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2025.10.31 14:50

Luup岡井社長「キャリア形成は筋トレと同じ」 若いうちに圧倒的な量をこなして成長したいなら、自ら高い負荷を選ぶ覚悟を


社会がどんなに変化しようと、「優秀な人」の本質は変わらない。本気で成長したいなら、自ら挑戦できる環境に飛び込んでいく覚悟が必要だ——。

マイクロモビリティのシェアリングサービス「LUUP」を率いる代表取締役CEOの岡井大輝社長は、「キャリア形成は“筋トレ”と同じ」と話す。

ワークライフバランスが浸透し、働きやすさが問われるようになった今、キャリアアップを目指すなら、あえて負荷をかけて“自分を追い込む”ことも大事になってくる。

「もっと学生のころは真剣に生きておけばよかった」と語る岡井社長だが、当時から成長志向と当事者意識を根底にした“キャリア観”は変わっていないという。

キャリア形成は「筋トレ」と似ている

── 自分が今、学生だったらどんな働き方を選ぶと思いますか?

もし7〜8年前に戻れたとしても、おそらく同じ道を選んでいたと思います。ただ、今の時代に学生だったらどうしていたかはわかりません。今は環境も価値観も大きく変わっていて、新卒でコンサル業界に進む人たちに求められる役割も、当時とはかなり違ってきていると思います。

もし今の時代に会社で働くなら「優秀な先輩がいて、自分が本気で働ける環境かどうか」を一番重視しますね。

今の時代、多くの企業では働き方のバランスや制度の整備が優先されていて、一定以上の残業が制限されるなど、“頑張りすぎない”環境が一般化してきています。もちろん、それは社会全体にとって大切な流れではあるのですが、若いうちに圧倒的な量をこなして成長したい人にとっては挑戦しづらいだろうなと感じていて。

やはり本気で仕事を頑張りたい人にとっては、自分でそういう環境を探しにいく覚悟が大事になるでしょう。

── 過去と現在の「キャリア観」については何か違いを感じますか?

「自分がやりたいこと」と「その会社で実現できること」を照らし合わせる際、キャリア形成は“筋トレ”に似ていると考えています。現代は誰も重いものを持つように強制しない時代になったため、本気で成長したいなら自ら高い負荷を選ぶ必要があります。ただ、どのような負荷が適切かは業界や領域によって異なるでしょう。

そういう意味では、社会のあり方は変化しましたが、昔も今も私自身のキャリア観や優秀な人材の条件は、本質的にあまり変わっていないと思います。

「当事者意識」と「Giveの精神」が大事な価値観になる

── 岡井さんにとって「優秀な人」を言語化するとどのようになりますか?

ビジネスの領域にもよりますが、少なくともLuupでは「自分が社会やプロダクトをどう変えたいか」という当事者意識(オーナーシップ)を持っているかが大切だと考えています。やはり、「自分が変えたい」と思って行動する人と、「誰かが変えてくれるだろう」と思って待つ人とでは、大きく根底から違っていて。

どちらも一日の行動だけ見れば同じように働いているように見えますが、その組織に何かをもらいに来る(Take)のか、それとも何かを与えに来る(Give)のかで、仕事に対する意識がまったく異なるわけです。

IT業界は上場マーケットとすごく接しているというのも含めて、他の業界よりも早い段階で“無理が通らない価値観”が根付いてきたため、健全な会社ほど「自らGiveする」というマインドがすごく大事な気がしますね。

短期的には「何かを得たい」と思う人よりも、「まず自分から与えよう」と動ける人の方が、結果的に多くのものを得ている。

そうしたGiveの精神が、これからの時代に最も重要な価値観だと感じています。

ギブアンドテイクではなく「人としてどうあるべきか」

── 「学生の頃にこうしておけばよかった」と思うことはありますか。

正直、もっと真剣に生きておけばよかったなと思うことはあります。それはスキルや知識の話というよりも、生き方そのものの“次元”を、もっと高めておくべきだったという感覚に近いですね。

大学時代も「起業したい」という思いを持って過ごしていましたが、今振り返ってみるともう少し深く考え、行動できたのではないかと思うところもあります。

── 自分の中で大切にしている価値観について教えてください。

最近特に感じるのは、“いい人であること”の大切さです。ここで言う「いい人」というのは、愛嬌があるとか誰からも好かれるという表面的な部分ではなく、「人として誠実で信頼に足る存在かどうか」という本質的な部分です。結局、どれだけ取り繕っても、最終的にはその人の性格や生き方がすべて表に出てくるんですよ。

社会で本当に大きな挑戦をして成功している人たちとお会いすると、表面的にはストイックで厳しい印象を受けても、実はその根底に深い誠実さと人柄の良さを感じます。

私自身、起業当初はがむしゃらに走っていたからこそ、至らない点や守れなかった約束も多くありました。ですが、今後は一つひとつの約束を必ず果たしていくような生き方をしたいと思っています。

これは単なるギブアンドテイクの話ではなく、「人としてどうあるべきか」という根本の部分で「約束をきちんと守る」「本気でいいプロダクトをつくる」といった“姿勢”そのものが問われると考えています。

私たちが目指しているのは、長い目で見て日本中の人に愛されるような“新しい公共交通”をつくること。つまり、街そのものを良くしていくような存在になりたいと思っているんです。

Luupでは、現在提供中の電動キックボードと電動アシスト自転車に加えて、今冬に一部地域から電動シートボードを提供予定です。さらに、若者から高齢者まで安心して乗れる三輪・小型のユニバーサルカー「Unimo(ユニモ)」についても2026年度中を目途に複数地域で実証実験を行い、シェアリングサービスへの本格導入を検討していきます。

そのためには、「安全対策」という本質から目を背けてはいけないと強く感じています。それが、公共交通を担う事業者としての責務であり、リーダーとして果たすべき使命だと考えています。

<構成/古田島大介 撮影/岡戸雅樹>


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