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2026.02.17 17:00

サンコンさん夫妻が考える「幸せの原点」…ギニアの食文化から学ぶ“本当の喜び”


「幸せって、実はなんだったっけ」。

目まぐるしく変化する社会の中で、私たちは時に働く意味を見失い、何が本当の豊かさなのか分からなくなってしまうことがあります。

元駐日ギニア大使館大使補佐官でタレントのオスマン・サンコンさんと、その妻であり日本ギニア友好協会で活動する北山みつきさんは、そんな現代社会に生きる私たちに、力強いメッセージを投げかけます。

それは、ギニアの文化に根付く「みんなで食べること」の大切さ。そして、常に未来を見据え、他者のために行動する「ビジョン」を持つことの尊さです。お二人の言葉から、私たちが忘れかけていた「生きる喜び」と「幸せの原点」を探ります。

もし学生だったら「農業をやりたい」

もし、今あなたが学生だったら、どんな働き方を選びますか。この問いに対し、サンコンさんは少し意外な答えを口にしました。

「農業とかね。エンディングないから。永遠にやってることなんで。収穫して、食べて。家族にも食べさせて。僕、兄弟22人だから。周りに食べさせてあげられる。そういうのいいなあって」

ギニアでは、食べ物などを持っている人が、持っていない人に提供するのはごく自然なことなのだと言います。この考え方について、北山さんも深く頷きます。

「自分だけよければいいっていう感覚じゃないんですよね、やっぱり。食べることに関しては特に。みんなで食べましょうっていうのが伝わってきて、あれはいいなと思いました」

今の日本社会が抱える孤立や孤独。その一つの要因は「みんなでご飯を食べる」という原体験の欠如にあるのではないかと北山さんは指摘します。

「何のために働いてるかすらわかんなくなっちゃって、頭ぐるぐるになっちゃうんですよ。幸せって実はなんだったっけ、みたいな。みんなでご飯食べて笑いながら、今日も一日お腹いっぱいになったねっていうのがベースだと思うんですよね」

ギニアでは、大きなお皿に盛られた料理を、みんなで手を使って囲むと言います。手の感触で温かさを感じ、笑い合いながら同じものを食べる。それこそがだんらんであり、生きている実感そのものなのかもしれません。

自分の国境を越えて、世界のことを知りたい

サンコンさんが20代の頃、最も熱中したこと。それは、自分の国の外にある世界を知ることでした。フランスの大学を卒業後、ギニアの外務省に入省。20代半ばには海外へ渡り、外交官としての道を歩み始めます。

「自分の国以外のほかの国の、どういう生き方をしてるかとか、どういうことをやってるかとか。国境を越えて、世界のことに興味を持つことになりました。外交官になっていろんな国を訪れましたが、一番遠いのが日本でした。自分の国から30時間ぐらいかかるんで」

51年前、彼はギニア大使館を設立するという大きな使命を背負い、日本に降り立ちました。日本語もわからず、文化も違う未知の国。そんな異国に根付き、50年以上日本で暮らすサンコンさんは、日本のことが大好きだと語ります。その理由は何なのでしょうか。

「まず一番びっくりしたのは、お米があったから。僕の国も同じ、主食はお米。ほっとしました。あと、日本はたぶん世界で一番安全。一番安心の国です。日本人はそれが当たり前と思ってるのね。でも、夜中に女性が一人で歩けるなんて、すごいこと。日本ってすごいいい国だなって」

 当たり前のように享受している平和や安全。しかし、それは世界的に見れば決して当たり前ではないという事実に、私たちはもっと感謝すべきなのかもしれません。さらに、サンコンさんは日本の自然を大切にする文化にも心を惹かれたと話します。

「平和的で、自然のことをすごく大事にしてる。川はきれいだし、緑はすごく多いし。この国は合ってるな、と感じました」

 外からの視点によって、私たちは自国の魅力や価値を再発見させられます。

新しいものにチャレンジする心をいつも持っていた

もし若い頃の自分にアドバイスするとしたら、どんな言葉をかけますか。その質問に対してサンコンさんは「趣味を持ったほうがいい」と答えます。仕事一辺倒ではなく、心から楽しいと思える時間を持つことの重要性を説きます。

「嫌々じゃなくて、嬉しくて、楽しくて。そういう時間があったほうがいいよね、やっぱり」

サンコンさん自身の趣味は囲碁。10年ほど前から続けているそうです。

一方、北山さんは「なんでも体験したほうがいいよ」と、行動することの価値を力説します。

「体験しないと人にも言えないし、やっぱりこう伝わらないじゃない。行動力って本当に大事だと思います」

北山さん自身、その言葉を体現するかのように、これまで60カ国以上を旅してきました。そのアクティブな生き方は、サンコンさんとの結婚、そしてギニアに小学校を建設するという大きなビジョンへとつながっています。

「一夫多妻なんて周りにいないから相談者もいない。開拓者であれ、です。新しいものにチャレンジする心をいつも持っていました」。

北山さんは現在、ギニアの地方に日本語学校を併設した小学校を建設するプロジェクトを進めています。

「それが私のビジョンなの。それをやるために一生懸命日々働いてるの」。

明確な目標を持ち、その実現のために情熱を注ぐ。その姿は、ただお金を稼ぐためだけに働くのではなく、社会や他者への貢献に喜びを見いだすという、新しい働き方のモデルを示しているようです。

なんでも興味を持ってチャレンジする若者と働きたい

最後に、どんな若者と一緒に働きたいかと尋ねると、サンコンさんは即答しました。

「なんでも興味ある若者。新しいことを学んで、チャレンジする。そういう若者がいいなあって思います。受け身ではなく、自ら好奇心を持って物事に取り組み、挑戦を恐れない姿勢。それこそが、未来を切り開く力になるはずです」

 北山さんも、若い世代にはどんどん海外に出て、多様な価値観に触れてほしいと願っています。

「知らないで生きるのと、知ってて生きるの、これね、全然違うのよ。若いうちにその経験を持っておくと、生み出されるアイデアとか、先の未来を考えるにしても、インターネットの中だけだとやっぱりわかんないと思う」。

画面越しの情報だけでは得られない、肌で感じるリアルな体験。水が当たり前に使えない不便さや、子どもたちの瞳の輝き。そうした経験の一つひとつが、私たちを人間的に成長させ、日常にある当たり前のことへの感謝の気持ちを思い出させてくれます。


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