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2026.04.07 13:00

「やりたいことがなくてもリーダーになれる」南信州で歩みを進める“地方創生の新しい道”


「僕は今でも2番目がいいと思っているんです」

長野県飯田市、通称「南信州」と呼ばれるこの地で、介護、医療、小売、保育といった多彩な事業を展開し、地域の暮らしを支えるKAFUNE GROUP。その代表である小林孝至氏は、穏やかな口調でそう語り始めました。

多くのリーダーが自らのビジョンを熱く語る中、なぜ彼は自らを「No.2タイプ」だと称するのでしょうか。

そこには、やりたいことが見つからずに悩む現代の若者たちへ向けた、新しいキャリアの可能性と、これからの時代のリーダーシップの形がありました。

実力をつけるために「ブラック企業を選ぶ」

もし、今の知識を持たないまま、現代の学生に時間を戻せるとしたら、どんな働き方を選びますか。この問いに対し、小林氏は少し考えた後、意外な答えを口にしました。

「普通に大手を目指す学生になるかなと思います。そして、誰かを支えるようなポジションを狙っていく気がしますね」

彼がイメージするのは、自らが先頭に立つのではなく、誰かを支える「No.2」のような存在。しかし、もし今のマインドを持ったまま戻れるのであれば、その選択は少し変わると言います。

「マインドだけなら、ブラック企業を選びますね。そこで自分の実力を上げていく。どうせやりたいことは見つかっていないと思うので、とにかく力をつけに行くのが一番いいかなと」

多くの人が避けたいと思うであろう厳しい環境。しかし、そこに身を置くことで得られる経験と実力こそが、未来の選択肢を広げるための礎になると考えているのです。

リーダーシップは自然と育まれる

「起業家さんのように、自分から燃えていてやりたいことがある人って、ほっといてもどこかに向かっていくじゃないですか。でも、僕はそのタイプじゃないんです」

小林氏は自らをそう分析します。今の若い人たちも、大学生くらいでは「やりたいこと」が簡単に見つかるわけではない、と彼は共感を示します。だからこそ、伝えたいメッセージがあるのです。

「リーダーになるというのは、やりたいことを見つけなくても、結果的になれるもの。僕みたいに自発的にリーダーになりたくなくても、環境やまわりの人たちから求められてなる、という選択肢もあるんじゃないでしょうか」

誰かのために、地域のために。その想いに応えようとする中で、自然とリーダーシップは育まれていく。必ずしも、燃えるような情熱や壮大な夢からスタートする必要はないのかもしれません。

仕事が楽しくて、前の会社を辞めたくなかった

小林氏のキャリアは、意外にも現在の事業とは全く異なる分野から始まりました。大学卒業後、就職したのは樹脂加工メーカー。製品開発部に所属し、ものづくりの世界に没頭しました。

「20代前半は、大学まで続けていたラグビーや、ファッション、ゲームに熱中するごく普通のサラリーマンでした」

しかし仕事では、大きなプロジェクトを任されます。それは、大手住宅設備メーカーTOTOのお風呂の蓋を軽量化するという共同開発でした。

「昔の蓋は2kgくらいあって、すごく重かったんです。それを800gまで軽くするというプロジェクトで、僕が開発を担当しました。3年間の開発期間を経て、表皮の貼り合わせの技術を確立。その後、量産化のための設備導入まで、計5年間にわたってその製品に携わりました。開発したものが最終的に量産になって、本当に形になって出てきたときは、めちゃくちゃ達成感がありましたね。仕事は楽しくて、前の会社を辞めたくなかったんです」

専門的なことに没頭できる環境は、彼にとって非常に居心地の良い場所でした。

事業承継というリアルな選択肢

充実した会社員生活。しかし、彼に大きな転機が訪れます。それは「結婚」でした。

高校時代から交際していた妻と、子どもを授かるタイミングで共に暮らすことを決意。当時、後継者がいなかった妻の実家の事業、すなわち現在のKAFUNE GROUPに入ることになったのです。

「東京の大学に行っていた頃には、まったく想像していなかった未来です。でも、結婚や出産というライフイベントで、人の道は大きく変わっていくんですよね」

この経験が、小林氏に新たな視点をもたらしました。

「今、起業ブームではありますが、事業承継という選択肢ももっと注目されていいはずです。地方には経営は順調でファンも多いのに、後継者がいないという理由だけで廃業を考えている会社やお店が数多く存在します。飯田市は『焼肉の街』なんですが、僕が大好きな肉屋さんも後継者不足で事業を続けられないかもしれないと聞いて、本気で個人で買いたいと思ったくらいです」

すでに顧客もビジネスモデルも確立されている場所で、自分の力を発揮する。それは、ゼロから事業を立ち上げるよりもリスクが低く、より大きな可能性を秘めているかもしれない、と小林氏は語ります。

「なくしちゃったらもったいないよね、というものを探してジョインしていく形は、これからの時代、もっと増えていくと思います」

ずっと住んでいきたい人と働きたい

「南信で生きるを支える」

この言葉を掲げるKAFUNE GROUPは、介護や医療から、コストコ商品の再販などを行う小売店、保育園の運営まで、一見すると関連性のない事業を多角的に展開しています。

しかし、その根底には一貫した想いがあります。それは、人口減少といった課題を抱える地域の暮らしを、ワンストップで支えるプラットフォームになること。

「困ったときにはカフネに連絡すればいい、という存在を目指しています。高齢者から子どもまで、多世代がつながる地域の実現が目標です」

そんな小林氏が一緒に働きたいと願うのは、どのような人物なのでしょうか。

「一番は、この南信州という地域が好きで、ここにずっと住んでいきたいと思っている人。地域を盛り上げたい、支えたいという気持ちがある人と一緒に働きたいですね」

そして、もう一つ。「リアルな話をすると」と前置きして、こう付け加えました。

「成長する気がある人です。自分を高めようという意識がないと、うちがハブになってみんなを助けていく、というマインドにはなれないと思うので」

やりたいことが見つからなくてもいい。誰かを支えたい、地域に貢献したいという想いがあれば、道は自ずと開けていく。小林氏の歩んできた道は、私たちにキャリアの多様性と、求められることで輝く新しいリーダーの姿を教えてくれているようでした。


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