「2年でバイアウトして次の事業へ…」悩みを抱える女性起業家に“経営参謀”が示した逆算の戦略
自身も学生起業の経験を持ち、数多くの大企業で経営参謀を務めてきた株式会社サクラサク代表取締役の山崎伸治氏が、次世代を担うZ世代経営者の悩みと向き合い、ともに将来を切り開いていく「SpecialMentor」。今回の相談者は株式会社CLEIR代表取締役の千葉穂乃花さんです。
渋谷でホワイトニングサロンを立ち上げて9か月。事業は順調な一方、今後の方向性について悩みを抱えています。複数の事業アイデアが浮かぶ中で、何を軸に進むべきか。山崎氏とともに、事業の「原点」に立ち返ります。

人生のゴールは「出会えて良かった人ランキング」に入ること
山崎:本日はよろしくお願いします。まず、僕がアドバイスをする上でいつも確認している3つのことを教えてください。「人生のゴール」「ビジネスのゴール」、そして「ご自身の強み」です。
千葉:はい。人生のゴールは、一人でも多くの人の「出会えて良かった人ランキング」にランクインすることです。死ぬときは、泣かれるよりも「ほのかっぽいよね」と爆笑されるような、お祭り騒ぎのお葬式にしてほしいんです。
山崎:素敵ですね。では、それを達成するためのビジネスのゴールは何でしょう。
千葉:ゴールを作らないことがゴールです。満足せず、誰かを喜ばせたり、必要とされたりするものを面白く提供し続けたいです。
山崎:なるほど。「人を幸せにする仕組みを提供し続けること」がゴールということですね。では、ご自身の強みや、やっていて楽しいことは何ですか。
千葉:まず、風邪をひかないことです。体力がものすごくあります。それから、特技は大食いです。あとは、「会うと元気になる」とよく言っていただけるので、人を喜ばせたり、笑ってほしいと尽くしたりすることが自分の強みであり、楽しい瞬間です。

「女性と子どもたちの選択肢を増やす」というビジョン
山崎:ありがとうございます。人生のゴールから逆算してビジネスを考えることが重要なので、最初にお伺いしました。では、今抱えているお悩みを聞かせてください。
千葉:今、渋谷の宮益坂でホワイトニングサロンを経営して9か月目になります。もともと「女性と子どもたちの選択肢を増やす」というビジョンがあり、その第一歩として、資格がなくても始めやすく、仕組み化しやすいホワイトニングサロンを選びました。
山崎:素晴らしいですね。
千葉:ただ、今の課題がお客様の層です。経営者の男性と、ホットペッパーなどから来てくださる女性のお客様に二極化しているんです。ターゲットがまったく違うので、両方を喜ばせようとすると、正反対のことをやらなければいけない場面もあって。どちらかに振り切るべきなのか悩んでいます。
手段の目的化に注意。事業の軸は「女性を輝かせる」こと
山崎:なるほど。今の話を整理すると、課題は二つありそうです。一つはホワイトニングサロンのターゲットをどうするか。もう一つは、ご自身の「女性の選択肢を増やしたい」という大きな夢の中で、このサロンをどう位置づけるか。この二つは分けて考えた方がいいでしょう。
千葉:はい。サロンを拠点にしたいというよりは、「ここに来たら選択肢が広がる」というような、居場所を作りたいという思いがあります。
山崎:その「女性が輝ける場所」という夢は、働くことを通じて実現するのが良いのではないかと感じています。能力があるのに、結婚や出産でチャンスを失いがちな女性が、何かを始められるきっかけを提供する。その意味で、資格不要で初期投資も安いホワイトニングサロンは、非常に戦略的で良い選択だと思いました。まずはモデル店を作り、他の女性もオーナーとして輝けるようにフランチャイズ展開していく、という道筋も考えられます。
千葉:そうですね。ただ、ホワイトニングサロンは参入しやすいために競合が多く、差別化が難しいのが現状です。自分で集客し続けるわけにもいかないので、誰かが再現できる仕組みを作らないと、他の人に任せるのは難しいと感じています。

ホワイトニングサロンの次に見据える「人材事業」という可能性
山崎:今後、どのように事業を広げていくか考えていることはありますか?
千葉:実は、サロンとは別に考えていることがあって。一つは人材業です。サロンにはホワイトニング目的でなく、相談に来てくれる20代の女性が多いんです。経営者のお客様からも、奥様や妹さんなどをよく紹介していただきます。その子たちの人生にもう少し踏み込んでサポートしたいと思ったとき、人材業はどうかなと。私自身、転職を7回経験しているので、気持ちが分かる部分もあるかと思っています。
山崎:なるほど。ご自身の転職経験は大きなアドバンテージになります。転職する側の悩みも、エージェントのサービスの良し悪しもわかる。女性社長がやる女性専門のエージェントというのは面白い。ニーズもあるでしょうし、向いていると思います。
千葉:もう一つは、女性の自己肯定感を高めるためのコミュニティです。「離婚できる女性になりたい」という言葉があるように、女性が自立して人生を選べる状態を作りたい。そのためには、仕事のスキル以前にマインドの部分が重要だと感じていて。自分で決断する経験を積むためのライフデザインをサポートするようなコミュニティを作れないかと考えています。
山崎:それも千葉さんがやれば成功するでしょう。ただ、ビジネスとして大きく成長する可能性が高いのは人材事業です。コミュニティは世の中にたくさんあり差別化が難しい。順番が逆で、まず人材事業を立ち上げるべきです。
千葉:順番ですか。
山崎:はい。女性専門のエージェントとして、紹介する企業を「女性が輝ける会社」に絞り込む。そうすると、同じ価値観を持つ女性たちが集まってきます。その人たちが集まるコミュニティを作ることで、結婚や恋愛の相談もし合える、共感性の高い強い組織になります。出口や行動に直結するコミュニティにこそ価値があるんです。

2年でサロンを成功させ売却。その期間は次の事業の準備期間に
山崎:最終ゴールは「女性を輝かせること」。サロンも人材もコミュニティも、すべてそのための手段です。手段が目的になってはいけません。その上で、私が提案する最も成功確率の高いプロセスはこうです。まず、今のサロン事業に2年と期間を区切って全力で取り組む。
千葉:2年ですか。
山崎:はい。人間が集中できるのは2年が限界です。そして、賃貸契約も通常2年でしょう。2年で結果を出すと決めるんです。まず、宮益坂のお店は20代女性向け、もう一店舗、例えば銀座あたりに経営者男性向けの店を作り、2店舗体制にする。そして2年で2店舗とも成功させて、バイアウト(事業売却)する。その資金で人材事業を立ち上げるんです。
千葉:なるほど……!
山崎:そして、その2年間は、ただサロンを経営するだけではありません。次の人材事業のためのマーケティング期間にするんです。男性経営者のお客様には「どんな女性を採用したいか」を聞き、リスト化する。女性のお客様には「どんな会社で働きたいか」をヒアリングし、データを蓄積する。そうすれば、2年後に人材事業を始めるときには、強力な武器が手に入っているはずです。
千葉:すごくイメージが湧きました。今やっていることが、すべて次につながっていくんですね。
山崎:その通りです。2年後、事業が成功してもしなくても、その経験は財産になります。投資家から見ても、2年間で仮説検証をやりきった人が始める次の事業には投資したくなります。すべてに意味があるんです。
千葉:ありがとうございます。わくわくしてきました。
山崎:経営者は、未来を想像してわくわくできなければ続きません。大変なことも多いですから。ぜひ、この2年間を「自分の未来を変える期間」と定めて、全力で走り抜けてください。
山崎:最後に、これを読んでいる皆さんへ。ビジネスで最も大事なのは、バスケットボールのピボットのように「軸足」をブラさないことです。その軸足こそが「自分は本当は何をしたいのか」という夢の原点です。そこさえブレなければ、市場の変化に合わせて動き方を変えてもいい。千葉さんのように、常に自分の原点に立ち返ることが、事業を成功させる上で最も重要な要素なのです。本日はありがとうございました。
千葉:ありがとうございました。

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Future Leaders Hub 編集部 