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2026.04.24 16:00

頑張っているのに結果が出ないのは「不条理」ではなく「不合理」かもしれない【編集後記】


こんな経験、ありませんか?

課題はオンラインで入力したのに、提出は紙。プリンターがなくて、わざわざコンビニに行く。説明会は現地参加必須。時間をかけて行ったのに、内容はスライドの読み上げだけ。「これ、意味ある?」そんな風に叫びたくなったこと、一度はあるかもしれません。

このコラムは、そうした小さな違和感を、将来につながる武器に変える話です。

「これ、意味ある?」という心の叫びには、「不合理」という名前があります。合理とは、理屈に合っていること。不合理はその逆で、「理屈に合わず、効率が悪いこと」です。AIの進化などで、何もかも効率化されているように見える今の時代。それでも世界は「不合理」であふれています。

不合理なことを見つけるのは、案外難しい

ここで、1分だけ考えてみてください。

どんな小さなことでも構いません。あなたの身の回りに、「理屈に合っていない」「非効率だ」と感じることはありますか?

(…1分経ったことにします)

すぐには思いつかなかった人が多いのではないでしょうか。

例えば、こんなことです。

・部活でプレーのうまさに関係なく、先輩の方がえらい

・忙しくても友だちのLINEにすぐ返信しないと「既読スルー」と言われて嫌われる

・同じバイトなのに、高校生は時給が低い

そもそも、自分の答えを採点してもらえるわけでもないのに「1分考えろ」ということ自体が、あなたにとって不合理だったかもしれません。これらの例を聞いて、「言われてみれば確かに不合理かも……」と感じた人もいるでしょう。

もし最初から2つ、3つと挙げられたなら、かなり鋭い視点を持っている人だと思います。実は、不合理なことを見つけるのは、案外難しい作業なんです。

なぜでしょうか。それは、ほとんどの不合理が「当たり前」や「常識」という顔をして存在しているからです。

冒頭に挙げた、オンライン入力後に紙で提出する課題も、現地参加が必須の説明会も、「昔からそうだった」「みんなやっている」という“常識”を理由に、不合理なまま続いているのかもしれません。

違和感を覚えられればまだ良いほうです。ほとんどの場合、不合理だと気づかないまま受け入れてしまいます。こんなことを書いている私だって、今でも多くの不合理に気づかず暮らしているはずです。

この「不合理な常識」を見つけるのが得意な人たちがいます。それが、起業家と呼ばれる人たちです。

不合理な常識を疑い、新しい価値をうみだす

今回、インタビューしたTWOSTONE&Sons CEOの河端保志さんもそのひとり。

「不合理な常識を疑い、新しい価値をうみだす」との思いで学生起業し、30歳で上場。今も次々と不合理を見つけ、新しい挑戦を続けています。河端さんが起業家として最初に向き合った不合理は、「日本ではITエンジニアが不足しているのに、欧米と比べて待遇が悪い」という点でした。

確かに、「日本企業で働くと、ITエンジニアの賃金はこれくらい」と最初から決まっているなんて、不合理な常識ですよね。

また、不合理は「見つけるだけ」では意味がありません。河端さんが掲げているのも、「不合理な常識を疑い、“新しい価値をうみだす”」という姿勢です。なぜおかしいのか考え、どう変えられるかを探り、実際にやってみる。その結果として「新しい価値」を生み出して、ようやく意味が出ます。

失敗しても、やる。うまくいかなくても、続ける

河端さんは、IT人材の賃金アップにつながるサービスを形にしました。言うのは簡単ですが、実現するのは決して容易ではありません。そんな「不合理」に挑戦し続ける河端さんの言葉のなかで、印象に残ったものがあります。

「一度やると決めたら、自分が納得できるところまで、やりきる。途中でやめてしまうと、見えてこないことがあるんです」

失敗しても、やる。うまくいかなくても、続ける。成功する保証がなくても、やりきる。それって正直、時間もかかるし、楽ではありません。

一見すると、かなり非効率です。でも、それは「不合理」でしょうか。河端さんが向き合っているのは、世の中にある「不合理な“常識”」です。

みんなが当たり前だと思い込み、疑うことすらしていないもの。“常識的”なやり方をしていては、その存在に気づくことさえできません。

だからこそ、それを壊すには、“常識外れ”な挑戦が必要になります。

「遠回りに見える行動や失敗の積み重ねは、未来から振り返れば、実はとても合理的な選択だった」

そんなことは、決して珍しくありません。「不合理」と似た単語に「不条理」という言葉があります。条理とは「物事の筋道(条)や道理(理)」。不合理が「理屈に合っていないこと」なのに対して、不条理は「道理が通らず、納得できないこと」です。

例えば、「なぜ頑張っていただけなのに、こんな悲惨な目にあうの?」「なぜあんなに悪さばかりしている人に、宝くじが当たったの?」など。

理不尽で、自分の力ではどうにもならず、いくら「なぜ」と考えても答えなんて出てきません。人生には、確かにそういう「不条理」があります。

経験が少ない今だからこそ、違和感に気づける

でも、「不合理」は違います。

理屈に合っていないのなら、理にかなった方法がきっとあるはずです。

「頑張っているのに、結果が出ない」

そう感じたとき、すぐに「不条理だ」と決めつけないで一度立ち止まって考えてみてください。

それは本当に変えられないことなのか。やり方を疑ってみる余地はないか。

「やる意味があるのかわからない」

そう言って、早々に諦めてしまう人がたくさんいます。学校でテストの成績が良かった人ほど、「正解が見えないこと」に慎重になりがちです。

まだ選択肢が見えていないだけかもしれない。やりきれていないだけかもしれない。若くて経験が少ない今だからこそ、違和感に気づけます。今だからこそ、“常識”を疑えます。

「常識外れに見える行動が、実は一番合理的だった」

ぜひ、あなたの身の回りにある違和感を、そのままにしないでください。自分が納得できるところまで、やりきってみてください。その一歩が、あなた自身の未来を変えるかもしれません。

<文/清水俊宏 撮影/星 亘>

この記事を書いた人
清水 俊宏
フジテレビ公式YouTube『#シゴトズキ』プロデューサー
フジテレビ報道センターBS担当部長兼デジタルメディア事業部。2002年一橋大学を卒業後、フジテレビ入社し、政治記者・ディレクターなど経験。2016年から事業開発も担当し、「報道プロデューサー」と「ビジネスプロデューサー」の二刀流に。YouTube『#シゴトズキ』のMC、地方銀行の事業開発アドバイザー、iU専門職大学客員教授などの顔も。学生時代はリュック一つで世界中を飛び回り、特技は野宿。


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