「人の3倍頑張って、ようやく少しだけ結果が出る」“誰よりも不器用な経営者”が明かす折れない心の作り方
家具・家電のサブスクリプションサービス「CLAS」を手がける株式会社クラス代表の久保裕丈氏は、自らを「圧倒的に不器用なタイプ」だと語る。
外資系コンサル出身、会社売却、初代バチェラー……といった華やかな経歴とは裏腹に、最後まで諦めない「折れない心」こそが、経営者としての唯一の強みだと言い切る。
そんな久保さんが考えるビジネスマンに求められる資質とは何か。久保氏の思いを聞いた。
経営者として唯一の強みが最後までやり切る責任感

── 経営者として、ご自身のどのような資質や特徴が順調な事業運営につながっているとお考えですか。
自分は人よりもはるかに不器用で、どんなに頑張っても結果を出しづらいタイプだと自覚しています。おそらく人並みの努力ではほとんど報われず、人の3倍頑張って、ようやく少しだけ結果が出る程度なのだと思います。
また、一般的な経営者に多く見られるような体力やメンタルの強さがあるわけでもありません。
ただ一つだけ自分にあるとすれば、どれだけうまくいかなくても絶対に折れず、諦めないことです。
どれだけ厳しい状況でも、どうにかなると信じて粘り抜き、最後までやり切る。その一点だけが、経営者としての唯一の武器だと感じています。
── うまくいかなくても折れない部分というのは、後天的に身につけたものなのでしょうか?
私は長男として育ち、共働きの両親と祖父母に育てられた環境の中で、「負担をかけすぎてはいけない」という感覚が自然と身についたのだと思います。久保家の長男として踏ん張り、最後までやり抜くという責任感は、まさに幼少期の経験を通じて養われましたね。
もう一つ大きいのは、受験で頑張ったときや、会社のことが新聞に載ったときなどは、祖父母が誰よりも喜んでくれたことです。
今は亡くなりましたが、新聞の切り抜きを大切に取ってくれていたりする姿がとても印象に残っています。お墓参りの際も、祖父母がどこかで見ていてくれているのなら、「誇りに思ってもらえる仕事をしたい」という気持ちになるんですよ。
こうした家族への思いが、自分にとって大きな原動力になっています。
成長につながる機会ほど、事前に憂鬱さを感じる

── 普段から自己研鑽されていることは何かありますか。
実を言うと、私は結構怠け者なんですよ(笑)。むしろ、社員の方がよほど自己研鑽に励み、頑張っている人が多いなと感じています。
そのなかで、私が意識しているのは日頃接する人を自分より2〜3ステージ以上先に進んでいる方に限定することです。逆に、同じような規模や立場の人たちだけで集まる場には、できるだけ身を置かないようにしていますね。
やはり同質的な環境にいると、どうしても学びよりも安心感や自己肯定に寄ってしまうからです。とはいえ、自分よりもはるかに高いレベルにいる人たちの前でしっかり話せるか不安になりますし、厳しいことを言われるかもしれない。そう思うと、その場に行く前はかなり憂鬱な気持ちになるんです。
でも、行ってしまえば必ず得るものがある。
だからこそ、「成長につながる機会ほど、事前に憂鬱さを感じる」というのを実感しています。自分にとっても、そしてチームに対しても「あえて憂鬱なことに向き合うこと」が結果的に一番の自己研鑽になると考えています。
── 昨今の若い世代は「芯が弱い」と言われることも多いですが、久保さんから見て若手社員の特徴や傾向はどのようなものがありますか?
今の若い世代は、昔と比べてかなりスマートでクレバーだと感じます。物事の捉え方や努力の仕方そのものが洗練されていて、成熟している印象がありますね。
思うに、私たちの世代と比べて今の若い世代は、キャリアの選択肢の幅が圧倒的に広がっている一方で、「変数」も格段に増えています。つまり、将来の不確実性が大きくなっているなかで、自分なりに考えて意思決定していくことが求められるため、昔よりも難易度は上がっているとも言えるでしょう。
そうした環境の中で、自分の軸を持ちながら選択を積み重ねている今の若い世代は、本当に優秀だと感じています。
「健全なコンプレックス」が武器になる

── どんな若者と一緒に働きたいと思っていますか?
自身の20代やコンサル時代を振り返ると、常に何かしらのコンプレックスを抱えていましたが、結果的にそれが大きな原動力につながっていたなと。そういう意味では、年代に関係なく「健全なコンプレックス」を持っている人がとても魅力的だと思っています。
自分の足りない部分や伸びしろを客観的に認識できること自体が強みになりますし、それを素直に受け入れられることが重要だと感じます。さらに、そのギャップを埋めるために努力できる人であれば、どんな時代になっても活躍できるでしょう。
そうした素直さと前向きに努力できる人とは、ぜひ一緒に働きたいと思います。
── 将来どうしようかと不安に思っている若者に向けてメッセージをお願いします。
5年先のことはまったくわからない以上、無理に予測することはあまり意味がなく、今求められることに全力で取り組むことが大事です。それこそ、「流行りものに飛びつく」のでもいいと思っているんですよ。
まずは悩まずに行動し、そこで結果を出し続けること。
もちろん起業は大変で、時には心が病みそうになるときもありますが、それでも最後には前を向けるのは、自分が取り組んでいる事業やサービスを心から愛しているし、それを少しでも多くの人に届けたいという思いがあるからです。
今の仕事はとてもやりがいがあり、毎日が楽しいと感じるので、ぜひ情熱を注げるものを何か見つけてほしいなと思います。
<構成/古田島大介 撮影/星 亘>
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Future Leaders Hub 編集部