コロナ禍で大学生活を送った教職志望の学生が「Z世代の企画屋」を創業するまで
“Z世代の企画屋”として、数多くの企業のプロモーションやSNSマーケティングを手掛ける「僕と私と株式会社」。その代表を務める今瀧健登氏は、大学時代に花屋で起業し、会社員を経て、今の会社を立ち上げた。
「20代のうちはとにかく遊び、働き、経験の総量を増やすこと」
そう話す今瀧氏の起業までのライフストーリーを紐解き、不確実な時代を生き抜くためのヒントを探っていく——。
「先生」を目指していた学生が、なぜ「起業」を選んだのか

── 今瀧さんの学生時代のこともお聞きしたいのですが、当時から「将来は社長になろう」と考えていたのでしょうか?
私は横浜国立大学の教育人間科学部に進学しましたが、当初から社長になろうとは考えていませんでした。大学3年生までは学校の先生になろうと思っていて、教職系の勉強をしていたんです。
こうしたなかで、転機になったのは大学4年生の時でした。
授業も落ち着いて時間に余裕ができたので、「せっかくだから何か勉強しよう」と考えたんです。インターンなども選択肢にありましたが、どうせなら最も学びが多い方法を選びたいと検討していきました。その結果、営業から経理、法務、人事、採用など自分で全て経験できる起業が合うと思い、花をテーマにしたビジネスを始めました。
もともと大学時代に花屋で働きたいと思っていたのと、コンサルの勉強もしたいと考えていたので、「花を贈る人を増やす」ことを目的に、花屋向けのコンサルやイベントの企画、花配りなどをやっていましたね。
当時、大学の周りに起業している人がほとんどいなかったのですが、逆にハードルを感じずに、自然と一歩を踏み出せたのは大きかったと思います。
── 2020年のコロナ禍のタイミングで、現在の会社「僕と私と」を立ち上げたそうですが、その経緯について教えてください。
僕自身は、最初から「会社員をやりながら起業しよう」と考えていました。新卒で教育コンサルティング会社に就職した時にちょうどコロナ禍になり、通勤の移動時間が一気に空いたんです。そこから、まずは、副業として「僕と私と」という会社を立ち上げました。
その後、副業の会社が少しずつ大きくなってきて、当初から関わってくれていたメンバーが自分の本業の会社を辞めて、こちらに来てくれるようになったんです。メンバーが本気でコミットしてくれるなら、さすがに“社長だけ副業”という状態はよくないと思ったので、会社員を辞めて自分の会社に専念する覚悟を決めました。
今思えば、コロナ禍で通勤時間が1〜2時間なくなったのは大きかったですし、もしそれがなかったら、起業していなかったかもしれません。
自分にとっての正解は“経験”からしか導き出せない

── 20代の頃に没頭したことは何でしょうか。また、現在の仕事との意外な共通点 があればお聞かせください。
大学時代は通訳やカメラマン、デザイナー、飲食店バイトなど複数掛け持ちしながら、単位を取るために必死で勉強していました。当時は一人暮らしでしたが、仕送りはほとんどなく、自分で家賃を払う必要がありましたし、働くこと自体も楽しかったので、働いたお金でみんなで飲んだりもしていました。
このようにいろんなことをやってきたことで、自分の好き嫌いやモチベーションの源泉がはっきり見えてきました。つまり、経験の量が多ければ多いほど、自分に合った選択や行動が自然と掴めるようになり、失敗の回数も減っていくわけです。
そのため、就職や起業といった大きな決断も、経験の「N数」が多ければ多いほど精度が上がると言えるんですね。
学生時代は思いっきり遊び、さまざまな経験を積む
── もし「学生時代に何をやったらいいですか」と言われたら、どんなアドバイスをしますか。
とにかく学生時代は思いっきり遊ぶことです。やはり時間が使える価値は非常に大きいですし、お金がなかったらバイトして貯めればいい。一方で、就活の時期だけはバイトのせいで重要な機会を逃すのはもったいないです。週1のバイトのために面接や説明会に行けないというのは、数十年先のキャリアに大きく影響する可能性があるからです。
あとは学生起業も選択肢のひとつですが、起業自体は紙を提出すれば簡単に始められます。それよりも大事なのは、稼ぐことやチーム作りなどの経験です。会社員は働き方や組織を運営する学びが得られるので、個人的には就活や会社員を一度やってみる価値は十分にあると思います。
── 自分が今、学生ならどんな業界を選びますか?
取材を通して、視野や知識の広い人たちの話を直接聞けるメディア業界はとても魅力的だと思います。また、海外の会社で働く経験も面白いですし、自分が理想とする会社をベンチマークにして働くのもいいのではないでしょうか。
僕が会社員になった理由も、「会社員経験を積みたい」という側面はあったものの、実はその会社の代表になるつもりで入社しました。その会社は人数も多く、自分で最初から会社を作るよりも、中に入って成果を出せば社長になれるのではと思ったんですね。
ただ、現実的にすぐには難しく、9〜10年はかかるだろうと感じたので、自分で起業する方が早いと判断しました。そのおかげで前職のグループ会社の社長とも、今では飲みに行ける関係性になれました。
普通に会社に勤め続けていたら、こうした距離感は得られなかったと思うので、起業してよかったと感じています。
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Future Leaders Hub編集部