「Z世代が将来をつくっていく主人公になる社会をつくる」数々の困難を乗り越えた女性経営者の挑戦
「失敗を恐れずにやってみたら」
そう語るのは、株式会社教育ネットの代表取締役、大笹いづみ氏です。同社は小中学生向けのICT教育支援を全国で展開しています。
かつては失敗を恐れ、人前で話すことも苦手だったという大笹氏。会社の倒産やセクハラなど、数々の困難を乗り越えた先に築いたキャリア。そして、未来を担うZ世代と共に「ワクワクする未来」を創りたいと語るその情熱の源泉に迫ります。
なぜ社会に出ると「子どもの可能性」が縮こまってしまうのか?
「最近、いじめの動画などがニュースになることもありますが、テクノロジーは自分にとって可能性を広げるものに使ってほしい。自分の夢と可能性を広げるために使ってもらう、というのが私たちの理念です」
警察や携帯会社が「危険性」や「マナー」を教える講演はあっても、同社のように「じゃあこういう場面でどう使う?」と問いかけ、子どもたちに考えさせる授業は多くありません。
さらに、今後の展望として「教育と地方創生の取り組み」を掲げます。その一つが、子どもたちが地域の魅力に関するアイデアを考え、それをカプセルトイ(ガチャガチャ)にして販売まで行う「スクールエール」という事業です。
「学校の授業は発表して終わり、ということが多い。それはすごくもったいない。子どものアイデアはすごいので、それを本当に形にして地域で売る。そして、売上の一部を教育に還元する。そこに、Z世代の若い人たちのアイデアがいっぱいほしいんです」
時代の流れが速い現代において、昭和の考え方で経営していては立ち行かなくなると大笹氏は指摘します。だからこそ、今後設立するグループ会社の社長には20代、30代のZ世代を積極的に登用していく構想を持っています。
「教育現場で子どもたちを見ていると、ものすごい可能性を感じるんです。なぜこれが社会に出ると縮こまってしまうのか。なぜ企業に入ると、あのときの輝きがなくなってしまうのか。それが一番の課題です。Z世代の人たちが『将来をつくっていく主人公になる社会』にしたいんです」
現在、教育分野で情熱を注ぐ大笹氏ですが、もし今、学生に戻れるとしたらどのような働き方を選ぶのでしょうか。

新規事業を立ち上げるもまさかの倒産で暗転
「やっぱり自分で会社を作りますかね。やりたいことで事業ができれば学生のうちに起業したいです。もし起業の選択肢もあると当時から知っていたら、若いうちからやりたいですね。学生だからこそ感じること、大学生の友達がいるからこそ分かるニーズがある。そのときしかできない、その価値を活かしたことがしたいです」
そんな大笹氏のキャリアの原点はエンジニアでした。サラリーマンとして働いていた頃にインターネットが登場し、「AIと同じくらいの衝撃を受けた」と振り返ります。
「『世の中がめちゃめちゃ変わるぞ』と革命的なものを感じました。ちょうどそのとき子どもが生まれ、学校にもインターネットが入り始める頃で、『学校にこれが入ったらすごくないか』と思ったんです」
教室という閉じた空間から、全国、そして世界とつながる可能性。そこに大きな価値を感じた大笹氏は、社長に直談判し、会社の中で新規事業を立ち上げます。それが、事業を起こすという最初の経験でした。
しかし、順調に思えた社内での新規事業でしたが、大笹氏を待っていたのは波乱万丈の道のりでした。
「新規事業を立ち上げた会社が、倒産してしまったんです」
サービスを使ってくれていた子どもたちからは「せっかく使っていたのに」という声が届きます。
「その声に応えたい一心で『もう一度自分でやるしかない』と思いましたが、当初は自ら会社を起こす勇気が出ませんでした。それで、やりたいことを認めてくれると約束してくれた会社に一度、転職したんです」
しかし、そこでも新たな壁が立ちはだかります。約束は果たされず、セクハラ被害に遭い、裁判沙汰にまで発展。最終的には全面勝訴したものの、その会社で事業を続けることはできなくなりました。
「もう最後は、自分で作るしかなかった。たぶん『自分でやれ』って言われたんだろうなと思います。後悔はしていないですね。そういうことがあって、やらざるを得なくなって踏み出せたので、今はよかったなと思っています」

「何がしたいかわからないまっさらな人」とも一緒に未来を探したい
数々の困難を乗り越えてきた大笹氏。そんな彼女が、もし新入社員時代の自分にアドバイスするとしたら、どんな言葉をかけるのでしょうか。
「自戒も込めて、『失敗を恐れずにやってみたら』と言いますね。私自身、今はこうですが、昔は人前で話せなかったですし、失敗するのが嫌で、失敗している姿を人に見られたくなかったんです」
周りの目を気にして、自分を繕うことばかり考えていた20代。その殻を破るためにはどうすればいいのか。大笹氏は「自分がやりたいことに打ち込める環境に身を置くことが早い」と語ります。
「自分のやりたいことを認めてくれる、そういう場に身を置くことです。それは会社かもしれないし、アルバイト先やボランティアかもしれない。なかなか自分一人では変われない。環境がそうさせてくれないこともありますから」
未来をつくる若者たちと「一緒に仕事をしてワクワクしたい」と語る大笹氏。明確な目標を持つ若者だけではないと言います。
「『何していいかわからない』という人も、ぜひ来てほしいですね。ただ、やったことないからわからないだけだと思うんです」
同社では、転職を考えている人向けに、給与をもらいながら2か月間、営業から企画、マーケティングまで様々な仕事を体験できる「社会人インターン」制度を設けています。
「『今の会社にいても将来が見えてしまった。でも自分に何が向いているかわからない』という方は多いと思います。そういう人たちに、まずやってみる場を提供したい。わからないというのは、逆に言えばまっさらだということ。うちにとっては『すごい、じゃあ一緒に探さない?』という感じです」
夢や目標がないことに、負い目を感じる必要はない。まっさらなキャンバスだからこそ、描ける未来があるのです。
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Future Leaders Hub 編集部