「東京のコミュニティを手放せない」若者たちへ…話題のテーマパークで23歳女性が見つけた“働く意味”
都市部でないところで働くという選択は、就活生にとって決して一般的なものではありません。それでも、「どうしてもここで働きたい」と思える場所があるとしたら——。
現役大学生が自ら運営する就活メディア『脱力就活。(毎週日曜よる9時〜/ShibuyaCross-FMにて放送中)』。そのコラム版となる本連載では、番組総合プロデューサーの黒澤洋士氏が過去の放送を振り返りながら、番組で就活生に届けたかった想いやメッセージを改めて言葉にしていきます。
今回の『脱力就活。まがじん。』では、沖縄に誕生した話題のテーマパークと、あえてその地で働くことを選んだ若い社員のストーリーを紹介します。知名度や条件といった世間のモノサシではなく、自分の価値観と重なる場所で「想い」を仕事にする強さとは何か。
「沖縄で働く」という選択
私は卒業旅行に沖縄を選びました。国内でありながら、どこか非日常を感じさせてくれる場所です。「こんな場所で暮らしてみたい」と思ったことがある人は、きっと多いはずです。
でも、なぜ私たちは沖縄に住もうとはしないのでしょうか。少なくとも、私の場合は答えがシンプルでした。沖縄に勤めたいと思える会社がないから。東京にあるコミュニティを手放せないから。家族や友達に自慢できるような、有名企業や高収入の企業、安定した企業がきっとないから。
「ここで暮らしてみたい」と思える場所で生きることは、私のような、そしてきっと多くの若者にとって、少し勇気のいる選択なのかもしれません。
今回の『脱力就活。』のゲストは、株式会社ジャパンエンターテイメント。SNSのショート動画などでもよく見かける話題のテーマパーク「JUNGLIA OKINAWA(ジャングリア沖縄)」を運営している会社です。
「楽しそうだな」とは思っていましたが、どうやらこの会社、新卒採用をしているらしい。私は少し驚きました。そして、さらに驚いたのは、今年この会社に新卒入社した社員の方が、私と同世代だったことです。なぜ彼女は、沖縄で働くことを選んだのでしょうか。
「沖縄から日本の未来をつくる」という理念
番組では映像を交えてパークの魅力が紹介されましたが、何より驚いたのはその圧倒的なスケール感でした。バギーで森を駆け抜け、恐竜から逃げるような壮大なアトラクションは、沖縄北部・名護エリアの大自然や、もともとゴルフ場だった地形をそのまま活かし、「自然との共生」を実現して作られているといいます。
ただ、このプロジェクトの凄さはエンターテインメントとしての規模だけではありません。ジャパンエンターテイメントが掲げる企業理念は、「沖縄から日本の未来をつくる」というもの。ここには大きく2つの意味が込められています。
1つ目は、沖縄の観光産業をさらに発展させること。沖縄は日本屈指の観光地ですが、観光客はどうしても夏に集中します。そこで大型テーマパークをつくり、季節を問わず一年を通して人が訪れる場所を作ることが目的です。
もう1つは、地域に愛される企業になること。番組で紹介された沖縄県民向けの「子ども無料キャンペーン」や「ひとり親家庭の招待企画」などは単なる集客施策ではなく、「まず地元の人たちに愛される存在になる」という考え方から生まれたそうです。
沖縄の自然そのものをエンターテインメントにし、地域と一緒に成長していく。そんな確固たる姿勢が、このプロジェクトの根底にあるのだと感じました。
マニュアルのない環境で「沖縄で働く道」を選んだ理由

今回番組に出演された吉田かれんさんは、23歳で採用担当を務めています。現在は採用の仕事をしていますが、もともとはジャングリア沖縄の「ナビゲーター(キャスト)」として働いていました。テーマパークはまだ立ち上がったばかり。マニュアルも整っていない状態から仕事が始まったそうです。
社員やスタッフが役職に関係なく意見を出し合い、試行錯誤しながらパークを作り上げていく。「正解がないからこそ、みんなで考える」。この経験は、普通の会社ではなかなかできないものかもしれません。ジャパンエンターテイメントには、若い社員でも主体的に挑戦できる環境があるようです。
吉田さんは沖縄出身ですが、就活のときは、多くの学生と同じように東京での就職も考えていました。学生時代に東京で生活したからこそ、改めて地元・沖縄の魅力に気づいたといいます。さらに、東京の友人から言われた一言。「沖縄って、本当にいい場所だよね。」
その言葉をきっかけに、「沖縄の魅力をもっと多くの人に伝えたい」と思うようになり、沖縄で働く道を選びました。
もしこの話を別の誰かがしていたら、少し綺麗すぎる話に聞こえたかもしれません。でも収録を通して感じたのは、この言葉が吉田さんの本心だということ。都心で育った私にとって、少しハッとさせられる話でした。
知名度やブランドより大切な「価値観」との重なり
番組後半では、大学生からの就活相談も行われました。そこで語られたメッセージはとてもシンプルです。
「高収入やブランドだけが仕事の価値ではない」
吉田さんは実体験を元にこう話してくれました。
・やりたいことと会社の理念が重なると、仕事は楽しくなる
・やりがいを持って働くことが自信につながる
・自信がある人は自然と魅力的に見える
つまり、自分が大切にしたいことに向き合うこと。それが、いい就職につながるということです。

今回の放送で一貫して伝わってきたのは、「好きや想いを仕事にすることの強さ」でした。
沖縄の魅力を世界へ発信し、地域とともに成長する。そんな挑戦の舞台には、若い世代が主体的に道を切り拓いていける土壌が広がっています。そして、そこで働く人たちは「沖縄が好き」「人を楽しませたい」という想いを仕事にしています。
就活ではつい、企業の知名度や年収という「外側」に目が向きがちです。でも、本当に長く働ける会社は、自分の内側にある「価値観」と重なる会社なのかもしれません。
いかがだったでしょうか。SNSでも話題の「ジャングリア沖縄」。もしこの放送を観たあとに遊びに行ったら、きっと少し違った楽しみ方ができるかもしれません。
「ここで働いている人たちは、どんな想いでこの場所を作っているんだろう?」
そんな視点でテーマパークを見るのも、意外と面白く、立派な「就活」の一歩かもしれません。
脱力就活。 