大規模コラボの挫折で見つけた「本当の課題」…“信頼”を届ける青学生たちのフェアトレード啓発
「ESG&well-being」連載第12回は、『SDGs AWARD for University 2026』決勝進出団体による寄稿レポートをお届けします。
今回登場するのは、青山学院大学のプロジェクト型授業から誕生し、「フェアな世界へ、青学から。」をスローガンに啓発活動に取り組む学生団体『フェアトレードラボ』です。
「企業と連携してフェアトレードの認知を広めたい」。そんな想いを胸に、大手企業へ商品企画を提案した彼らでしたが、事業規模の壁にぶつかり、企画はあえなく頓挫してしまいます。しかし、そこで立ち止まることなく地道なイベント出店へと活動の場を移した彼らは、生活者と直接対話する中で「フェアトレードに対する根本的な課題」に直面しました。
大規模なコラボレーションの挫折から立ち上がり、生活者のリアルな声に耳を傾けながら次なるステージへと進んでいく、学生たちの熱き奮闘を綴ります。
教室を飛び出し、実社会と繋がる挑戦

私たち青山学院大学フェアトレードラボはフェアトレードの認知拡大を目標に、企業や団体と連携しながら商品開発やイベントの企画・運営を行っています。学生のアイデアを授業内に留めるのではなく、実社会での実践へとつなげている点が私たちの強みです。
私たちがこの活動を始めた背景には、開発途上国の生産者が不当に低い価格で取引され、十分な収入を得られないという課題への問題意識があります。フェアトレードは、生産者の労働を尊重し適正な価格で取引することで自立と生活の安定を支える仕組みであり、「貧困をなくすこと」や「人や国の不平等を是正すること」といったSDGsの達成にもつながります。
身近な購買行動を通じて、世界規模の課題解決に貢献できる。その可能性を信じ、より多くの人にフェアトレードを知り、選択してもらうことを目指して活動を続けています。
企画の頓挫と、対話で見つけた「本当の課題」
私は昨年度、このラボのイオン班に所属していました。自分たちがイオン株式会社と共同で実現したい企画を考え、その実現に向けたプロセスを構想し、プレゼンテーションを行いました。
具体的には、イオンのプライベートブランドである「トップバリュ」のブランド力と幅広い商品展開を活かし、既存の商品にフェアトレードラボとのコラボによる新たな付加価値を加えた商品の販売を提案したのです。しかし、イオンは大規模に事業を展開している企業であるため、少ない数での生産が難しく、企画の実現には至りませんでした。
最も実現したかった企画は叶いませんでしたが、「フェアトレードを広めるために何かしたい」という思いは変わりません。そこで自分たちにできることを考えた結果、イオンが関わるエシカル関連のイベントに、フェアトレードラボとして出店する機会を得ることができました。
出店させていただいたイベントの1つである「アースデイ幕張2025」では、主に子どもたちに向けてフェアトレードのお花に関連したワークショップを開催しました。子どもたちと一緒に工作をしながら、親御さんたちにはフェアトレードについて簡単な説明を行いました。
そこでは、これまで想像することしかできなかった「世間の方々のフェアトレードに対する認識や考え」を、実際に話しながら肌で感じることができました。
実際にいろいろな人にフェアトレードを紹介するなかで最も驚いたのは、フェアトレードに対する世間の信頼が想像以上に低いということでした。フェアトレード認証は取得までに厳格な基準と長い期間を要するため、信頼性の高い制度であると私たちは理解しています。しかし、その背景を知らない人々にとっては、「フェアトレード認証を受けている=信用できる」という認識が必ずしも共有されていないことがわかったのです。
今後は、フェアトレードの理念や仕組みだけでなく、その信頼性についても併せて伝えていく必要があると深く実感しました。

国境を越え、「信頼」を届ける次なるステージへ
私たちは今後、活動の規模をさらに広げ、国内外との連携を強化していきます。韓国の大学との交流や、現在進行中であるタイの山岳民族との共同プロジェクトを通して、国境を越えた協働の可能性を実感しているところです。
こうした直接的なつながりを活かし、フェアトレードをより身近で信頼できるものとして発信するとともに、児童労働や貧困といった課題を自分ごととして捉える人を増やしていきます。
「フェアな世界へ、青学から。」
このスローガンのもと、社会に前向きな変化を生み出し続けます。
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Future Leaders Hub 編集部 