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2025.12.05 17:00

LUUP創業者の本音「経営は大変なことばかり」…改めて考えた“仕事が楽しい”とはなにか<編集後記>

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LUUP

 最近、街でよく見かける電動キックボードなどのシェアリングサービス「LUUP」。使ったことがある人も多いのでは?

 そんなLUUPを立ち上げた岡井大輝さんにインタビューをしたところ、驚く言葉が返ってきました。

「仕事をしていて『いま楽しいな』と思った瞬間は、7年間でない気がします」

 え、楽しくないの!?と思いますよね。(私も心の中でツッコミました。)

 LUUPは2018年の創業以来、サービスエリアを全国にどんどん広げ、急成長中。岡井さん自身も、「日本の起業家ランキング2025」(Forbes JAPAN)で3位に選ばれるなど、注目の存在です。

 実際に会うと、笑顔で物腰もやわらかく、いつも楽しそうなのに……。ただ、岡井さんは、こう続けました。

「振り返ると『楽しかった』とは思うんですけど。仕事は『大変』なことばかりです」

楽しくなくても「つまらない」「つらい」ではない

 ここで考えてみましょう。「楽しい」とは何でしょうか?

 それを知るために「楽しい」の反対語を想像してみます。おそらく多くの人は「つまらない」や「つらい」を思い浮かべると思います。

「楽しくない仕事」とは、「つまらない仕事」もしくは「つらい仕事」です。だから「楽しい仕事がしたい」と考えるのは自然です。

でも、岡井さんは、決して「つまらない」「つらい」とは言いません。

 岡井さんにとって仕事は「楽しい」ではなく「大変」。「楽しくない仕事」とは、「大変じゃない仕事」なのです。

 仕事の本当の「楽しさ」は、「大変」の中にあると感じているのだと思います。

大変な挑戦をした経験はいつか自分の財産になる

 みなさんは部活や習い事で頑張った経験はありますか?

 野球の素振り1000回、バスケのシュート1000本、ピアノで同じ曲を100回弾く……。試合やコンクールに向けて必死に練習しているときは、「楽しい」より「大変」が勝っていたはずです。

 私も大学生で初めてフルマラソンを走った時、「何のためにこんな大変なことをしているのか……」と頭がいっぱいでした。

 でも、いま振り返ってみると「楽しかった」と思えるのではないでしょうか。

 仕事も同じで、「大変」なことに挑戦した経験は、いま「楽しい」じゃなくても、いつか自分の財産となって「楽しい」になります。

「大変なことを頑張れない自分」でもOK

 私自身、報道番組プロデューサーから突然事業開発を任されたとき、本当に「大変」でした。でも必死に取り組んだことで新しい世界が広がり、いまでは心から「楽しい」と思える仕事につながっています。

 ただ、必ずしも「大変」=「楽しい」ではないと言っておきます。

 岡井さんだって「大変なのが好きなわけではない」と話していました。「ハードモードのほうが、ゲーム終了後にいいアイテムが手に入る」から選んでいる、と。

 やっぱり「『大変』なことはイヤ」という人だっていますよね。「素振り1000回なんて無理!」って。そんな自分を責める必要はありません。「大変なことを頑張れない自分」でもOKです。

 でも、大変かどうか知るための「挑戦」はオススメします。

挑戦の先にある「楽しい」を見つけるヒント

 ちょっとやってみる。途中でやめても「やってみた」という経験が残る。それだけでも、あなたの世界は広がります。

「楽しいことが見つからない」「やりたいことがわからない」という人は、まずは身の周りで気づいた「小さな挑戦」から始めてみてください。それが自分に合わなければ「違うとわかってラッキー」です。そうしているうちに、あなたの本当の「楽しい」が見つかるはずです。

「楽しい」とは、ラクじゃないことに挑んだ証なのです。(アイドルの追っかけだって、ラクじゃない。立派な「楽しい」です。)

 岡井さんの言葉には、挑戦の先にある「楽しい」を見つけるヒントがたくさんあります。ぜひ動画でチェックして、あなたの考えも聞かせてください。

<文/清水俊宏 撮影/岡戸雅樹>

この記事を書いた人
清水 俊宏
フジテレビ公式YouTube『#シゴトズキ』プロデューサー
フジテレビ報道センターBS担当部長兼デジタルメディア事業部。2002年一橋大学を卒業後、フジテレビ入社し、政治記者・ディレクターなど経験。2016年から事業開発も担当し、「報道プロデューサー」と「ビジネスプロデューサー」の二刀流に。YouTube『#シゴトズキ』のMC、地方銀行の事業開発アドバイザー、iU専門職大学客員教授などの顔も。学生時代はリュック一つで世界中を飛び回り、特技は野宿。

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