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2025.12.10 17:00

「とにかく人に喜ばれる仕事につきたい」IT企業経営者が振り返る“天職を確信できた瞬間”


「とにかく人に喜ばれる仕事につきたい」。システックITソリューション株式会社の代表取締役社長の市克吉氏は自身の仕事観の原点をそう語ります。

多くの苦労を乗り越え、お客様の「ありがとう」という一言を原動力にしてきた市氏。その言葉の裏には、どのような経験と哲学が隠されているのでしょうか。20代で熱中した意外な趣味から、仕事の楽しさに目覚めた瞬間、そしてこれからの未来を担うZ世代への熱いメッセージまで深くお話を伺いました。


人に喜んでもらえる仕事につきたい

もし市氏が今、学生として就職活動をするなら、どのような働き方を選ぶのでしょうか。この問いに対し、市氏は迷いなく答えます。

「とにかく人に喜ばれる、そういう仕事につきたいですね」

その理由は市氏が考える人間が生きる本質にありました。

「人間は一人では生きていけません。農家さんがお米や野菜を作ってくれる、大工さんが家を建ててくれる。いろんな人たちが、いろんな仕事をしてくれているおかげで、自分たちが今こうやって生きていけているんです」

社会は人々の支え合いで成り立っている。だからこそ、自分も「人のために役立つ仕事」がしたい。そして、人のために役立つということは、イコール「喜んでもらえる仕事」に直結していくと市氏は考えています。

「もし今自分が学生だったら、そういう事業や仕事について、いろいろと調べるかなと思いますね」

20代で熱中したのは鯉釣り。その手応えは忘れられない

仕事論から一転、20代の頃に最も熱中したことを尋ねると、意外な答えが返ってきました。

「当時は結構釣りをやってたんです。それも川での鯉釣り専門で」

そのきっかけは、小学生の頃に見ていたアニメ『釣りキチ三平』。作中の主人公に感化され、釣りの世界にのめり込んでいったといいます。海から遠い地域に住んでいたため、身近な川で釣れる鯉がメインターゲットになりました。なぜ、鯉だったのか。その魅力は、ほかの魚とは比べ物にならないほどの強烈な「引き」にありました。

「初めて釣り上げた時の感触っていうのは未だに忘れられないですね。小さな寸法の鯉でもめちゃくちゃ引くんですよ。竿がぐっとしなるのですぐ分かる。その手応えが面白くて」

鯉は釣るだけでなく、食べても美味しいと市氏は熱弁。特に冬場の鯉を「洗い」にし、すみそで食べる味は格別だとか。その美味しさをまだ知らない社内の若手のために、近々鯉料理のお店を予約しているというエピソードからも市氏の面倒見のいい人柄がうかがえます。

苦労をしても「やっててよかった」と思えた瞬間

仕事の楽しさを初めて実感したのは、システム会社に就職して間もない頃でした。某大手化学メーカーの工場で、生産管理システムの開発をほぼ1人で担当することになったのです。

「当時はめちゃくちゃ苦労しました。何かあっても聞く人がいない。自分でああでもない、こうでもないと試行錯誤しながら作っていきました」

いつやめてやろうかとさえ思いながら、必死で作り上げたシステム。それが劇的な成果を生み出します。システム導入前は毎月何件も発生していたという製品の「誤出荷」が、なんとゼロになったのです。

「ハンディターミナルでバーコードを読み取って照合する仕組みを作ったところ、誤出荷がゼロになりました。その結果、窓口だったお客様の担当者が工場長表彰を受けたんです」

その話を聞いたとき、「心の底から嬉しかった」と市氏は振り返ります。

「『本当にこのシステムをやってよかった』というその一言をもらった瞬間がものすごくありがたかった。あぁ、やってよかったなって思えた瞬間でしたね」

お客様の喜びが自身の喜びになる。この経験が市氏の仕事観を決定づける大きな転機となりました。苦労が報われ、自分の仕事が人の役に立っていると実感できたことで、「この仕事は自分にとって天職かもしれない」と思えるようになったのです。

未来をポジティブに語り合える若者と働きたい

最後にこれから社会に出る若い世代へのアドバイスをいただきました。

「自分が選んだ仕事や会社であれば、やっぱり『石の上にも3年』。何があろうとも3年間はやってみてはどうかなと思います」

理想と現実のギャップに戸惑うこともあるかもしれません。しかし、自分で「これだ」と信じて飛び込んだ道ならば、多少のことは乗り越えて続けてみてほしいと市氏は語ります。

「苦労した先にお客様がめちゃくちゃ喜んでくれる。そうなると、この最高のお客様の笑顔に会うために僕はいるんだと思えるかもしれない。だから、自分の直感を信じたほうがいいと思いますね」

では、どんな若者と一緒に働きたいか。それは「将来の夢をちゃんと描いている若者」とのこと。

「『将来こうなりたい』という自分を描けている若者は生き生きしていますよね。そして、これから世界や日本がどう変わっていくか、未来のことをネガティブではなく、ポジティブな形で語り合える関係性を築いていきたいです」

過去がどうだったかではなく、これから先の未来をどうしていくか。同社が手掛ける学校向けの校務支援システムに触れ、「今後の学校の存在意義がどうなっていくといいか、なんて話を一緒にできると、今の事業ももっと面白くなるんじゃないかな」と、未来への期待を語ってくれました。


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