仕事に「楽しさ」を求めない──利他の精神で走り続ける20代経営者の仕事観
「仕事にやりがいや楽しさを求めるのは、少し違うんじゃないかと思っているんです」
そう語るのは、株式会社AWLLの代表取締役、林恭輝氏です。同社は、IT投資に課題を抱える中小・中堅企業に対し、業務の非効率性を特定し、最適なシステムの導入から開発、その後の運用までを一貫して支援しています。
今回は、1997年生まれの20代経営者である林氏のユニークな仕事観や人生観に迫ります。
「めっちゃ働きたい」という変わらぬ軸
もし、就職活動をしていた学生時代に時間を戻せるとしたら、どのような働き方を選びますか。この問いに対し、林氏は少しも迷うことなく「めっちゃ働きたいですね」と答えました。
「まだ仕組みが整っていなくて、やるべきことが山ほどある環境に飛び込みたいです。混沌とした状況の中で、自分の手で一つひとつ形にしていく。そこにこそ、成長があると思っています」
やるべきことが山積みの環境に身を置き、自らの手で課題を潰していく。そのプロセスを好む林氏の姿勢は、新卒で入社した金融系のシステム会社での経験が基盤となっています。
「前職ではとにかく鍛えてもらいました。業務量も多く、仕事の基礎を叩き込んでもらった環境には本当に感謝しています。ただ、経験を積むにつれて『今よりももっと混沌とした状況に身を置いて、ゼロからチャレンジしたい』という気持ちが大きくなっていったんです」
前職で得た学びへの感謝を口にしながらも、抑えきれなくなった好奇心が独立への道を後押ししました。
20代前半、意外なお金の使い方
仕事への熱量が人一倍高い林氏ですが、20代前半に最も熱中したことを尋ねると、意外な答えが返ってきました。
「起業家なら自己研鑽や人脈形成にお金を使っていそうなイメージがあるかもしれませんが、コロナ禍で外に出られなかったこともあって、ひたすら携帯ゲームにつぎ込んでいました」
独立に向けて自己投資に励んでいたのかと思いきや、その情熱はゲームに向けられていました。
「起業するまでは、資金を貯めるという意識はあまりなく、『宵越しの銭は持たない』精神で、手元にあるお金は気持ちよく使ってしまう性格でしたね」
仕事に「楽しさ」は求めない。原動力は独自の使命感

趣味だけでなく、仕事に対しても全力で向き合う林氏ですが、仕事に「楽しさ」を求めて働いたことはないと言います。
「結果として楽しさを感じる瞬間はありますが、最初からそれを目的にはしていません。仕事である以上、まずはお客様の成功を第一に考える。Give、Give、Giveの精神で価値を提供し続けた先に、初めて結果がついてくるものだと考えています」
それでは、何が彼を突き動かすのでしょうか。
「モチベーションを仕事の原動力にはしません。気分が乗る日もそうでない日もありますが、どんな状況でも最高のパフォーマンスを出すのがプロです。感情の波を仕事の質に持ち込まないよう意識しています」
その根底には、独自の行動原理がありました。
「大げさに聞こえるかもしれませんが、目の前にある課題は、世界が自分に『解決しろ』と言ってきている感覚なんです。だから、ただそれに従っているだけ。自分がやりたいからやるというより、求められているからやる、という方がしっくりきますね」
楽しい、辛いといった私情は挟まず、ただ淡々と目の前の課題を解いていく。その原動力となっているのは、自身のためではなく、他者へ向けられた「利他」の精神でした。
「そもそも、自分のやりがいや快楽のために働くというのは、少し違うと感じています。本来、働くとは『誰かを楽にする』ことのはず。目の前のお客様の課題を解決し、その事業を前に進める。それが自分の存在意義です」
新入社員時代の自分へ送る「ユニークなアドバイス」
そんな林氏に、新入社員時代の自分へアドバイスを送るとしたら何を伝えたいか、尋ねてみました。
一つ目は、「TPOをわきまえ、空気を読む力を鍛えろ」。関西出身の林氏は、新人研修中にボケて見事に滑った苦い経験があるそうです。
「ビジネスにおいて、場の空気を読む力は想像以上に大切です。その感覚を若いうちから磨くべきでしたね」と笑いながら語ります。
二つ目は、「仕事以外のことをもっとやっておけ」です。
本業に打ち込むことは大前提としつつも、「せどりやアフィリエイトといった小さなビジネスに挑戦するなど、しり込みせずに外の世界へ視野を広げる行動をもっとすればよかった」と自身の過去を振り返ります。
そして三つ目は、「身体を鍛えろ」。これは社会人1年目というより、もっと早くから始めるべきだったと力説します。
「経営者として実感しているのは、健康とパフォーマンスは直結しているということです。強い身体があってこそ、長時間の集中力や厳しい局面での判断力が維持できる。筋トレは最高の自己投資です」と現在トレーニングに励むからこその実感もこもっていました。
求めるのは「核心を突く賢さ」と「爽やかさ」

最後に、どのような若者と一緒に働きたいかと尋ねると、「賢くて、爽やかな人」という答えが返ってきました。林氏の言う「賢さ」とは、学歴のことではありません。それは、「課題の核心を突ける能力」です。
「相手が本当に求めている回答は何かを推し量り、一言で的確に返せるか。この能力は意識すれば誰でもできるはずなのに、できる人はほとんどいません」
そして、「爽やかさ」とは失敗したときの姿勢に表れるといいます。
「仕事で追い詰められたり、ミスをして叱られたりしたときに、どんどん萎縮してしまうのではなく、『すみません、やっちゃいました!』とあっけらかんと言えるような人がいい。そういう人は、お客さんから無理な要求をされたときも、ただ引き下がるのではなく、会社とお客さんの双方にとって最善の着地点を探す交渉ができます」
林氏の言葉の端々からは、独自の哲学と、仕事に対する揺るぎない覚悟が感じられました。彼の「壮大な使命」がどのような未来につながっていくのか楽しみです。
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Future Leaders Hub 編集部