「集中できる時間を集約する働き方を選びたい」壮絶な労働環境の末に見つけた“理想のワークスタイル”
株式会社フロンティアハウスの代表取締役社長CEO、佐藤勝彦氏。不動産業界でキャリアをスタートさせ、営業の最前線に立ち続けてきた同氏は自身の経験を振り返り、何を思うのでしょうか。
過去の壮絶な労働環境から見出した理想の働き方、20代で没頭した「心理学」、そしてこれからの時代を担う若者への熱いメッセージ。その言葉の数々から、ビジネスの核心に迫る情熱と哲学が浮かび上がってきます。
集中できる時間を集約する働き方を選びたい
もし、今の時代に学生として就職活動をするなら、どのような働き方を選びますか。この問いに対し、佐藤氏は自身の経験を交えながら、理想のワークスタイルを語りました。
「私が社会人になった頃は、朝8時から夜10時頃までずっと電話営業をするような時代でした。オフィスはタバコの煙でもうもうとしていて、休みは週に1回あれば満足という環境。8時間、9時間と集中し続けるのは、営業職ではなかなか難しいのが現実です」
1日に100件、200件と電話をかける中で、本当に集中できるのはピークの時間帯、わずか2時間程度だったと振り返ります。だからこそ、もし今選べるのであれば、「コアタイムを設けたフレックス制」や、自身のコンディションに合わせて働ける環境を求めると言います。
「フリーアドレスのオフィスや、時には外部からの連絡を遮断して没頭できる個室など、集中できる環境は非常に重要です。営業職はお客様の心を動かし、決断をリードしていく仕事。そのために、集中した時間の中でパフォーマンスを最大化できる環境を選びたいですね」
当時とは真逆ともいえる、多様で柔軟な働き方。それは、生産性を極限まで高めるための、佐藤氏なりの答えなのかもしれません。
顧客の心を動かす「行動心理学・購買心理学」に熱中

20代の頃、最も熱中したこと。それは仕事と深く結びついた「行動心理学・購買心理学」の探求でした。
佐藤氏が従事していたのは、マンション購入をまったく考えていない人へアプローチし、契約へと導くという難易度の高い営業。そこでは、人の心がどのように動き、購買に至るのかを深く理解する必要があったのです。
「どうすればお客さまに興味を持ってもらえるのか。そのきっかけ作りから契約に至るまで、まさに心理学が大きく作用します。お客さまが右脳タイプなのか左脳タイプなのか、例えば数字で示す方が響くのか、それとも時代の潮流といったドラマティックな話の方が心を動かされるのか。相手に合わせたアプローチの引き出しをいくつも用意していました」
特に富裕層、中でも歯科医師などの顧客を担当することが多かった佐藤氏。彼らの心を動かすために、どのような資料が効果的か、迷っているときにはどう後押しすべきか。関連する本を読み漁り、実践の場で仮説検証を繰り返す日々に没頭していたと語ります。
それは、単なるセールステクニックではありません。顧客の立場に立ち、その心理を深く理解しようとする真摯な探求心こそが、佐藤氏の営業スタイルの原点となっていたのです。
「仕事の本当の楽しさ」が生まれた瞬間

仕事が「楽しい」と思えた瞬間は、いつだったのでしょうか。
「もちろん、初めて契約をいただけたときはうれしかったです。そのお客さまとは今でも交流があるほど、私にとって特別な存在です。しかし、本当の意味で楽しさが湧き上がってきたのは、自分のリズムでコンスタントに数字を作れるようになったときでした」
それは入社して1年ほど経った頃。単発の成功ではなく、継続して成果を出せるようになったことで、会社や顧客からも認められているという実感が得られたと言います。
「野球でいえば、勝ち星が計算できる投手のような『読める社員』になること。そうなると、周囲からの評価も変わり、それが自信につながります。自信がみなぎると、歩き方や顔つきまで変わってくると先輩から言われましたが、まさにその通りでした」
しかし、その境地に至る道は決して平たんではありませんでした。実は、初契約までのスピードは同期の中で特別早くはなかったといいます。それでも心が折れなかった背景には、2つの大きな要因がありました。
1つは、入社前に「宅地建物取引士」(宅建)の資格を取得していたこと。当時、営業社員で資格を持つ者は少なく、他の課の契約に同行する機会に恵まれました。そこは、百戦錬磨の先輩たちが繰り広げる交渉術のライブステージ。「お客さまの断り文句から始まる契約の現場で、その応酬話法を間近で見られた経験は、何物にも代えがたい財産になりました」と語ります。
そしてもう1つが、高校時代に野球部を途中で辞めてしまったという過去の経験。「ここで辞めたら、すべてが『やめぐせ』になってしまう。自分で決めたことは、納得いくまでやり遂げなくてはならない」。その強い覚悟が、厳しい環境を乗り越えるためのブレーキとなり、佐藤氏を支え続けたのです。
若い人たちには、自分のために負荷をかけてほしい
最後に、これから社会に出る若者たちに、どのようなことを期待するか尋ねました。
「多様な価値観や個性、強みを持った方々に、会社へ新しい風を吹き込んでもらいたい。そこに情熱が掛け算されれば、素晴らしい化学反応が起きるはずです」
何か1つでも、目標を持ってやり遂げた経験が重要だと佐藤氏は強調します。インプットしたことをアウトプットし、結果につなげる。このサイクルが自信を生み、人の価値観を受け入れる器を大きくするからです。
そして、未来を担う世代へ、力強いメッセージを送ります。
「これからの日本は、経済が縮小していく厳しい時代です。その中で50年以上働き抜くためには、メンタルもフィジカルも『筋力』をつけなければなりません。筋力をつけるためには、負荷が必要です。理不尽に感じることもあるかもしれませんが、叱咤激励を受け入れ、自分のために負荷をかけていく。その努力が、必ず自分自身に跳ね返ってきます」
それは、自らも厳しい環境で己を鍛え上げ、道を切り拓いてきた佐藤氏だからこその、重みのあるエールです。情熱を胸に、自らに負荷をかけ、成長していく。そんな若者たちと共に、新たな未来を創造したいという強い意志が感じられました。
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Future Leaders Hub 編集部