「ただのボランティア」からの脱却…参加者不足に悩んだ学生たちの「環境問題を“自分ごと”にする挑戦」
「ESG&well-being」連載第7回は、前回に引き続き『SDGs AWARD for University 2026』決勝進出団体による寄稿レポートをお届けします。
今回登場するのは、棚田・里山・ビオトープを舞台に環境保全と環境教育に取り組む学生団体「法政大学キャンパス・エコロジー・フォーラム」。
「『ただのボランティア』では人は集まらない」——参加者不足の中で突きつけられた事実は、彼らが活動をアップデートする原点となりました。環境にとって「正しい」活動が、必ずしも人々の関心を惹くわけではないという現実。どうすれば環境問題を「自分ごと」として楽しんでもらえるのか。
この壁を越えるべく「真面目なことを、みんなで楽しく面白く」をモットーに、誰もが参加したくなる価値を創り出そうと奔走する彼らの、真摯で瑞々しい挑戦の軌跡を綴ります。
3つのフィールドから広がる「持続可能な社会への挑戦」

法政大学キャンパス・エコロジー・フォーラムは、棚田・里山・ビオトープの3つを活動の柱として、環境保全と環境教育に取り組んでいる団体です。これらの活動は、持続可能な社会の実現を目指すSDGsの目標12「つくる責任、つかう責任」と目標15「陸の豊かさも守ろう」に深く関わっています。
特に、里山における竹を活用したランプシェード作りや、ビオトープで行う竹水鉄砲作りといった活動は資源を無駄にせず有効に活用する点で、目標12に貢献。また、棚田・里山・ビオトープの3つの活動はいずれも、地域の自然環境を守り、生態系の保全につながる取り組みであり、共通して目標15の達成に寄与しています。
これらの活動は、環境保全を通じてサステナブルで多様性に富んだ社会の実現を目指したいという強い思いをきっかけに始まりました。
「ただのボランティア」を超える仕組みづくり
私たちは、活動の柱である3つの取り組みに焦点を当てています。
里山活動では、2024年の平均参加者数が約15人と少ないことが課題であったため、2025年は平均30人を目標に設定し、活動後にアンケートの実施を導入。その結果、伐採した竹の無駄を指摘する声が多く挙げられたことから、竹を活用したランプシェードやイルミネーション制作を新たに企画しました。
また、里山への関心を高めるため、動植物について学ぶ図鑑づくりや、活動の一環として里山のピザ窯を用いたピザパーティーを実施するなど、参加者が楽しめる要素も取り入れました。NPOと協働する中で、単なる楽しさに偏らず、保全活動としての意義を重視しながら、個別連絡などの積極的な勧誘を行った結果、平均参加者数は28.5人まで増加しました。
4月に実施した長野の棚田キャンプでは、参加者数の増加を目指し、広告会社や運営スタッフと連携しながら、チラシ設置場所の検討やSNSを活用した広報を行いました。
新規参加者獲得のため、関東圏を主なターゲットとしたが、立場や役割の異なる関係者との協働において、考え方や基準の違いから調整に苦労。しかし、「棚田という景観を多くの人に知ってもらい、将来に残していく」という活動の目的に立ち返ることで合意形成が進み、例年より多くの参加者を集めることができました。
ビオトープ活動では、サークル内での認知度が低く、活動が不定期であったことから、参加者の確保が大きな課題でした。そこで、環境保全活動に加えて川越観光などの企画を実施し、「ただのボランティア」ではなく、参加する価値のある活動づくりを目指しています。
また、生物に関する専門知識については、自分たちだけでは限界があるため、外部の専門家や地域住民と連携することで活動の質を高めた結果、在来種の保護や小中学生との協働による環境教育の推進につながりました。
資金管理には反省点が残ったものの、ビオトープの認知度は向上し、不定期であった活動を月1回の定期開催へと移行するという目標を達成できたのです。


次世代へつなぐ「自分ごと」としての環境教育
私たちのビジョンは、未来の社会を見据え、次世代が「世界について考え、行動できる力」を育む環境教育を広めていくことです。活動を通して、環境問題を自分ごととして捉える人を増やし、より良い社会づくりのきっかけを生み出したいと考えています。
現在、りそなホールディングスと連携し、CO2排出量の可視化と行動変容の促進を目指す共創型プログラムを実施しており、このプロジェクトを通じて、SDGs目標13「気候変動に具体的な対策を」への貢献を目指しているところです。
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Future Leaders Hub 編集部 