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2026.05.29 16:00

退学通知、銀行ローン拒否、4時間睡眠…「30歳までに必ず起業する」と決めた男が“学費の苦労”をビジネスに変えるまで


大学4年生の頃、国内2位の麻雀チェーンを経営していた実家の家業が暗転し、学費の支払いが困難になる事態に……。

卒業後の就職先が決まっているにもかかわらず、学生という身分だけで融資を断られる現実に直面したのが、現在の教育ファイナンス事業「EduCare(エデュケア)」の出発点となったと株式会社EduCare代表の村上健太氏は語る。

現在は歴史から組織論を学び、スタートアップという“戦場”を生き抜いている。

事業に込めた執念や、「学費の苦労」をビジネスに変えたマインドについて、村上氏に話を聞いた。

大学の学費が払えず、自分で稼ぐ決意が起業の原点に

── 起業したきっかけは、大学時代の苦労やピンチがあったと伺っています。

もともと両親が自営業だったこともあり、いつか自分もビジネスを立ち上げたいと考えていました。大学では経済学部に所属し、経済学と経営学の両方を学んでいたのですが、起業の決定的なきっかけになったのは大学4年生のときです。

その頃に学費の支払いが難しくなった経験から、「この課題そのものをビジネスにできないか」と考え、起業を決意しました。

「起業したい」という思いは、10歳ごろからすでに持っていましたね。親からは「役人にはなるな」と言われて育ったこともあり、自分で事業をやるという方向に自然と意識が向いていました。

一方で、一度は大企業で経験を積む必要があるとも考えていたのですが、「30歳までには必ず起業する」というキャリアのイメージを思い描いていました。

── ご両親は自営業でどのようなことをされていたのですか?

父は麻雀店のチェーンを経営し、当時は国内で2番目の規模を誇るほどでした。母も着物店を営んでおり、両親ともに自営業という環境の中で育ちました。

しかし、父が経営する麻雀チェーンの事業が厳しくなり、大学4年生のタイミングで一気に状況が悪化してしまいました。それに伴って学費の支払いが滞り、大学側から「期日までに納入しないと退学」という放校通知が届くなど、「本当にどうしよう」と焦っていたのを覚えていますね。

なんとか卒業できたものの、当時はかなり切迫した状況でした。家庭教師のアルバイトを週4〜5日行いながら、生活費と学費をなんとかやりくりする生活を送っていました。大学4年生だと奨学金もなかなか受けられず、銀行の教育ローンも断られてしまい、「自分で稼ぐしかない」と腹を括ったのが、起業の出発点になりました。

「学生」という理由だけで資金を借りられない現実

── 銀行の教育ローンを断られた理由は何だったのでしょうか?

家庭の経済状況が不安定だったため、「返済能力がない」と判断されてしまったと思うんですよね。

ただ、卒業後の就職先はすでに決まっており、将来的な返済能力はある程度見込める状況でした。それにもかかわらず、「学生である」という理由だけで資金を借りられない現実に強い疑問を抱きました。

この原体験こそが、今のビジネスにつながっています。将来性を評価する仕組みを作りたい。

その想いで立ち上げたのが「EduCare」という会社です。

── 学生時代に打ち込んだことはありますか。それは今の起業に生きていますか?

学生時代は、読書に多くの時間を費やしていました。経済的に余裕があまりなかったこともあり、旅行や留学には行くことができなかったのですが、そのぶん部屋にこもって歴史書や経営者の自伝などを読んでいましたね。

特に松下幸之助さんの本など、有名な経営者の自伝をよく読んでいたので、その経験は今の起業にも活きているのではないかと思います。

歴史から学んだことを経営に生かしている

── 社会人時代は2社経験されていますが、そこで学んだことや大変だったことがあれば教えてください。

新卒で入社したのは、GE(ゼネラル・エレクトリック)の日本法人で、その後は監査法人のKPMGに転職してM&Aをサポートする業務に携わりました。

社会人時代の経験で、今でも役立っているのはテクニカルな知識ですね。

M&Aは「総合格闘技」とも言われる分野で、法律・会計・財務といった幅広い知識が求められます。実務のなかでそうした知識を身につけられたことは、今の事業運営にすごく活きていると感じます。

体力や精神力といったソフト面もかなり鍛えられたなと思います。当時はかなりハードな働き方で、睡眠時間が1日4時間ほどの生活が週5日続くこともありました。土日のどこかでまとめて休むようなリズムでしたが、そのような環境下でやり切る力や粘り強さはとても鍛えられましたね。

今振り返れば、もっと効率的に働くことができたのではという反省もありますが、一定の経験値にはなったと思います。

M&A業務では法律や会計の知識を日々インプットする必要があったため、仕事終わりに本屋に寄り、関連書を買っては週に1冊は読み込む生活を続けていました。その結果、いつの間にか積読が山積みになったのは今も笑い話ですが、あの地道な努力が今の自分を支える基盤になっていますね。

── ちなみに今はどんな本を読まれていますか?

最近は大河ドラマが好きで、特に日本の歴史に惹かれています。大河ドラマ『豊臣兄弟!』も熱心に見ていますし、『三国志』も愛読書で、横山光輝先生の漫画は30巻くらい読んだりしていますね。こうした歴史から学べることは多く、ある意味でビジネスは戦争だと思っているんですよ。

戦(いくさ)における、兵糧の確保や人材配置といった考え方は、現代の経営における資源配分や組織運営と重なる部分があります。

── 歴史から学んだことを今の経営でも意識していますか?

まだまだ小規模なスタートアップですので、大きなことは言えませんが、起業してから歴史への興味が一段と深まった気がします。

サラリーマン時代に比べると、日々の業務はハードシングスの連続で、本当に厳しいチャレンジの連続です。まるで戦国時代を生き抜くかのような感覚で日々を過ごしていますね(笑)。

<構成/古田島大介 撮影/山川修一>


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