、社員さんを性悪説で見ます。事故は起こるものとして見て、普通に見えているものにも裏があるんじゃないかと疑う。すごい性格の悪い話ですが、その視点で予防をするのが一番です」

性善説に立つ経営者とは異なる視点を持つことで、リスクの芽を早期に摘み取る。それがプロの役割。そして、万が一トラブルが起こってしまった後に最も重要なのは、「スピード」です。

「人が絡む問題は、いつどう動くかわかりません。どこかに訴えに行ったり、労災で命に関わる事故が起きたりすることもある。だから、とにかくスピードとコミュニケーションがすべてです。現状を素早く把握し、即座に判断を下す。行動のスピードと判断のスピード。その両輪が事態の悪化を防ぐ鍵となるはずです」

目の前の事実と関係者にとって何が最善かを常に考え、柔軟な発想で解決策を導き出す。その広い視点こそが、多くの経営者から信頼されるゆえんなのかもしれません。


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