「可愛いだけ」を覆す…コスメと環境課題のギャップに向き合う学生の「『好き』を入口に社会を変える実践」
「ESG&well-being」連載第9回は、『SDGs AWARD for University 2026』決勝進出団体による寄稿レポートをお届けします。
今回登場するのは、「肌・環境・社会に優しいクリーンビューティー」の普及を目指し、筑波大学を拠点に活動する『Rulie Mate』です。
「可愛くて楽しい」コスメと、「真面目で堅い」環境問題。この2つをどう結びつければ、人々に興味を持ってもらえるのか——。ゼロからのイベント企画に挑んだ彼女たちを待ち受けていたのは、全国に散らばるメンバー同士のコミュニケーションの壁と、想いが届かない集客の難しさでした。「本当に形になるのか」と不安を抱える中で、彼女たちは果たしてこの挑戦を形にできるのか。
「好き」を入口にすれば、SDGsは誰もが関わることができる。試行錯誤と小さな工夫の積み重ねの末に、美容を楽しむことと未来への責任を両立させる道を見出した学生たちの軌跡を綴ります。
美と環境を両立する「クリーンビューティー」への一歩

私たちは筑波大学で活動する「Rulie Mate」です。現在、「肌・環境・社会に優しいクリーンビューティー」の普及を通じ、SDGs目標12「つくる責任 つかう責任」への貢献を目指しています。
活動の原点は、「美を提供する化粧品が、環境や社会を犠牲にして成り立つ現状を変えたい」という想いでした。すべての人が自分らしい美しさを自由に追求でき、多様性が尊重される環境を作ること。
そして、クリーンビューティーが当たり前の選択肢として広く社会に浸透していく未来を実現するため、この一歩を踏み出しました。メンバーが日本各地にいるため、対面での意思疎通が中々できなかったり、イベントの集客方法などにも大変悩む日々でしたが、試行錯誤を重ねて少しずつ前に進んできました。
「好き」を入口に。距離の壁を越えたイベントづくり
これまで夏と冬に、自分たちで企画したオンライン・オフラインイベントを開催してきました。しかし、ゼロから企画を立ち上げることは想像以上に大変で、コスメに対する「可愛くて楽しいもの」という圧倒的なイメージと、環境や倫理に配慮したクリーンビューティーをどう結びつけ、参加者に興味を持ってもらうか、最初は手探りの状態でした。
また、メンバーが全国に散らばっているため対面で準備できず、ZoomやLINEだけで企画書作成や経費管理を進める中で、認識のズレや連絡の難しさに苦労する場面もありました。思うように準備が進まず「本当に形になるのか」と不安になった時期もありましたが、全員が同じ時間に集まれない状況を前提に運営方法を見直すことにしました。
例えば、Zoomの日程が合わない場合はLINEのノート機能に意見や進捗を書き込んで議論を積み重ねる仕組みを整えたり、高校生と大学生で忙しい時期が異なるため業務負担を調整し合ったりと、チーム全体で無理なく動ける体制を模索し続けました。こうした小さな工夫の積み重ねが、離れていても企画を形にする支えになったと考えています。
特に大変だったのは集客でした。周囲への声かけやInstagramでの告知を重ねる中で、堅い説明だけでは届かないと痛感しました。そこでイベントでは、コスメの悩み相談やお気に入り紹介、最新トレンドを語り合う時間を設け、美容を楽しみながら自然に環境や社会課題に触れられるプログラムを取り入れました。結果として、参加者からも「身近に考えられた」という声をいただくことができたのです。
この試行錯誤を通して、化粧品は自分を彩るだけでなく、原料調達から廃棄まで社会や環境とつながっていることを学びました。SDGsは特別な人のものではなく、「好き」を入口に誰もが関われるテーマだと実感しています。美容を楽しむことと未来への責任は両立できるという視点を得られたことが、私たちの活動における大きな成長です。


社会課題の解決を「日常の選択」に
今後は、クリーンビューティコスメの制作・販売を通して、コスメを取り巻く社会課題を知ってもらう活動をさらに促進していきます。
現在どのような課題があるのか、制作過程で見つかる課題を発信していくことで、普段何気なく買っているコスメについて一度立ち止まって考えてもらえるきっかけをつくりたいと考えています。
まだ構想段階ですが、これからリサーチとアクションを通して、クリーンビューティコスメという概念を社会へ浸透させていきたいです。
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Future Leaders Hub 編集部 