「1の成果」からでいい。キーコーヒー社長が語る“小さな挑戦”を積み重ねることの大切さ
キーコーヒーは1920年の創業以来、コーヒーを「誰でも、簡単に、おいしく」を追求してきた。
嗜好品としての楽しみ方や味わい方を伝える一方で、キーコーヒーの代表取締役社長を務める柴田裕氏は、「一杯のコーヒーを通じて世界を広げてほしい」という願いを持っている。
柴田氏の言葉から、失敗を恐れず小さな成功を積み重ねる大切さと、豊かな人生を歩むためのヒントを探っていく。
コーヒーが持つ多様な楽しみ方

── これからコーヒーを飲んでみたいという人は、どういうところから入るのがいいと思いますか?
キーコーヒーの定番商品「ドリップ オン®」のように、カップとお湯さえあれば、手軽においしいレギュラーコーヒーを楽しむことができる一杯抽出型のコーヒーがおすすめです。最初から豆を挽いて淹れるのは、どうしてもハードルが高いと思うので、まずは一杯抽出型の簡易的なものでコーヒーを楽しんでいただき、そこからいろいろな飲み方に挑戦してもらえたらいいのではないでしょうか。
ハンドドリップでコーヒーを淹れるコツは、一度お湯をきちんと沸騰させること。また、コーヒー粉にお湯をしっかり染み渡らせて蒸らすのもポイントです。
コーヒーには本当に多様な楽しみ方があって、疲れたときにはミルクと砂糖たっぷりで甘く、ケーキやスイーツと合わせるならブラックを選ぶなど、シーンに合わせて楽しめるのも魅力です。あまり難しく考えすぎず、色々と楽しみながら味わってもらえたらなと思います。
── 喫茶店で注文するときに、おすすめの注文方法はありますか。
さまざまな銘柄のコーヒーを試して、自分好みのコーヒーをを見つけてもらいたいですね。「モカ」や「キリマンジャロ」など聞いたことのある銘柄から試してみて、自分の好きな味を見つけるのがコーヒーの醍醐味ではないでしょうか。
世界を広げるきっかけにしてほしい
── 「18歳。コーヒーを」という企画をされていると伺いました。具体的には、どのような内容か教えてください。
18歳は、高校卒業や成人など人生のひとつの転機となる年齢です。「18歳。コーヒーを」は18歳をひとつの節目に、コーヒーをきっかけとして世界を広げてほしいという想いを込めたキャッチフレーズです。このキャッチフレーズを基に、次世代に向けてコーヒーの魅力を訴求するプロジェクトを推進しています。
例えば、当社のフラッグシップブランドである『トアルコ トラジャ』をはじめ、「モカ」や「キリマンジャロ」といったコーヒーの銘柄は知っていても、「そのコーヒーがどこの産地のものか」まで理解している人は意外と少ないのではないでしょうか。コーヒーは、深掘りすればするほど、コーヒー自体の魅力やそれにまつわる素敵なストーリーが出てきます。
若い方々にも、コーヒーを通じて生産国のストーリーや文化、魅力を知ってもらえたら嬉しいですね。
臆せず意見を言うこと、多様な接点を持つこと

── 若者に期待することや持つべきマインドセットについてお聞かせください。
何事にも臆せず、いろいろな意見を言ってほしいですし、若い人ならではの視点から積極的に発言していただきたいと思っています。キーコーヒーは1920年創業の歴史があり、中に長く居る人間には気づかない改善点などもあると思います。だからこそ、若い人がコーヒーやキーコーヒーに関する意見を自由に出せる、風通しのいい会社でありたいと考えています。
── 「20代のうちにこれだけはやっておくべき」という具体的なことは何ですか?
若い時に、自分の業界や専門分野以外の人たちとも積極的に交流しておくことです。そこから視野が広がり、意外な学びを得られます。後になって、その時の経験の大切さが理解できることもあるので、ぜひいろいろな方との接点を持ってみてください。
若い頃、スペインに留学していましたが、そこで知り合った人たちの中には絵画や建築に興味があってスペインに来ていた人もいました。それぞれの専門的な視点からスペインの文化や歴史について話を聞くことは貴重な経験でしたし、「物事を考えるときにさまざまな角度からとらえること」の大切さを教えてくれた気がします。
今しかできない挑戦が、未来の自分を強くする
── コーヒーに興味を持つ若い人は結構いると思うのですが、若い世代に向けて何か伝えるとしたらどのようなメッセージを送りたいですか?
コーヒーを飲む楽しさやおいしい淹れ方などはもちろん、産地のことや背景にあるストーリーもあわせて伝えていきたいと思っています。
そこから、コーヒーをきっかけに若い方々の世界が広がっていけば嬉しいですね。
加えて、新しい世界を知ることや、未知のものに挑戦することはぜひやっていただきたいことでもあります。
語学で例えてみましょう。外国語は、学び始めた当初はなかなか喋ることに抵抗感があるかと思いますが、臆せずにどんどん話すことが大切です。
「10の成果を出そう」と、高い目標を自分に課すことも大切ですが、まずは「1の成果」からでもいい。外国語で言えば「完璧に喋れる」までいかなくても、異文化の人達と話をしてみるという挑戦をして、「たくさん話をしてみたら、ひとつ伝わった」ということを喜びにしてほしいのです。
その挑戦と、“伝わった”という経験が、やがて大きな到達点につながっていきますから。まずはどんなことでも、ひとつずつの“できた”ということを積み重ねていくのを大事にしてください。
<構成/古田島大介 撮影/林 紘輝>
あなたにおすすめの記事
株主総会を「会社の魅力をプレゼンする場」に変えたキーコーヒー社長・柴田裕の経営哲学
「経験は8割が思考力でカバーできる」伝説の学生起業家に教わる“本当に役立つ大学生活の過ごし方”<編集後記>
ソフトバンク元幹部が明かす“挫折率6%”の秘密…「教育で儲けた人はいないぞ」孫正義氏の言葉に屈しなかったワケ
Luup岡井社長「キャリア形成は筋トレと同じ」 若いうちに圧倒的な量をこなして成長したいなら、自ら高い負荷を選ぶ覚悟を
「圧倒的な基準値」が人生を変えた——北の達人社長が語る『北の国から』に惹かれ、北海道移住までの創業ストーリー
頑張っているのに結果が出ないのは「不条理」ではなく「不合理」かもしれない【編集後記】
「仕事が”楽しい”と感じたことは一度もなかった」Luup創業者が明かす“ハードモード”をあえて選ぶワケ
“やめていい線引き”が背中を押す——剛腕経営者から学ぶ「撤退ラインがビジネスには欠かせない理由」<編集後記>
「完璧な発音より伝わる英語」アメリカで大恥をかいた“孫正義の右腕”が5か月で英語の夢を見るようになった学習法
Future Leaders Hub 編集部