ホーム>Z FACE>19歳で起業、ITスキルで“農業の課題”の解決を目指す法大生、「働く=誰かを笑顔にする」という哲学
2026.02.26 17:00

19歳で起業、ITスキルで“農業の課題”の解決を目指す法大生、「働く=誰かを笑顔にする」という哲学


現代を牽引するZ世代は、働くことに何を求め、どのように向き合っているのか。このリレーコラム【Z FACE】では、今注目すべきZ世代自身が「働く」をテーマに自身の考えを展開します。彼らのリアルな声から、多様な価値観が交錯する現代における「働く」の本質を読み解くヒントを見つけ出します

「働く」をテーマにしたコラムの第6回目は、一般社団法人FEA農研代表理事、糸永季生さん。法政大学在学中の19歳で起業し、ITスキルを武器に「農業」の世界へ飛び込んだ彼が、わずか2期目で全国28都道府県の農家から信頼を寄せられる組織を築けた理由とは。テクノロジーと情熱を掛け合わせてデザインする“ミライの農業の形”とその軌跡を紐解きます。


初めまして、一般社団法人FEA農研 代表理事の糸永季生(いとなが・ときお)です。我々の仕事である、「農業コンサルティング業」は、普段皆さんの日常生活の中では、あまりなじみのない業界なのではないでしょうか。それもそのはずです。現在、日本では農業コンサルティング事業をメインで扱う企業は数百社ほどにとどまり、とてもニッチな業界となっています。

そのうちの1社である我々は、現在創業2期目にして全国28都道府県128件の農家さんとのご縁をいただき、ご支援させていただいております。そんな我々が思う「働くとは」について、この場をお借りして、皆様にシェアさせていただければと思います。

「働く」=「誰かを笑顔にする」ということ

我々のメインの業務の1つである「農業経営コンサルティング事業」は簡単に言えば農家さんが「笑顔でいられる明日」をお支えする仕事です。365日、24時間、世界中の市場や経済の情報を集め、即座に分析し、1円でも多く農家さんの無駄な出費を減らし、1円でも多くの利益を上げることのできるよう日々少数精鋭のチームで奮闘しています。

また、定期的に顧客向けの農業経営研修会を開催するなど、農業経営における最新の形を学べるほか、異なる地域の農業関係者さんが、お互いの悩みを持ち寄り、相談し、それぞれの解を見つける事のできる場の提供も行っております。

研修会の会場を後にする農家さんがこられた時より、少し笑顔になり帰っていく姿を見ることが、日々の仕事のやりがいにもなっており、我々の笑顔にもつながっていると私は考えます。

SE志望だった私が農業に転身した理由

さて、ここまでは会社全体の話をメインにしてまいりましたが、ここからは、なぜ私が農業において起業するに至ったのかという、バックグラウンドについてお話しさせていただければと思います。

私自身、幼少期から父の仕事の関係で海外に渡航することが多く、さまざまな国や地域の異なる価値観に触れ、大きな影響を受けてきました。当時、12歳だった私は、文化も言語も習慣も異なるさまざまなコミュニティの中で、毎回友達作りに苦戦し、孤独な思いをすることも少なくありませんでした。

そんな中、アメリカ・シアトルで出会ったある同級生とのつながりをきっかけに、私は「プログラミング」という共通言語を見つけることができました。その後、さまざまな場所に行くたびに、プログラミングの経験を生かして現地のコンピューターサイエンス系コミュニティに所属できるようになりました。

17歳の時に約1年間滞在していたカナダでは、現地高校のソフトウェア開発の授業で表彰を受けたことをきっかけに、帰国後は高校生ながら、小中学生向け学習塾にてプログラミングコースの担当講師を任せていただくことになりました。

これが、私が農業コンサルタントを志すきっかけとなりました。

当時担当していた生徒の一人に、授業後に毎回個別質問をしてくれる生徒がいました。彼は将来、ゲーム開発者になることを夢見て、熱心にプログラミングを学んでいました。

しかし、半年後、突然彼から退塾の報告を受けました。戸惑いながら保護者の方に理由を伺うと、家業である農業の経営が破綻し、高額な授業料の支払いが困難になったとのことでした。

可能性にあふれる生徒から学びの機会が奪われてしまったことに対し、無念さだけが残りました。この経験は、今でも私が働く上での大きな原動力の一つとなっています。

この出来事を通して、私は農業が抱える多くの課題を痛感しました。そして、持続可能な農業の可能性を追究したいと強く決意し、農場経営マネジメントや農業関連システム開発の分野で起業することを決めたのです。

「働き方」を創りミライの農業の形をデザインする

創業1年目の去年を振り返れば、「地道さ」が身を結んだ年であったと私は思っています。貯金をはたき中古で購入した営業車を走らせ、自分たちの足で、1件ずつ直接農家さんを訪問し、営業をしていた当時は、ハードながらも目的地のない新しい旅に出るようなわくわく感で胸がいっぱいでした。

代表兼営業マンとして私1人からスタートしたこの会社は、2人3人と徐々に拡大し、現在では約30人の仲間とともに農家さんの伴走支援を行っております。まだまだ小さい組織ではありますが、ゼロイチを成し遂げたこの経験は、私と私のチームにとっては掛け替えのない財産だと考えています。

今後は、現在契約数が急上昇している農業におけるAIシステム活用をサポートするコンサルティングプランをさらに強化し、農業分野に特化したエンジニアの育成も積極的に行っていきたいと考えています。

なので、我々にとって「働く」とは、時に人と人を繋げ、時には人と技術をつなげることにより、ミライの「農業の形」をデザインすることなのです。 

この記事を書いた人
糸永季生
一般社団法人FEA農研 代表理事
2005年、東京都生まれ、法政大学在学中の学生起業家。幼少期からアメリカやカナダの教育機関でプログラミングを学び、帰国後17歳で都内学習塾のプログラミング講師を務める。19歳で農業コンサルティング会社「一般社団法人FEA農研」を設立し、代表理事に就任。農家さんの伴走パートナーとして、農機システム開発から農作物のマーケティングコンサルティングまでを一貫して行っている。将来的にはテクノロジーで食料生産の仕組みを大幅にアップデートすることを目標として活動している。


あなたにおすすめの記事