「センスより『やる気』がある人が長期的に結果を出す」北の達人木下社長が明かす“成長する若手に共通する特徴“
表面的な言葉や肩書きに惑わされず、成果を出す人を見極める目を持つこと。そして、優秀な人のそばで働くことが、若手にとって最も重要な成長機会だと株式会社北の達人コーポレーション代表取締役社長の木下勝寿氏は語る。
激動のAI時代において、若者に求められるのは「思考力」と「やる気」であり、何かを成し遂げようとする“情熱”と変化に順応する“思考”で、新しい価値を生み出していくことが肝になる。
木下氏が若者に期待する成長意欲や挑戦心について語ってもらった。
口先だけに惑わされず、成果で見極める力を養うこと
── 影響を受けつるべき優秀な人を見つけるために木下社長が意識していることはありますか?
木下:まず、「優秀な人の定義」をはっきりさせる必要がありますが、私の場合は実際に成果を出している人だと捉えています。若いときは、口先だけで立派なことを語る人の話を信じがちですが、言っていることが正しくても、実際に成果が伴っていなければ、正しいかどうかの判断が難しくなりますし、話している内容を鵜呑みにするのは危険です。
ある程度経験を積めば見極めもできるようになるので、若いうちから「本当に成果を出してきた人の言葉かどうか」を見極める目を持つことが大切です。
私の場合はSNSやYouTubeで情報発信していますが、耳ざわりのいいことを言うつもりはなく、あくまで共感してくれる人を集めるためです。そのうえで、僕のやり方に共感してくれる人には「一緒に働きませんか?」と呼びかけをしています。
重要なのは、自分が面白いと思っていることが相手に伝わっているかどうかです。私自身、WEBマーケティングの仕事は本当に面白いと思っていますし、そのワクワク感が伝わる人と一緒に働きたいですね。
── 仕事の面白さを共有し、意欲のある若手に大きな権限を与える文化があると聞いています。
木下:働く時間は人生の中でもかなりの割合を占めますから、その大部分が“我慢”の時間になってしまうのは本当にもったいないなと。そう考えると、できる限り仕事の時間を楽しみ、一緒に働く仲間の存在がとても大切になります。仕事は成果が出ることもあれば、うまくいかないこともありますが、結果にかかわらず頑張っている姿勢が伝わる人なら、たとえ失敗しても自然と楽しく働けます。
特にWEBマーケティングは結果がすぐにわかるため、「スピード感」と「スリル」のある“ギャンブル”に近い面白さがあります。これまで25年間WEBマーケティングをやっていますが、メディアやマーケティング手法、クリエイティブのトレンドが常に変化していて、未だに飽きずにやりがいや面白さを実感しています。

昔はネットで物を買うこと自体が珍しかったですが、今では当たり前になっていて、どういうクリエイティブが刺さるかをより深く戦略的に考えることが求められています。だからこそ、ずっと挑戦し続けられる仕事だと思っています。
長期的に成長するのは「やる気」がある人
── 一緒に働きたいと感じる若者はどんな特徴のある人ですか?
木下:いろんな学生の方にお会いしてきましたが、最終的には「やる気」がある人と一緒に働きたいと思っています。僕自身は経験よりも思考力を重視していて、「経験を積むとわかること」と「思考力でわかること」を比べると、8割くらいは思考力でカバーできると考えています。
何か事業戦略があったとした時に、私はそれをブラッシュアップさせる場合に「重要な部分」と「そうでもない部分」に一旦分けるんですね。そこから、ここの部分はそんなに重要じゃないと思ったときはもっと簡単にできる方法か、もっと効果が高いものに差し替えることをやるんですよ。これを繰り返すことで、最初の戦略とはまったく違う戦略が出てくるんです。
つまり、知識ではなく思考法さえ身につけておくことで、例えば有名な経営者の思考回路をマネれば、理論上は同じことができるはずなんです。

── 実際に採用の現場で学生を見るときにどういう着眼点で判断しているのでしょうか?
木下:当社の採用では「やる気」と「センス」の両方を重視しています。やる気自体を正確に見分けるのは難しいのですが、職種ごとのセンスを見極めるために、診断テストを独自に開発し、それに沿って採用の可否判断を行っています。
しかし、実際のところ、入社1〜2年目はセンスのある人が成果をあげることが多いのに対し、3〜4年経つと「やる気のある人」のほうが成果を伸ばす傾向にあることがわかってきたのです。
もちろん、センスもやる気も両方備わっている人が最も活躍しますが、センスは若干劣ってもやる気を持っている人のほうが、長期的に結果を出すことが多いと感じています。
優秀な人のそばで働き、思考法と判断力を学ぶ
── 若手に対しては、どんなアドバイスをしますか?
木下:僕自身は、学生企業を経験しましたが、皆が皆学生企業を必ずやるべきだとは思っていません。確かに「株式会社リョーマ」(木下氏が在籍していた学生ベンチャー企業)にいたメンバーの多くは非常に優秀で成功していますが、私の場合はもし自分一人で学生企業をしていたら、うまくいかなかっただろうなと感じています。
重要なのは、優秀な人のそばで働くことです。学生企業でなくても、普通の企業でのインターンでも構いませんし、社長や経営者と近い立場で経験できる環境でも十分です。とにかく、視座を高められるような人のもとで働くことで、成功するための思考法や判断力を学ぶことが大切だと言えるでしょう。
── 最後に、学生や若手社会人に向けてメッセージがあればぜひお願いします。
木下:AIが台頭するなど、今の世の中は急速に変化していますが、若い世代はマーケットに近い感覚を持っていますし、生成AIにおけるプロンプトの作り方も非常にうまいなと感じています。これからも私たちは努力を続けていきますし、皆さんもぜひいろんな視座を持ってチャレンジしてほしいと思います。
<構成/古田島大介 撮影/岡戸雅樹>
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Future Leaders Hub編集部