「35歳までに結果が出なければサラリーマンに戻ろう」12年連続増収増益…“圧倒的成長企業”が生まれたワケ
創業以来12年連続の増収増益。右肩上がりの成長を続ける総合不動産企業の大和財託株式会社だが、代表の藤原正明氏は「2040年までに売上1兆円を目指す」と高い目標を掲げている。
そこには明確な根拠があり、「やるべきこと」と「やらなければならないこと」がはっきり見えているからこそ、現実的な数字として売上1兆円を捉えているのだ。
藤原氏に売上1兆円への軌跡や、仕事のやりがいについて話を伺った。
勝算と不安の両方を抱えつつ、明確な期限を設けて起業した

── 大和財託を創業した背景を教えてください。
私自身、もともとサラリーマン時代に父親の影響で不動産投資をしていた経験がありまして、その中で「この領域は必ず伸びる」と確信していました。ただ、実際にやってみると、仕事をしながら物件を探し、管理して、融資の対応……と非常に手間がかかってしまって。
もっと一括して任せられる仕組みがあればいいのにと強く感じたんですね。この課題感が今の事業モデルの原点になっています。ただ、最初から順風満帆だったかというと、そういうわけではありません。起業すぐの頃は勝算こそあったものの、不安がなかったかといえば正直、ありましたね。
すでに妻も子供もいたこともあり、自分の中で「撤退ライン」を決めていたんですよ。起業したのが33歳のときで、「35歳までに結果が出なければサラリーマンに戻ろう」と。
資金面では、日本政策金融公庫と保証協会の制度融資を使って1,600万円を借入れ、さらに不動産投資で得た利益があったので、手元の軍資金は約4,000万円くらいありましたが、資金が尽きたら潔く撤退しようと決めていました。
ただ、仮に事業が失敗してサラリーマンに戻っても、借入れした1,600万円は返せるだろうという見込みもあったため、そこはリスクコントロールができていたと思います。
0から100億円、そして1兆円へ

── 創業以来12年連続で増収増益を続けている背景は何ですか?
現在も市場の中で部分的に競合するプレイヤーは存在しますが、私たちのように土地の仕入れから設計、施工、販売、管理運営までをワンストップで完結できる会社はほとんどありません。
この「一気通貫の体制」こそが、創業以来ずっと増収増益を実現してきた大きな理由だと考えています。
上場はあえてしていませんが、仮に上場企業と比較しても、国内の不動産会社の中で上位50社に入る規模にまで成長しています。昨期の創業12年目は売上高367億円、経常利益33億円を達成し、今期もさらなる成長を見込んでいます。
将来的には2040年8月期に売上1兆円、経常利益1,000億円という明確な目標を掲げています。これは単なる理想ではなく、事業の解像度を上げ、必要な人財・仕組み・体制をしっかり構築していけば、十分に実現可能な数字だと考えています。
── 会社経営していくなかで、どの段階から売上1兆円が見えてきたのでしょうか?
今から3〜4年前に売上が100億円を超えた頃からですね。というのも、創業から8〜9年で100億円まで成長できたことで、「100億円から1兆円」という次の目標も、決して非現実的ではないと感じるようになりました。
0から100億円をつくり上げたということは、仕組みを構築し、組織を育て、実際に市場に受け入れられる事業を創出できたということ。つまり100億円をベースとした時に、1兆円はその100倍なのでしっかりと再現性を持って取り組めば、100億円を1兆円へと拡張することも可能だと考えるようになったんです。
これまで多くの新規事業にも挑戦してきて、うまくいかなかったものもありますが、確実に成長ドライバーとして育ってきた事業がいくつもあります。特に今注力している事業の中には、市場規模や当社の競争優位性を踏まえると、将来的に4,000〜5,000億円規模まで拡大できると見込んでいる事業もあるんですね。
将来的な市場変化で成長の鈍化も鑑みながら、複数の事業をバランスよく育てていき、さらに新しい領域の事業にも挑戦していけば、1兆円という数字も十分に射程圏内だと確信しています。
そのために欠かせないのが 「人」です。当社の理念に共感し、顧客に価値を届け、現場で高い品質を生み出せる人財をどれだけ採用・育成できるかが鍵になります。
そしてもう一つがブランドです。私たちは創業期から品質と価格競争力の両立にこだわり、筋肉質な組織を築いてきました。しかし、商品力やコスト面で勝っていてもネームバリューや大企業という理由で、お客様がそちらを選ぶことがあります。
そのため、今後はプロダクトブランディングとコーポレートブランディングを両輪で磨いていく必要があります。そのための広告宣伝費も、売上に応じて計画的に増やしていく方針です。
「お客様の人生を変える瞬間」に立ち会う

── 「仕事の面白さ」はどのあたりに感じていますか?
当社が取り扱う物件は1億円から5億円といった価格帯が中心で、物件によっては10億円以上します。一般の方にとって、1億円という金額は簡単に手が届くものではありません。でも、だからこそ「お客様の人生の大きな決断に関わり、形ある資産を一緒につくり上げていく」というダイナミックな仕事ができるのが不動産の面白さであり、醍醐味だと思っています。
また、私たちは「資産運用」を事業の中心に据えているのですが、これは端的にいえば、“お客様を幸せにする仕事”なんですよね。
創業以来、約1000人のお客様にご利用いただいていますが、現時点で全てのお客様が利益を出されており、なかには不動産投資をきっかけに独立・起業や早期リタイアを実現された方、ご家族との時間を増やすために働き方を変えられた方など、人生そのものを大きく変えられた方も多くいます。
このように、人の“幸せの瞬間”に介在できるのが当社の事業の大きな魅力であり、仕事の一番のやりがいだと感じています。
── 逆に大変だったことはありますか? また、困難や葛藤をどのように乗り越えてきたのでしょうか。
正直、日々大変です……。一番の課題は「人」ですね。創業当初は、私自身が社長でありながら営業も総務もすべて自分でやっていた時期で、自分の考えや意志のままに動けたからこそ、今思えば楽だったかもしれません。
それが現在はグループ全体で360人を超える組織になり、役員、部長、課長、マネージャーといった階層を経て、ようやく現場に伝わるような形になっています。
そうなると、私が掲げる「顧客目線での仕事のクオリティ」をいかに全社で均一性を保ち、一定のレベル以上に蓋然性を持って実現していくかという部分が難しく、常に悩みながら取り組んでいる状況です。
ただ、一方で、組織の力というのは非常に大きなレバレッジを生みます。人を採用し、組織を拡大しながら、「1+1を10にも20にもしていく」のが企業経営の面白いところです。もちろん、壁にぶち当たることもありますが、それ以上に仕組みやチームがうまく機能し始めた瞬間は、何にも代えがたいやりがいを感じますね。
「現場への敬意」を何より大切に
── 経営者として、ご自身の考えや経験を社員に対してどう伝えていますか?
私が社員に対して一番強く伝えているのは、「現場を何よりも大切にしてほしい」ということです。要は、現場への敬意を忘れないでほしいということなんですね。
当社は発注側の立場になることも多いですが、建物を実際につくってくれる職人さんたちのおかげで、いい建物を適正な価格で販売し、他社と比べても競争力のあるビジネスが成立しているわけです。
一部の中途入社のベテラン社員などが、立場を勘違いして“発注側が上の立場”という態度をとる場合もありますが、そこも私は厳しく指導します。大和財託では「下請けを叩くような発注者の論理」は一切許していません。
私たちが掲げているのは「潤環シナジー戦略」という成長モデルです。これは、顧客・取引先・会社や社員といった全てのステークホルダーが対等な立場で、共に価値を創り出していくという考え方で、不動産や建築といった社会に残る価値を、みんなで“共創”していくというものです。
この考え方は、もともと僕の中に感覚的にあったものを、3年ほど前にしっかり言語化・構造化し、研修や実務の中でこの価値観を社員全員に浸透させています。
もちろん、会社として意思決定のスピードや責任の所在を明確にするために、権限規定や承認ルールは必要ですが、それは“人としての上下関係”を意味するものではありません。私の中では社長も職人もそれぞれの役割が違うだけで、人としては全員が対等だと思っていて、そうした意識を社員全員が持っているからこそ、大和財託という組織が健全に成長しているのだと思います。
<構成/古田島大介 撮影/岡戸雅樹>
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Future Leaders Hub編集部