「前例なき挑戦」を恐れない…連続起業家が考える“新たな価値”を創り出すための思考法
外資系コンサルティング会社でキャリアを積み、自身で立ち上げたアパレルEC企業の売却を経て、現在は家具・家電のサブスクリプションサービス「CLAS」を運営する株式会社クラスの代表取締役社長を務める久保裕丈氏。
2017年には日本初の恋愛リアリティ番組「バチェラー・ジャパン」に初代バチェラーとして出演した異色の経歴を持つ一方で、その本質は、常に新たな価値の創造を追い求める連続起業家だ。
なぜ彼は「前例なき挑戦」に踏み切り、新たな価値を創り出せるのか。独自のキャリアから得た気づきや、現在のクラスの経営・組織運営に活かされている哲学について話を聞いた。
起業家として前例のないオファーを受けた理由

── 恋愛リアリティ番組に出演しようと思ったきっかけを教えてください。
当時は前職の会社を売却したあとで、いずれまた起業することは決めていたものの、次にどのような事業を起こすか模索している時期でした。
これまでの経営経験から、新しいサービスを立ち上げても世の中に知ってもらう手段は限られており、莫大な広告費を投じて地道に認知を広げるしかないハードルを痛感していました。
「認知に勝る武器はない」
そう感じていたからこそ、まず自分自身を世に知ってもらうことが、将来のビジネスにおいて大きな強みになるかもしれないと考え、出演のオファーを受けることにしたんです。
もちろん、SNS上での批判に対して葛藤があったことも事実ですし、リスクを伴う選択だという認識も持っていました。
それでも、コンテンツの流れに無自覚に動くのではなく、主体的に動けば問題ないと考えていました。批判が起こり得る前提は受け入れつつも、どうすれば人を不快にさせないか。どう振る舞うべきかを常に意識しながら撮影に臨んでいましたね。
また、日本初のシリーズということは、自分がどんなレールを敷くかによって、その後の流れが決まっていく。そう考えると、前例のないことに挑戦できる機会は、人生でもそう多くないと感じて、ぜひ取り組みたいと思ったんです。
── バチェラー出演による実際の評判はどうだったのでしょうか。
正直なところ、批判的な声はあまり気になりませんでした。
もともとエゴサーチもほとんどしないので、気にしていたほど影響はあまりなかったというのが率直な感想です。むしろ継続的に応援してくださるファンができたことがとても大きいと感じています。
番組を通じて知名度を得られただけでなく、さまざまなご縁をいただき、長く支えてくださる方々と出会えたことは大きな財産だと感じていますし、本当に感謝しています。
恋愛も経営も本質は同じ。一人ひとりと真剣に向き合う大切さ

── バチェラー出演を通して学んだことはありますか?
番組では25人の女性参加者の中から1人を選ぶ形式だからこそ、一人ひとりと真剣に向き合う必要がありました。その姿勢は、起業初期に学んだ組織運営や社員との向き合い方に近いものがあったと思います。
それぞれがどんな思いで参加しているのか、人生で何を目指しているのかを理解し、「その人にとって、バチェラーでの経験がどのような意味を持つのか」を考えながら対話を重ねていました。
会社でいえば、1on1のミーティングを積み重ねているような感覚でしたね。
こうした経験は、今の経営にも確実に活きています。何度も本気の対話を重ねることで、相手と向き合う力は磨かれましたし、人生の大きな選択に向き合う人たちの真剣さに触れ続けたことで、自分自身も大きく鍛えられたと感じています。

── あまり興味が湧かなくて、「断りをどのようにすればいいか」という場面も当然あるわけですよね。
それはありますね。ただ番組では私が選ぶ立場ではありましたが、同時に「自分も選ばれる立場」だと常に意識していました。その覚悟を持って臨んでいたことは、今振り返っても大きな学びだったと思います。
この感覚はある種、現在の採用面接でも同じところがあると感じていますね。最終面接は必ず私が担当するのですが、そこで候補者を見極めると同時に、候補者からも「この会社が自分の人生にとって価値ある選択かどうか」を判断されていると捉えています。
そういうフェアな関係で面接に臨むというスタンスは、バチェラー出演を通じて身についたものかもしれません。
<構成/古田島大介 撮影/星 亘>
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