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2026.05.29 16:02

「親の年収に依存しない」教育ローンを構想…学生の“将来の稼ぐ力”を定量化しする挑戦


親の年収や資産に依存せざるを得ない日本の教育ローンの現状。その課題に挑む株式会社EduCareは、学生本人の「将来の稼ぐ力」を定量化して融資を行う「教育ROI」のモデルを掲げる。これはベンチャー投資の手法を個人に応用した革新的な指標だ。

同社代表の村上健太氏は、この挑戦を支える組織文化として「逆算思考」「先手先手」「オーナーシップ」の3つを大切にしている。最短距離で目標を達成し、社会を変えるために必要なマインドセットとは何か。

今回はEduCareが構想する次世代教育ファイナンスの全貌に加え、同社が求める人材像について村上氏へ伺った。

ベンチャー投資の手法を個人に応用した教育ファイナンス

── EduCareの教育ファイナンス事業について概要を教えてください。

現在、大学生向けの教育ローン事業はまだ準備段階で、正式なローンチには至っていませんが、「教育ROI」という考え方を軸にサービスを構想しています。

大学生はクレジットカードの利用履歴などが少なく、いわゆるクレジットヒストリーがないため、金融機関はどうしても親の年収や資産に依存せざるを得ず、連帯保証人が必要になるケースが一般的になっています。

そこで私たちは、学生本人の「将来の稼ぐ力」を定量化できれば、親に依存せずに融資が可能になるのではないかと考えています。「教育ROI」という指標を用いて学費を「分母」、将来の想定年収を「分子」として捉えます。

── 具体的には算出されているのでしょうか?

志望する学校やキャリアの方向性、学習データや出席率といった情報をもとに、「この学生は将来どれくらいの収入を得る可能性があるか」を推計するモデルを現在構築している段階です。

これはベンチャーキャピタルがスタートアップに対して、過去実績ではなく将来性を見て投資するのと同様に、それを個人に対して応用する考え方になります。アメリカでは、こうした教育ROIの発想をもとにローンを提供するスタートアップも存在しており、それをベンチマークしながら、日本向けにカスタマイズして展開していく予定です。

将来的には、「出世払い型の奨学金」のように、一定の収入に達してから返済を開始する仕組みも視野に入れており、学生が安心して学びに投資できる環境を作っていきたいですね。

── 現在の事業の手応えはいかがですか?

創業3年目となる昨年からようやく事業を本格的にスタートできたのですが、学び直しを求める社会人の方々などから多くの申し込みや問い合わせをいただいています。

その反応を通じて、「このサービスには確かなニーズがある」と実感できたことは、大きな手応えにつながっています。

「積み上げ思考」ではなく「逆算思考」を重視

── 村上さんが採用で大事にされているという「逆算思考」「先手先手」「オーナーシップ」とはどういう意味ですか?

「積み上げ思考」ではなく「逆算思考」を重視する考え方です。スタートアップは新しいことを最短で実現しようとするものなので、現状を少しずつ積み重ねて進むだけでは間に合わないんですよ。

例えば「3年後にこの売上を達成する」といったゴールを先に決め、そこから毎日の行動を逆算して計画しないと、目標としていた3年が5年になってしまうかもしれません。この逆算思考は、私自身が個人的に大切にしている考え方で、いろんな場で共有している価値観でもあるんです。

── 今は会社として、どのような逆算思考を持って経営にあたっていますか。

私たちはエクイティ投資を受けているので、数年後にIPOするか、あるいは大企業へのM&Aを実現し、投資家の方々にリターンを還元しなければなりません。そのため、「5年後にエグジットかM&Aか」を見据えながら、事業計画に落とし込んで日々活動しています。

スタートアップは人手が限られているので、どうしても他人の拾いきれなかったボールが次々と降ってきます。そんなとき、各メンバーが「これは自分の職務範囲じゃないけど、自分がボールを拾おう」といった形で、受け身ではなく能動的に動いてくれると、組織全体が大きく成長します。

この「先手を打って“自分ごと”として行動する」という姿勢は、オーナーシップにも近い価値観で、EduCareでは特に大事にしています。

「自分で主体的に責任を持って取り組んだ経験」は武器になる

── 社員のオーナーシップはどういう時に感じるものですか?

私は普段外出することが多いのですが、帰社すると「村上さん、これ僕がやります」とメンバーから声をかけてもらうことが多く、そういう時はやっぱり嬉しく感じますね。オフィスに戻ってくると、もう仕事が片付いていることもあり、本当に頼もしいなと実感しています。

もちろんメンバーにとっては大変なことも多いと思いますが、そのぶん私が働きやすい環境を整えるのが経営者の務めだと考えていて、しっかり恩返しをしていきたいと思っています。

── 今後、どんな若者と一緒に働きたいと思いますか?

「逆算思考」「先手先手」「オーナーシップ」の3つを体現してくれる方であれば、ぜひ一緒に働きたいと思っています。

学生時代にサークルや部活など、どんな小さなものでも構いませんので、自分でオーナーシップを持ってやり遂げた経験をお持ちだと理想的です。

これは私自身が十分に経験できなかったことへの反省でもあるのですが、「自分で主体的に責任を持って取り組んだ経験」があると、社会人になったときに大きな武器になるのではないでしょうか。

── 若者に期待することやメッセージがあればお聞かせください。

社会人になると、なかなかまとまった読書の時間を確保するのは難しくなります。なので、学生のうちは時間に余裕があると思うので、ぜひ読書の習慣を持たれるといいですね。本を通じて、自分がどのようなキャリアを歩みたいのか、そのために20代でどのような会社や業界を経験すべきかといった道筋も見えてくるはずです。

だからこそ、学生のうちに意識的に自分と向き合う時間をつくり、内省を深めていってほしいと思います。

<構成/古田島大介 撮影/山川修一>


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