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2025.10.31 14:00

「成長より安定」の裏側にある真実… AIの時代にZ世代が求める“本当の安定”の正体



学生や若手のキャリア観は安定志向に傾いており、パーソル総合研究所の調査では「仕事を通じた成長意欲」や「やりたいこと志向」が低下している一方で、勤務場所の融通や「働くことは金を得る手段」といった現実的な志向は上昇している。産業能率大学の調査でも年功序列を望む新入社員の割合が過去最高となり、終身雇用や長く勤めたいとの意向が強まり、成長重視は大きく後退している。こうした変化は「VUCA時代」となり、AIなど技術の進展に伴うリスク回避志向が影響しており、売り手市場により自己差別化や高い動機付けが薄れている可能性が指摘されている。転職サイトへの登録が増える一方で、それが積極的な転職意思というよりリスク時の「逃げ道」登録であることも多いと分析されている。


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私たちは「成長より安定」を求める傾向が強まっていると報じられている。年功序列や終身雇用といった、かつての日本的な働き方を望む人が増え、「仕事で成長したい」という意識が下がっていると言われている。AIや自動化による仕事の不安など、先行きが不透明な時代において、私たちは無意識に「自分の未来を守る」選択をしているのかもしれない。そう考えると、安定志向は怠惰ではなく、むしろ合理的な判断の結果だと考える。

しかし、ここで疑問が生まれる。「安定とは何か。」大手企業に入ることだろうか。給与が高ければ安心なのだろうか。近年では、名だたる大企業でもリストラが続き、突然の倒産や急速な業界転換が起きている。昨日まで安泰だった会社が、明日には存在しないかもしれない。AIは仕事を置き換え続け、10年後に今の仕事がある保証は誰にもない。つまり、企業がくれる安定は崩れつつある。

では、何が本当の安定なのか。人は「安心」や「当たり前」が続くと挑戦しなくなる。変化のない環境は、一見安定しているようで、実は「変化に弱い状態」を生む。一方で、小さくても成長し続けている人は、環境が変わっても自分の足で立てる。身につけたスキルや経験が、盾にも武器にもなる。なぜならそれは、社会が大きく動いても、それに合わせて自分をアップデートできるからだ。

つまり、本当の安定とは「変化しても生き残れる自分へと成長できる環境に身を置くこと」だと私は考える。

しかし、人それぞれにやりがいや得意分野は異なる。では、自分に合った成長の場をどう見つければ良いのか。多くの学生は大学3年生の秋から就職活動を始め、4年生の夏までには職場を決める。しかし、将来を共にするパートナーといえる仕事を、そんな短期間で決めてしまってよいのか。本当に自分に合う環境に出会えているのかという疑問が残る。それこそが現在のミスマッチにつながっているのではないかと考えている。

そこで私は【学生団体】産学恋愛組織委員会を立ち上げた。「産学恋愛」は、就職を結婚に例えるならば、学生目線で企業の魅力を学生が知り、楽しみながら「この会社と一緒に働きたい」と思える相手を見つける場をつくり、ミスマッチの解消を目指すプロジェクトだ。「就職活動とは3年生から始めるもの」、「辛いこと」といった固定概念を壊し、学生の早い段階から少しでも社会に目を向け、学ぼうとする姿勢こそが自分の可能性を広げると信じているし、その環境を創り上げていきたいと考えている。

安定は誰かが与えてくれるものではなく、自分で築き続けるものだ。だからこそ、学生が早い段階から社会に触れ、自分のキャリアを主体的に考えられる機会を創っていく必要があると強く感じている。

この記事を書いた人
伊東里紗
【学生団体 】産学恋愛組織委員会 代表
椙山女学園大学 国際言語コミュニケーション学科に在籍し、現在は休学中。
【学生団体】産学恋愛組織委員会では、地元の学生が地元企業の魅力を発信するイベントを企画・運営。楽しみながら地域を知り、企業と学生がお互いに興味を持ち始めるような出会いの場づくりに取り組んでいる。
「就活は3年生から」「就職するなら東京」といった固定観念を手放し、地元で活躍する意欲を持つ生を増やすことを目指している。学生がさまざまな仕事に触れ、未来を自由に描ける「学生のキッザニア」を目指す。


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