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2026.03.19 16:00

「タイパなんて語る前に今日を真剣に生きているか」毎朝4時起きの経営者が若者に伝えたい“仕事の本質”


「今を一生懸命生きること」を哲学として掲げ、次世代のための事業を展開する株式会社スタートアップラボ代表の平川喬氏。

その原点は、NTTドコモで新規事業開発に没頭し、プライベートのほぼ全てを仕事に捧げた20代の猛烈な経験。なぜ彼はそこまで仕事に打ち込めたのか、その経験は現在の事業にどう繋がったのか。

仕事の楽しさを見出した瞬間から「タイパ」を語る若者へ伝えた思いまで、平川氏のキャリアの原点と未来へのビジョンに迫ります。

仕事に捧げた20代。3日間会社に泊まり込むことも

キャリアの原点を尋ねると、平川氏はNTTドコモに勤務していた20代を振り返ります。

「採用当時はエンジニアだったんですよ。上司からの指示を聞かない、サラリーマン適性がないタイプ。不器用ながら仕事は、僕なりに一生懸命にしていました」

スマートフォンが世の中に浸透し始めた頃、同氏は新規事業開発を担当。スマートフォン以外の領域を切り拓くため、スタートアップ企業や大学、国と連携しながら、社会課題の解決に繋がる仕事に没頭したといいます。

「3日間会社に泊まり込むこともありましたし、プライベートはほとんどなかった。本当に仕事の記憶しかないんです」と、当時を笑いながら語る平川氏。仕事漬けの日々の中で、初めて「仕事が楽しい」と思えたのはどんな瞬間だったのでしょうか。

「若くてもベテランでも同じだと思うんですけど、自己決定ができるポジションの仕事はやっぱり楽しかったですね」

平川氏の言う「自己決定」とは、例えば経営者であれば採用や投資、事業戦略などを決めること。一方で、3万人規模の大企業にいた同氏にとっての自己決定は、上司からの信頼の証でした。

「『平川、この業務を3か月間やるから任せるぞ』と。やり方も含めて裁量を渡され、しかも、期待されていると感じたとき、責任も生まれるし、それが精神的なドライバーになりました。だからこそ、長く頑張れたのかなと思います」

信頼され、裁量を与えられること。それが責任感とモチベーションを生み、仕事の楽しさに繋がったと分析します。

タイパを語る前に問う。「今」を一生懸命生きているか

そんな平川氏が、もし新入社員時代の自分や今の若者にアドバイスするとしたら、どんな言葉をかけるのでしょうか。

「『今を一生懸命生きてほしい』と若い人たちにはいつも言っています」

その真意を、最近よく聞かれる「タイパ(タイムパフォーマンス)」という言葉を例に説明します。

「タイパというのは、時間あたりのパフォーマンス、つまり時間分の価値ですよね。でも、なんとなく日常を過ごしている人にタイパなんてないと思うんです。1年後、2年後のなりたい自分を想像し、その目的のために今日1日をどう使うか。仕事、プライベート、人間関係、そのすべてをポートフォリオとして組んで、ベストコンディションで過ごしてほしい。別に爆裂に仕事しろと言っているわけじゃない。ちゃんと自分の持ち場で真剣に生きているのか、ということです」

その言葉を自ら実践するかのように、平川氏は毎朝4時に起き、瞑想、ランニング、筋トレを3年間続けているといいます。それは、朝一番の仕事の質を最大限に高め、顧客に最高の価値を提供するためのコンディショニングに他なりません。

「1日の時間の使い方、もっと言うと朝の時間の使い方は重視したほうがいい。そうして一日一日を大切に生きた結果として『タイパ』というならいいけれど、何もないのにただタイパというのは、うすっぺらな気がしてしまいますね」

次世代のために社会基盤を。それは僕らの「おせっかい」

平川氏が掲げるミッションは「次世代へ希望ある未来を創造する」この言葉には、どのような想いが込められているのでしょうか。

「これは次世代に向けたメッセージであると同時に、実は我々自身に対する『こうあるべきだ』という宣言、内省する言葉なんです」

背景には、日本の未来に対する強い課題意識があります。人口減少、国際的な産業競争力の低下、そしてそれに伴う実質賃金の低下。このままでは、自分の息子たちの世代が社会に出る頃、希望を持って就職活動ができるだろうか、という危機感です。

「今の大学生を見ていると、選択肢が広い時代にもかかわらず、非常に安定志向でワクワクしている感じがしない。幸福度調査を見ても、若者や中高年の幸福度は低いままです」

だからこそ、親世代である自分たちが、経済基盤や付加価値が創出される社会基盤をきちんと作ってあげなければいけない。それは社会的な責任であり、「おせっかいな気持ち」なのだと語ります。その具体的なアクションが、スタートアップ企業に対する公的資金、つまり補助金の活用支援です。

「国が定める成長領域でチャレンジするスタートアップに、適正な公的資金を再分配する。それによって設備投資や人材採用が活発になり、賃金が生まれ、社会が豊かになる。その結果として、希望ある未来の創造に繋がっていく。その1mmでも貢献できたらいいなと思って事業をやっています。」

驚くべきことに、補助金制度は活用できるにもかかわらず、8割のスタートアップはその存在を知らないといいます。平川氏の事業は、未来を創るチャレンジャーたちに、知られざる武器を提供するという重要な役割を担っているのです。

「情熱的で、今を一生懸命生きている人と働きたい」

最後に、どんな若者と一緒に働きたいかを尋ねました。

「情熱的な人間ですね。成長思考があって、チャレンジングな人。そして、やはり『今を一生懸命生きている人』。そういう人と未来志向で働きたいです」

人生は有限であり、限られた時間の中で世の中にどんな痕跡を刻めるか。平川氏の言葉の端々からは、一日一日を真剣に生きる覚悟と、次世代への温かい眼差しが感じられました。

「早く始めたほうがいい。僕も昔はできていなかったからこそ、強くそう思います」

未来への希望は、誰かが与えてくれるものではなく、今この瞬間をどう生きるか、その積み重ねの中から生まれてくるのかもしれません。


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