分娩台からミーティング参加も…「仕事と子育ては両立できる」気鋭の女性経営者が語る“キャリアと家庭の両立”
新卒でメガバンクに入り、その後は「モテコンサル」を副業ではじめた勝倉千尋氏。現在は結婚相談所を経営、恋愛市場を「市場戦略」と捉えた恋愛や婚活のコンサルティングを手がけている。
「結婚は人生の選択肢を狭めるものではなく、むしろレバレッジが効く仕組み」と説き、自己理解と人生設計に基づいた「ベストマリッジ」の実現を指南。今回は、勝倉氏の考える結婚の本質や、キャリアと子育てを両立させる考え方を聞いた。
恋愛とビジネスに共通する重要なポイント
── 「モテコンサルタント」という言葉はあまり聞き馴染みがないのですが、具体的にはどのようなことをされているのでしょうか?
「モテコンサル」とは私が作った造語で、恋愛や婚活の方法がわからない、自身の魅力がわからないといった悩みを抱える方々に対して「何をするべきか」を一緒に考え、成果を得るためのコンサルティングを行っています。
“モテ”の定義は異性から魅力的と思われることですが、さまざまな方向性があります。例えば、純粋に異性から人気を得たいというタイプの方には恋愛的魅力を高めるアドバイスを、結婚を目指す方には理想のお相手を明確化して、出会いから関係構築までの戦略を提案しています。このように、一人ひとりの目的に沿ったオーダーメイド型のコンサルティングが特徴です。
結婚は義務ではなく、選択肢の一つだと考えています。結婚したいと思う人もいれば、逆にまったく興味がない人もいるでしょう。他方で、「結婚に前向きな方」に対してはその思いを形にできるように、具体的なアドバイスを通じて後押しをしたいと思っています。
── 就職活動や面接で企業の人事担当者から「モテる」といった、ビジネスシーンにも応用できる考え方ですか。
異性とのコミュニケーションや相手からどう見られるかという意識の部分は、仕事にも恋愛にも結構共通すると思うんですよ。実際に、「ナレソメ予備校」などで婚活を通じてコミュニケーションを磨いたり、自己理解を深めたりした結果、「仕事で出世した」「転職活動がうまくいった」という事例は本当に多いんですよ。
つまり、自分の魅せ方や人との関わり方を見直すことは、恋愛だけでなくキャリアにも好影響を与える意味でも、汎用性があるスキルだと感じています。
「自分がどこで誰にモテたいのか」を明確にする

── モテない人の特徴って何かあるんですか?
第一印象として“モテそう”な方が、実際にはモテない場合、その原因は「話しすぎ」にあることが多いようです。これは男性に顕著で、自分が一方的に話すことで相手に「理解してもらえない・受け入れてくれない」と感じさせてしまうから。
一方で重要なのは、「恋人としてのモテ」と「旦那としてのモテ」は別物だということです。前者はドキドキ感を求められるのに対し、後者は安心感や信頼性が重視されます。
つまりモテるためには、闇雲に努力するのではなく「自分がどの市場で勝負するか」に応じた見せ方を理解することが重要になります。気軽な遊びのモテ、恋愛のモテ、結婚を前提としたモテなど、モテにはさまざまな種類があることを知って、「自分がどこで誰にモテたいのか」をまず明確にすることが第一歩です。
その目的が定まれば、自分の個性やキャラクターに合わせたアピール方法を設計でき、無理なく自然に「モテる状態」を築くことができるでしょう。
私自身も、学生時代は全然モテなかったんですよ。高校生の頃も好きな人はいたんですが、「学生時代は私のモテ期ではない」と思っていて、きっと社会に出てからの方が私は輝けると予測していたらその通りになりました。
── 自分はモテないと感じている学生の方がいたとしたら、「どのフィールドでいつまでに達成する」という自己分析を行うことが大切ということですね。
男性校育ちなどで女性との接点が少なくて「自分はモテない」と悩む方でも、結婚相談所では誠実さや安定性が高く評価され、想像をはるかに超えてモテるケースも多くあります。そういう意味では、現在の状況が将来を決めるわけではないのであまり気にしなくていいと思っています。
また、男女ではコミュニケーションの取り方が異なるため、恋愛経験が少ないとすれ違いが起きがちです。でも、これは単に「サンプル数」が不足しているだけで、多くの出会いと失敗を通じて学ぶことで、状況は確実に好転していくでしょう。
── 女性がモテようと思った場合はどのようにすればいいのでしょうか?
女性は市場において、「どういう“モテ”を目指すか」で戦略は変わってくるため、結果を出すには「マインド」が非常に重要です。たとえば、「彼氏が欲しい」という願望は比較的叶えやすいですが、多くの女性が直面する本質的な課題は「恋愛はできるが、結婚に繋がらない」という点です。
ここに女性の深い悩みがあるといえるでしょう。
重要なのは、単に恋愛を楽しむのではなく、いかに意図的に結婚まで関係を進められるかです。「恋愛が長引くこと」と「結婚への進展」は必ずしも連動しません。そのため、結婚を前提とした環境に身を置くか、現在の恋愛においても結婚への意思を明確に伝え、主導権を持って関係を築いていく姿勢が肝になります。
男性が「モテ方そのものを学ぶ必要がある」のに対して、女性は「モテをいかに結婚に結びつけるか」というのを正しく理解して動けるかどうかで、結果は大きく変わると思います。
結婚の本質は「幸せに続けられること」
── 今も昔も変わらずに、「もっと素敵な人が現れるのではないか」という迷いから、恋愛や結婚になかなか踏み切れない場合もあると思いますが、運命のパートナーはどうやって判断していけばいいんですか?
結婚とは「明るく楽しい未来を一緒に創るための選択」だと考えていて、自分がどのような人生を送りたいのかを深く理解することが何よりも大切になります。しかし、自己理解が不十分なまま結婚するケースも多く、例えば本来は自分のキャリアを重視する女性が、相手の表面的な魅力でハイスペで激務な男性と結婚して家庭に入ることになり、後々に自身の本当の希望との齟齬に気づく例も少なくありません。
結婚の本質は「できること」ではなく、「幸せに続けられること」にあるのです。私自身、以前は自己理解が足りずに離婚を経験し、「人生全体をどうデザインするか」という視点の重要性を痛感しました。
一時的な感情ではなく、自分らしい生き方を見据え、それに沿った納得のいく選択をすること。それが、真の「ベストマリッジ」につながると考えています。
── 「子育てがキャリアの中断につながる」という懸念から、結婚や出産を先送りするケースが多い現代において、仕事と子育ては本当に両立できるのでしょうか。
仕事と子育ての両立は、決して不可能ではないと考えています。私自身、分娩台からミーティングに参加し、出産して4時間後には役員面接をこなしてきました。もちろん個人差はありますが、現代は育休制度が充実し、家事・育児に協力的な男性も本当に増えたと感じています。だからこそ、「相手を適切に選ぶこと」が大事なんです。
しかし多くの女性が、仕事ができて自分を守ってくれる男性を無意識に選ぼうとしているので、それだと当然のように女性は家庭に軸足を移さざるを得ませんから、キャリア志向の女性でも仕事と子育てが両立しづらくなります。それだったら、もう少し視点を変えて「支え合えるパートナー」を探すことが解決策につながると言えます。
たとえば、経済合理性を理解できる男性には、年収と家計への貢献度に応じた家事分担比率を提案するとか、年上で器が大きくて、頑張る女性を応援したいタイプの男性を選び、自分は自由に仕事に打ち込むのもwin-winでいいと思います。
最近だと、うちの相談所でも仕事を頑張りたい女医さんの会員さんが多いのですが、そういう方々はたとえ相手の年収が自分より少し低くても、その代わりに家事・育児を全てサポートしてくれるパートナーを選んで、すごく幸せに仕事と家庭を両立されています。なので、これからも多くの女性たちに「もっと柔軟に賢く選べば、やりたいことも家庭も両立できる」というのを伝えていきたいですね。
結婚は人生の選択肢を狭めるものではない
── 結婚のタイミングは「子供がほしいと思ったとき」にするのがいいと思いますか?
結婚は人生の選択肢を狭めるものではなく、むしろ若いうちに家庭を築くことで、その後の人生設計がしやすくなります。将来的に子供がほしい場合も、早めに結婚しておけば家族計画を立てやすくなるでしょう。結婚したからといって仕事が阻害されることはないですし、むしろレバレッジが効きます。
ふたりで家事の分担ができて、生活コストも大きく減らせて、仕事の壁打ち相手にもなってくれる。つまり、「パートナーを得る=人生のレバレッジが効く」という構造が生まれるのです。
もちろん、結婚の選択は個人の自由です。データ上は既婚者の幸福度が高い傾向がありますが、最終的には「自分がどう生きたいか」という視点で選べばよいと考えています。
最近では「自分の魅力の最大値を知りたい」「人生全体で最適なパートナーを見つけたい」という、アップサイド志向の相談が増えています。恋愛市場には受験のような明確な指標がないため、ご自身の可能性に気づいていない方も多いのです。
私たちは、そんな方々に「個人の最大値設計」をサポートするサービスを提供しています。単なる出会いの提供ではなく、人生全体を見据えたベストな選択のお手伝いができるように尽力していきたいですね。
<構成/古田島大介 撮影/岡戸雅樹>
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Future Leaders Hub編集部