「おっさんになったら変わらないと思われる」常識を覆す建設会社、“業界に若者を取り戻す”挑戦
「20代の頃は週3回、年間100回は合コンをしていました」
そう語るのは、株式会社古川組の代表取締役の古川喜将氏です。一見、仕事とは無関係に思えるこの経験がのちの経営に不可欠な「営業力」や「人間観察力」を育んだといいます。
かつては「きつい、汚い」というイメージが先行し、若者離れが深刻だった建設業界。そのイメージを払拭し、「建設業に若者を取り戻す」という熱いビジョンを掲げる古川氏。
今回は、同氏が仕事のやりがいに目覚めた瞬間から若い世代へ送る力強いメッセージまでその情熱の源泉に迫ります。
「建設業に若者を取り戻す」というビジョン
株式会社古川組は、主にガソリンスタンドの建設をメインとしながら、店舗やテナント、公共工事などを手掛ける建設会社です。
しかし、ガソリンスタンド事業がいわゆる「斜陽産業」であることから、近年は店舗工事へと事業の軸足を移しつつあります。その変革を象徴するのが、パンフレットと見間違えるほど作り込まれた名刺や、SNSを駆使した積極的な情報発信です。
こうした取り組みの根底には、古川氏の抱く「建設業に若者を取り戻そう」という強い思いがあります。
「以前は、建設業はなりたい職業のトップ3に入るほど活気がありました。しかし、今は夏は暑く、冬は寒い、労働環境も厳しいというイメージが定着してしまっています」
この現状を打破するため、同社では業界の常識を覆すような労働環境の改善に力を入れています。
「社員には1人1台の社用車を支給し、満員電車など通勤ストレスをなくしました。さらに日報といった事務処理を極力減らし、バックオフィスが書類整理などを担当することで、現場の社員が目の前の仕事に集中できる環境を整備。ストレスフリーを目指しています」
ほかにも、社員が考案したロゴやスローガンをヘルメットなどに入れる「アイデンティティアイテム」を制作。自分が会社の一員であるという存在意義を感じてもらい、仕事への興味や誇りを育むユニークな試みも行っています。

年間100回の合コンが営業力につながった
もし今、学生に戻れるとしたら、どのような働き方を選ぶのでしょうか。
この問いに古川氏は、「また建設業を選ぶかもしれません」と即答します。給与水準が上がり、労働環境も改善されつつある今、建設業は再び魅力的な仕事になりつつあると感じているからです。
そんな古川氏が20代の頃に最も熱中したことは、意外にも「合コン」でした。
「週に3回、年間で100回くらいはしていましたね。仕事が終わるのが早いので、平日でも19時には参加していました。いつものメンバーでひたすら飲み、遊び、仕事をする毎日。プラスに考えると、営業力や話術、プレゼン能力につながったのかなと。年間100回もやれば、話術も身につきますよね」
さまざまな人と出会い、時にはまったく盛り上がらない場面も経験する中で、多様な価値観に触れ、人を見る目も養われたといいます。この経験は、まさに恋愛と似ていると言われる営業活動の礎となったのです。
一方で、古川氏が初めて仕事の楽しさを知ったのは、学生時代に父が経営する会社でアルバイトをしていたときでした。
「それまでは、建物はいつの間にか勝手にできあがっているものだと思っていました。でも、毎日現場を見ていると、少しずつ形になっていくんです」
小さな作業の積み重ねが、やがて一つの大きな建物を完成させる。その過程を目の当たりにしたとき、「なんてすてきな仕事なんだ」と心から感動したといいます。
AIやDX化が進む現代においても、人の手でしか作れないものが建築にはあります。だからこそ、建設業はこれからも魅力的な仕事であり続けると古川氏は確信しています。

大人は若者の失敗を受け入れてくれる
新入社員時代の自分にアドバイスするなら、と尋ねると、「コンパばかりせず、もっと勉強しておけばよかった」と苦笑します。
「自分に投資するという認識がありませんでした。48歳になってから、社外の勉強会などに参加するようになり、もっと早くから多様な価値観に触れていれば、会社はさらに発展していたかもしれません」
最後に、これから社会に出る学生や20代の若者たちに向けて一緒に働きたい人物像について聞いてみると「誠実な人」と即答。
「時間や約束を守り、嘘をつかず、言い訳をしない。当たり前のことですが、これが基本です。人生はそんなに長くない。だからこそ、目先の楽しさだけにとらわれず、長期的な視点で人生を計画してほしいです。そして、若いうちの失敗はどんどんしてください」
大人は若者の失敗を受け入れてくれるもの。失敗そのものが悪いのではなく、失敗から学ばないことが問題なのだと古川氏は語ります。
「若いうちは、挑戦して失敗するだけでもチャンスがもらえます。おっさんになったら『こいつはもう変わらない』と思われてしまう。若いということは、それだけで魅力的なんです」
建設業界の未来を切り拓くリーダーからの言葉は、すべての若者の背中を押す、力強いエールです!
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Future Leaders Hub 編集部