「俺の爪痕残すぞ」という気持ちで取り組む…“インターネット元年世代”経営者の仕事論
「まず自分に惚れているかどうかですね」
そう力強く語るのは、株式会社サポート・コム代表取締役の岡井政英氏です。
「インターネット元年」と呼ばれた1995年に大学生活をスタート、IT業界の激動の波を乗りこえ、29歳で独立。常に最前線で戦い続けてきた経営者の目には、未来を担う若者たちはどう映っているのでしょうか。
Z世代が自分らしく輝き、仕事に情熱を燃やすための秘訣。そして、技術者が楽しさあふれる世界で働き続けるために本当に大切なこと。岡井氏の言葉の数々から、その答えを探ります。
20代で熱中した「創り出す面白さ」

2年間の浪人生活を経て入学した東京理科大学で、岡井氏は軽音楽に没頭していたといいます。
「ドラムやギターボーカルとして、バンド活動に明け暮れる日々を送っていました。学生時代はもうほんとにバンドばっかりでしたね。メンバーと音楽を作り出す喜び、スキルを磨いてクオリティを高めることの楽しさに取り憑かれていました。」
しかし、時代は大きな転換点を迎えていました。1995年、Windows95の登場とともに、「インターネット元年」が到来。パソコンやプログラミングが急速に社会に普及し始めたのです。
「経営工学科に在籍していたのですが、授業でプログラミングに触れ、その面白さを知りました。『工場のラインを最適化するツール』を開発する中で、『こんなワクワクする作業がそのまま仕事になったら楽しいだろうな』と、漠然とIT業界、そしてモノ作りの世界への道を意識し始めていたのです」
音楽もプログラミングも、ゼロから何かを創り出すクリエイティブな作業、そして自分の個性を最大限にアピールできる場所。この学生時代の経験が、後のキャリアの礎となりました。
仕事の手応えを初めて感じた瞬間

大学卒業後、岡井氏は日立系のIT企業に就職。ネットワークの設計構築というインフラ系の業務に5年間従事しました。
入社当初は長い研修期間があり、すぐに最前線で活躍できたわけではありません。しかし、次第に自分で仕事を回せるようになったとき、仕事の本当の楽しさに気づいたと振り返ります。
「自分の判断でこうやって作り込んで、お客さんに提案して、『あー、これいいじゃん、これで行こうよ』みたいになった瞬間は、やっぱりめちゃくちゃ手応えを感じますし、アドレナリン全開、興奮マックスになりますね!」
顧客の課題に対し、自らのクリエイティビティを発揮して応え、それが認められる喜び。この手応えが、岡井氏を突き動かす原動力となりました。
岡井氏は「20代のうちに起業する」という目標を掲げ、29歳で株式会社サポート・コムを設立。新たな挑戦の舞台へと足を踏み出したのです。
自分ごとで仕事に向き合うカルチャー

技術革新が激しいIT業界で、技術者が楽しさを失わずに働き続けるために、岡井氏が最も大切にしている哲学とは何でしょうか。
「自分のカラーを最大限どこまで出せるかってことを意識して、『今回もこの場所で俺の爪痕を残すぞ』っていう気持ちで仕事に取り組むようにしています。『いかにして自分のカラーを出すか』ばっかりいつも考えて仕事していますね。主体的に取り組むことで『仕事』が『志事』になると考えています。
言われたことをただこなすのではなく、常に「自分ごと」として捉え、プラスアルファの価値を創造しようとする姿勢。そこには、受け身の作業ではない、主体的な仕事の喜びがあります。
さらに「自分の個性を出すのが恥ずかしい」と考える若い世代へのアドバイスを聞いてみると岡井氏の答えは、驚くほどシンプルでした。
「まず自分に惚れているかどうかですね。自分自身を好きになり、自分のいいところをアピールしたいという自然な欲望を持つこと。いわば『ナルシスト』になることが重要だと思います。『俺はキムタクにはなれないが、キムタクも俺にはなれない!』の精神ですかね。
もし今の自分を好きになれないのなら、理想の自分を掲げ、そこに近づく道のりを描けばいい。SNSで他人と比べて落ち込むのではなく、「俺もどうやったらこのポジションにいけるんだろう」と、憧れをエネルギーに変えるべきだと説きます。自分を愛し、理想を追い求める。そのマインドセットこそが、個性を輝かせるための第一歩なのです。
「いちいちリアクションが大きい人」が未来を創る
最後に、どんな若者と一緒に働きたいかを尋ねると、岡井氏は「仕事に対して情熱がある方」「将来の夢を持っている方」といった要素に加え、ある意外な人物像を挙げました。
「いちいちリアクションがある方がいいですね、僕は。何かこう感動するとか喜ぶとか、そして怒るとか。そういうなんか感情の起伏が激し目にある人がいい」
外部講師として大手企業の新入社員研修に登壇する機会もある岡井氏は、優秀な若者ほどリアクションが大きく、興味の持ち方が半端じゃないと断言します。授業中、そして休憩時間にまで次々と質問が飛び出すような前のめりな姿勢。それこそが「やる気」の表れであり、共に未来を創っていきたいと願う若者の姿なのです。
学生時代の自分を振り返り、「後悔はあまりない」と語る岡井氏。しかし、もし今学生に戻れるなら、「自分が少しでも興味を持っていることがあるなら、しっかりとそこにフォーカスして、その分野に特化した中小企業を狙ってみるのもいいかな」とアドバイスを送ります。
社会の常識や企業の大小に囚われず、自らの情熱に従って道を選ぶ。その先にこそ、仕事の本当の楽しさが待っているのかもしれません。
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Future Leaders Hub 編集部