「自分が思い描く人生は歩めない…」香川の女性経営者が“ブラック企業での理不尽な経験”を経て起業するまで
「地方で女性が働くということは非常に困難だと感じていました」
ヒューマンプランニング株式会社の代表取締役社長、植村亮子氏は起業時の心境をそう振り返ります。
自身の経験から地方が抱える社会課題解決を志し、2012年に起業。現在はマーケティング会社や社会福祉法人での認可保育園の運営も手がけ、3社の代表として多忙な日々を送ります。
困難な環境を乗り越え、今では「経営が楽しくて、毎日が本当に楽しい」と語る植村氏。その情熱の源泉と、未来を担う若者へのメッセージを伺いました。
「地方で働く女性」が活躍できる場を増やしたい
大学卒業後、地元である香川県に戻り、会社員として働いていた植村氏。そこで感じたのは、地方における女性の働きづらさでした。
「最初は広告代理店での経験を活かして事業をスタートさせ、その後はWebマーケティング領域にも進出しました。2018年には人材会社であるヒューマンプランニングをM&Aで取得し、事業を拡大。さらに2025年7月、新たに社会福祉法人として保育園運営を開始しました」
現在、3社の代表を務める植村氏の視線は、常に「地方の課題解決」に向けられています。
「地方が抱える課題を解決するためには、まず雇用を増やしていくことが重要です。誰もが働いて収入を上げられる、そんな雇用を創出していくことがグループとして取り組むべき社会課題だと考えています」

自分の思っている人生は生きていけない
植村氏を起業へと突き動かしたものは、いったい何だったのでしょうか。その背景には、過去の経験がありました。
新卒で入社した広告代理店は、深夜や早朝の打ち合わせは当たり前で、サービス残業が横行する環境でした。仕事自体は楽しかったものの、「このままでは子どもを産んで育てることは無理」と感じ、転職を決意します。
次に入社した大手証券会社は上場企業で労働環境は整っていました。しかし、リーマンショックの影響を受け、金融業界全体が大変な時期に。そんな中、声をかけられて転職した3社目の会社が彼女の人生を大きく動かすことになります。
「いわゆるブラック企業で、女性は使い捨てのような扱いでした。女性が一生懸命作った企画書を、男性の上司が自分の手柄のように発表する。そんなことが日常茶飯事だったのです」
セクハラやパワハラも当たり前のように存在したといいます。就業時間が終わってから突然2人きりで打ち合わせに呼び出され、仕事とはまったく関係のない話をされる。そんな理不尽な環境で、植村氏の心は決まりました。
「このままでは、自分が思い描く人生は歩めない。そう思って起業を決意しました。今思えば、経験があったからこそ思い切れることができたと思います」

「自分が幸せになるために仕事をする」と考えてほしい
実は植村氏、大学時代から営業の才能を発揮していました。不動産会社での営業のアルバイトでは優秀な成績を収め、月50万円を稼いでいた時期もあったといいます。
その経験は、社会人になってからも大いに活かされました。広告代理店に入社した当初、周囲は新人にいきなり営業は無理だろうという空気。しかし、植村氏は研修を終えてわずか3日目で新規のクライアントを獲得し、周囲を驚かせます。
「『どうやって取ってきたんだ』とみんなが驚いているのを見るのが、本当に楽しかったですね。もともとは映画制作を学ぶために留学資金を貯めていましたが、ビジネスの面白さに魅了され、結果的に香川の地でキャリアを築くことを選びました。現在では以前から興味があった動画制作にも携わることができ、経営者として充実した毎日を送っています」
さまざまなキャリアを歩んできた植村氏に、もし新入社員時代に戻れるとしたら、過去の自分に何をアドバイスするか尋ねました。
「当時は自分の営業成績を上げることばかりに満足していました。でも、もっと上司と対話して会社全体のことを考える、いわゆる『社内営業』のような視点を持てばよかったと思います。会社員時代に経営について興味を持っていれば、起業したときにもっとスムーズに組織作りができたかもしれません」
また、共に働く若者には「自分が幸せになるために仕事をする、という考え方で働いてほしい」と語ります。
「仕事に全力で取り組むほうが、幸せになれる確率は上がりますし、人生も充実します。でも、仕事だけが人生になってしまうと、年を重ねてから幸せを感じにくくなる。若いうちに何事にも全力で取り組んでおけば、どこで力を抜けばいいかが後からわかってきます。まずは何より自分が幸せになるという気持ちを持って仕事に向き合ってほしいですね」
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Future Leaders Hub 編集部