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2026.02.06 15:02

“人口減少社会”で若き経営者が目指すべきビジネスモデル…「日本人であることのアドバンテージ」を生かす方法


自身も学生起業の経験を持ち、数多くの大企業で経営参謀を務めてきた株式会社サクラサク代表取締役の山崎伸治氏が、次世代を担うZ世代経営者の悩みに答え、ともに将来を切り開いていく「Special Mentor」。今回の相談者は、無限開拓株式会社代表取締役の上野光一氏です。

25歳で起業し、3年間で約5000人と1対1で対話してきたという上野氏。多くの人が抱える「集客」の課題を解決するため、SNS運用代行サービス「無限開拓」を立ち上げました。

彼のビジネスの根幹にあるのは「共感」というキーワード。人口が減少していくこれからの時代、「共感」を軸とした営業は一過性のものなのか、それとも普遍的な価値を持つのか。壮大なビジョンを抱く若き経営者の悩みに、山崎氏が鋭く切り込みます。

コンプレックスが武器になる「国」を作りたい

山崎:まず自己紹介を兼ねて、ご自身の人生やビジネスのゴール、そして強みについて教えていただけますか。事業内容を「誰に、何を、いくらで」売る会社なのか、分解して教えてください。

上野:かしこまりました。1997年3月生まれ、大阪で育ちました。3年前に個人事業主として活動を始め、2025年10月30日に無限開拓株式会社を設立しました。

なぜビジネスを始めたかというと、25歳まで約20業種の仕事を経験し、オーストラリアにも1年間滞在するなど、さまざまな経験をする中で、何度も死のうと思ったことがありました。その中で、やはり自分自身の人生は自分で作らないといけないと思い、25歳で起業しました。

そこから約3年間で5000人くらいの方とお会いし、1対1で打ち合わせをさせていただきました。Z世代の中では人と会っているほうだと思います。人が好きで、人との関わりの中で自分を成長させ、情報をいただき、次の自分につなげていきたいと考えています。

多くの方の課題に触れる中で、集客、人材、お金に関する相談が8割から9割を占めると感じ、その中でも「集客」に重きを置いて「無限開拓」という会社を作りました。

山崎:人生の最期、死ぬ瞬間を思い描いてみてほしいのですが、何を考え、どんな状態でいたいですか。

上野:人生のゴールとビジネスのゴールは近いところにあるのですが、僕は2042年3月18日に「国」を作ろうと思っています。その国では「コンプレックスが武器になる」「生きてから死ぬまでがアートになる」ということを掲げています。

僕は人こそが最大の「アート」だと思っており、いろんな人の「アート」に触れながら死んでいきたいです。

山崎:なるほど。人それぞれの「アート」に包まれて死ぬということですね。自分もアートだし、他人のアートも受け入れて、「みんなのアートを感じている」と思いながら死にたいと。素晴らしいですね。

上野:はい。僕の中には人生理念、そして経営理念として3つの軸があります。1つ目は「生きてる今に感謝する」。自分を嫌っていた過去の自分もいるから今があり、今があるから未来がある。最高だなと。

2つ目は「十人十色を受け入れる」。僕のことが嫌いな人も、僕にとっては価値があり、糧となり、成長につながります。

そして最後に「すべての物事は自責になる」。結局は全部自分の責任ですが、その責任ですべてを変えていけると信じています。これが僕の人生と経営の軸であり、やりたいことにつながっているのだと思います。

山崎:事業について、「誰に、何を、いくらで」という形に分解するとどうなりますか。

上野:「無限開拓」というサービスは、法人経営者に対して、FacebookとLinkedInの運用代行を提供しています。目的は営業のリード獲得、つまり集客の入り口を作ることです。価格は毎月3万円でやらせていただいています。

人口減少社会において「共感」は変わらない価値になる

山崎:上野さんのサービスの特色はどこにありますか?

上野:「無限開拓」を作る際、集客を軸に置きつつも、僕が最も大事にしているのは「共感」です。山崎さんも動画でおっしゃっていましたが、2006年から日本の人口は減少し、男性よりも女性の視点が重要になる時代が来ていると感じています。

山崎:時代には大きな流れがあります。人口が増加する「人口ボーナス期」と、減少していく「人口オーナス期」の社会は全く違う。人口ボーナス期は、作れば売れるので「オラオラ行くぞ」という体育会系の男性的なアプローチで通用しました。

しかし、人口減少期に「オラオラ」やっても、買う人が減っている。だからこそ、共に悩み、共に考える「共感」や「協調」、共に創る「共創」の時代になっていく。僕はこれを「時代社会がソフト化する」と呼んでいます。これは人口減少期の特徴であり、ゴールに向かって突き進むのではなく、分かち合いながらしなやかに変化していく女性的な視点が求められます。

上野:そうした流れは今後も続くのでしょうか?

山崎:しばらく日本では続くでしょう。ですから、「共感」というキーワードを持って事業をされているのは非常に大事なことで、これはしばらく変わらない価値なので、軸足を移す必要はありません。

ただ、一つ感じたのは、「共感」というワードはわかるのですが、たとえば「共感営業」や「共感をベースにした顧客コミュニケーション」を、もっとブレイクダウンしていく必要があるということです。ビジネスは言語化です。

お客さんは「なんとなく7割いい、8割いい」では買いません。企業と対峙したとき、顧客の判断は必ず「0か100か」です。買うか、買わないか。このシンプルな事実を頭に入れると、0を100に変えなければならないことがわかります。

「共感」を言語化し、顧客を0から100へ動かす

上野:ここから先、自分で注力すべきことはなんでしょうか?

山崎:「共感」という言葉だけでは、まだ100にはなりません。100にするためには、「共感」をさらにブレイクダウンし、言語化し、顧客の心に響かせ、「やるしかない」と思わせる必要があります。

何をもって「共感」と言い、どんな世界観に顧客を導くのか。そのためのステップとして、どのような営業、コミュニケーション、トークスクリプトを用意するのか。そこまで具体化していくことで、それが御社の独自性であり、強みになるはずです。

向かっている方向性、つまり「真の北極星(トゥルーノース)」は正しい。あとは、そこに至る道筋をよりクリアにして、クライアントを0から100へ引きずり込むくらいに納得させてほしい。そこをイメージできるかどうかが差になります。

上野:ありがとうございます。まだ大きな枠組みで見すぎていました。もっと細かい点まで考えを詰めていかないといけないですね。

山崎:経営者の仕事は、脳から汗が滴り落ちるくらい考えて、考えて、考え抜くことです。「共感をベースに人と人とをつなぐことについて、歴史上、世界で自分以上に考えた人間はいない」と言い切れるくらいまで考えてほしい。

僕もシニアマーケットで上場したとき、シニアについて考えた量、読んだ論文や本の数、試したトライアルの回数は世界一だと自信を持っていました。それくらいまで考え抜けば、何かが見えてくるはずです。

「納得、共感、満足のサイクル」は世界共通のトレンド

上野:「共感」という価値観は、日本だけでなく世界にも共通するものなのでしょうか。

山崎:同じだと思います。僕は今の大きな流れを「納得・共感・満足の時代」と呼んでいます。現代は情報が溢れているので、人々はまず「納得」しないと動きません。

そして、損得勘定だけでは長続きしないので、志などに「共感」して初めて強固な意思決定ができる。さらに、実際にやってみて「満足」しなければ、その体験は誰にも伝わらない。満足して初めて、口コミが生まれます。

上野:「納得・共感・満足」がすべてつながっているということですね。

山崎:この「納得・共感・満足」のサイクルを描き、顧客がまた次の誰かにつなげていくモデルを築くことが、ビジネスを拡大させる鍵です。このトレンドは、人口の増減に関わらず、世界の大きな流れになっていると感じますね。

昔と違い、今は瞬時に世界中の情報が伝わります。先進国の多くは人口減少期にあり、その価値観や空気感が、人口増加期にある国々にも影響を与えている。だから、このマインドセットは世界共通になりつつあると思います。

ビジネスプロセスの「秘孔」を突いたプロダクト

上野:僕のビジネスは、FacebookやLinkedInの運用代行というシンプルなものです。その中に「共感」という僕自身の経験をエッセンスとして加えています。ここからもう一つ新しいプロダクトを作るとしたら、どのような視点で作ればいいでしょうか。

山崎:マーケティングやセールスという分野には、何十年、何百年という歴史があります。僕の師匠であるフィリップ・コトラーは、マーケティングの究極のゴールは「世界平和(ピース)」だと言いました。僕も、マーケティングとは「愛」だと思っています。

セールスも同じで、商品を売るのではなく、関係性を築くプロセスに商品やサービスが介在するだけ。究極的にはすべて「愛」に行き着きます。その上で、御社が「共感」というキーワードで他社との違いを打ち出すのは正しい戦略です。問題は、それをどうブレイクダウンするか。

上野:そこが差別化にもつながるわけですね。

山崎:営業プロセスを分解してみてください。営業リスト作成、ファーストアプローチ、商談でのコミュニケーション、提供する商品そのものなど、多くのステップがあります。この中で、「共感」という価値を最も増幅でき、差別化につながるステップはどこか。それを考えるのです。

そして、最も影響力の高いところにプロダクトをぶつける。これがビジネスの鉄則です。まるで『北斗の拳』の秘孔のように、その一点を突けば勝てるというポイントが必ずあります。僕ら経営参謀の仕事は、その「秘孔」を見極めること。どのビジネスプロセスが最も効果的なのかを考え、そこにプロダクトをぶつけ、徹底的に磨き上げる。それが答えです。

上野:なるほど。今やっていることも、それに近いかもしれません。誰でもできる運用代行の中に、僕なりの「共感」を入れることで相手の懐に入り込む。その分解を、また別のプロダクトで、別のプロセスに当てはめていけばいいのですね。

山崎:その通りです。その「秘孔」は、自分で見つけなければ自分のものにはなりません。行動し、のたうち回りながら考える。誰も気にしないような、46度なのか46.5度なのかという細部にまで命を懸ける。そこにこだわり続ければ、絶対に負けません。

上野:ワクワクしてきました。こだわり続けることが僕の趣味みたいなもので、やめられないですね。

日本人であることのアドバンテージ

上野:先ほども申し上げましたが、僕には2042年に国を作りたいという夢があります。今の日本は大好きですが、同時に大嫌いな部分もある。みんながやりたいことをできない場所になっていると感じています。この計画を進めるにあたり、何を重きに置くべきでしょうか。

山崎:その夢は素晴らしいですが、「国」という手段にこだわる必要はないかもしれません。みんなが自分の個性をアートとして体現できる社会を作りたいのであれば、まずはどこかの地域で特区から始めるなど、小さく実験していくことができます。

ビジネスはすべて、小さく分けて分解することです。「みんなが好きなように生きられる社会」とは具体的にどういうことか。若者にとって、シニアにとって、それはどんな状態なのか。細かく定義していくことで、より立体的に見えてきます。

その上で、日本でやるべきか、海外でやるべきか。僕は、日本でやるべきだと考えます。なぜなら、日本人であること自体が、世界に対する圧倒的なアドバンテージだからです。

上野:なぜアドバンテージになるのでしょうか?

山崎:僕はシニアマーケットで世界一を目指しました。日本は世界で最も高齢化のスピードが速かった。だから、日本で一番になれば、自動的に世界一になれるとわかっていたのです。

日本人であることで、世界の他の人には勝てない何かをやるべきです。日本でそのモデルを創り出せば、世界から支持される可能性は高まります。それが、最もインパクトの大きいやり方ではないでしょうか。

上野:確かに。日本人でそれをやっている人はいませんね。

山崎:未来を担う若者が熱意を持って話してくれるのは、僕にとっても非常に嬉しいことです。僕らが持っている思いを次の世代に渡し、皆さんが決意を持って日本を変えていってくれることを期待しています。ぜひ頑張ってください。

本記事でご紹介した対談の様子を、動画でもご覧いただけます。
記事だけでは伝えきれない「現場の熱量」を感じてみてください。

 

Mentor
山崎 伸治
株式会社サクラサク 代表取締役
京都大学経済学部卒業後、長銀、米系大手戦略コンサル、ベイン&カンパニーを経て起業し、上場を経験。現在は有名大企業の経営顧問を15社歴任するかたわら、25社以上のスタートアップに投資・成長支援を行うなど、“経営のプロフェッショナル”として活躍。


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