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2026.02.26 17:00

「変化を恐れず挑戦できる人材が勝つ社会を創る」元研究者社長が掲げる“不確実な時代を生き抜くキャリア戦略”


変化の激しい現代において、私たちはキャリアとどう向き合っていくべきなのでしょうか。5年後、10年後さえ予測が難しい時代だからこそ、特定のスキルに固執するのではなく、自ら課題を打破し、時代を掴む力が求められます。

株式会社就活3.0代表取締役社長、辻翔太氏は自身の経験を振り返りながら、これからの時代を生きる若者たちにメッセージを送ります。

変化適応力を鍛えることがキャリアの幅を広げる鍵

もし、今ご自身が学生だったら、どのような働き方を選びますか。この問いに対し、辻氏は少し考えた後、自身の過去を振り返りながら語りました。

「もともと学生時代にやりたいことが明確に決まっていたわけではありませんでした」

獣医学系の大学院で修士課程まで修了した辻氏。その専門性を活かさないのは、学費を出してくれた親に申し訳ないという思いから、研究職の道へ進んだといいます。しかし、それは「なんとなく」で進んだ道であり、心からやりたいことを見つけられないままでした。

「私がもし今、学生に戻るのであれば、挑戦を尊重してくれる会社を選びます。キャリアに対する考え方は、社会を知ることで変わっていくものです。なので、例えばいろんな部署を経験できるようなジョブローテーションや公募システムが整っている会社、自ら手を挙げれば機会をくれるような会社は理想的だと思います」

固定のスキルよりも、課題を打破する力や、最先端の状況を掴んで仕事に反映させていく力が求められる。そうした能力を鍛えられる環境に身を置きたいと辻氏は考えています。

「今の時代は、変化適応力のようなものが問われていると思っています。新しい技術への適応、多様性ある人材に対する適応、社会ニーズの変化に対する適応など、変化が激しいからこそ常にその変化を敏感に感じ取り、食わず嫌いせず触れてみる。そうした能力を鍛えられる環境に身を置くことは非常に大事で、結果として自身の将来の可能性を広げることに繋がっていくはずです」

多様性の時代だからこそ、一つの専門性を研ぎ澄ますだけでなく、専門外のことも学び、自分の中でシナジーを生み出していく。それがほかの人とは違う差別化に繋がり、今の時代にあった成長を得られるのではないか。辻氏の言葉には、変化を恐れず、むしろ楽しもうとする力強い意志が感じられます。

社会人としての基盤は研究室で形成された

そんな辻氏が20代の頃に最も熱中したこと、それは「研究活動」でした。理系の大学に所属していた辻氏は、20歳頃から研究室に所属し、大学院を修了する24歳頃まで研究に明け暮れる日々を送ります。

「未知の領域を明らかにしていくのが、すごく楽しかったんです。研究というのは、99回の失敗の上に1回の成功があるような世界です。何度もうまくいかない中で、いろんな人に頼ったり、論文を調査したりしながら、少しずつ可能性を見つけて試していく。そのプロセスでだんだんと成果に繋がっていくんです」

それは、与えられた仕事をこなすアルバイトとはまったく違う、自発的・自律的にミッションへ取り組んだ初めての経験。この研究活動こそが、現在の社会人としての基盤を形成したと、辻氏は確信しています。

ちなみに、辻氏が専門としていたのは遺伝子工学。当時、発症原因が明確になっていなかった「てんかん」という病気について、どの遺伝子が影響しているのかを突き止める研究に没頭していたそうです。治療法が確立されていない病気に対し、有効な薬を開発するための一助となるべく、日夜研究に励んでいました。

若き日の自分へ伝えたい「もっとバリバリ挑戦しろ」

新入社員時代の自分に今アドバイスするなら、どんな言葉をかけますか。この質問に、辻氏は迷いなくこう答えました。

「『もっと挑戦しなさい』ですね。当時から、飲み会幹事や社内レクリエーションの企画運営、労働組合など皆がやりたがらないことに自ら手を挙げるタイプでした。会社の労働効率の悪さを改善するため、入社2年目にもかかわらず体制の改善提案書を作成し、役員に直接渡したこともありました。今思えば、身の程知らずな生意気な新卒だったかもしれません。でも、今振り返ればもっとやれたはずなんです」

 そう笑いながらも、その経験が本当によかったと振り返ります。

「そういった経験の中で、たくさん失敗できました。自分ではできると思っていたのに、いざやってみると自分の無力さを痛感したり、完璧だと思った提案書が全然ダメだったり。小さい単位での挫折をたくさん経験できたことがすごくよかったです」

その経験があったからこそ、30代になり、マネジメントや経営をする立場になった今、業務のどこにリスクがありどう回避すべきか、どこは恐れずアクセルを踏むべきか、多角的に想像できていると感じる。若い時期の多くの挑戦が現在の自分を支えているとのこと。

「当時は自分なりに挑戦をしているつもりだったものの、起業して多くの若手経営者の方々と出会う中で、20代で大きな挑戦をして成果を出している方が山のようにいます。そうした方々を見ていると、当時の私の挑戦や努力は井の中の蛙でした。本来新卒1年目、2年目なんて、失敗してもまったく恥ずかしくない貴重な時期です。その時期にいかに挑戦して失敗を重ね、成長の礎を築けるか。それが、いち早く会社に貢献し、お客様への価値提供に繋がる一番の近道です。そして、そうした目の前の仕事に全力で向き合うことが、いずれやりたいことが見つかった際にその成功可能性を高めるための大事な準備となります」

挑戦を楽しめる人、そして誠実な人と一緒に働きたい

最後に、どのような若者と一緒に働きたいかを尋ねると、辻氏は2つのキーワードを挙げました。

「一つは、『挑戦を楽しめる人』ですね。機会があれば積極的に掴みにいく、挑戦に対して貪欲な姿勢を持つ人こそが、結果として社会で活躍していけると考えています」

そして、もう一つが「誠実な人」です

「ビジネスの世界には、残念ながら自社の儲けのために、お客様ファーストではない、少し汚いやり方をしてしまう会社も存在します。そうした会社が、適切な市場成長を阻害している場面を多く見てきました」

だからこそ、自身の会社は遠回りになるかもしれないけれど、誠実で、恥じることがない仕事を貫き通したい。その理念に共感してくれる人と共に歩みたいと、辻氏は熱く語ります。

「失敗をしたら隠さずに報告し合える関係性。嘘をつかない。リモートワークでもお互いを信頼し合える。そういった『誠実さ』という繋がりの中で、信頼感を持ち合える方たちと一緒に働きたいです」

挑戦を恐れず、常に誠実であれ。辻氏が語るキャリア論は、不確実な時代を生きる私たちにとって、確かな道標となるのではないでしょうか。


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