営業はトークじゃなかった」大手外資でトップセールスに上り詰めた元バンドマンが忘れない“受注ゼロの経験”
「営業はトークでいけると思っていたんです。でも、それが完全に通用しなかった時期がありました」
そう振り返るのは、株式会社SalesDex代表の藤井翔太氏。ビジュアル系バンドマンという異色の経歴からヤフー、Salesforceでトップセールスに上り詰めた人物だ。
「最初は正直、勢いでいけると思っていたんですよ。でもSalesforceに入って、受注ゼロの時期が続いて、『営業ってそんなに甘くないんだな』と初めて気づきました」
現在は「市場参入支援」を掲げるSalesDexを立ち上げ、複数の事業を展開している。
「売上を作る」に強くこだわる理由
「僕らの仕事はいわゆる営業代行とは少し違っていて、お客様の“売上を作るところ”にどれだけ踏み込めるか、そこに価値があると思っています」
具体的には、営業BPO、営業DXコンサルティング、自社プロダクト「コラビズ」の3つが柱だという。
「認知を取って、商談して、受注して、カスタマーサクセスまでやる。営業の全部をやるのがBPOです。それを人だけに頼らず仕組み化するのがDXで、さらに『ちょっと相談したい』というニーズにも応えられるのがコラビズです」
なぜここまで「売上」にこだわるのか。
「やっぱり企業って売上がないと続かないじゃないですか。だったらそこにダイレクトに貢献できたほうが、お客様にも喜んでもらえると思ったんです」
大企業に在籍していた頃から、その思いは強かったという。
「ヤフーでもセールスフォースでもすごくいい会社なんですけど、どうしても“自社のプロダクトの範囲内”でしか価値提供できない。それが少しもどかしかったんですよね。いろんな会社を見ていく中で『こういう支援ができたらいいのに』という思いが溜まっていって、それを自分でやろうと思った、という感じです」

受注ゼロのどん底で気づいた「営業の本質」
順調に見えるキャリアの裏で、転機になったのはセールスフォースに入社してすぐ、受注ゼロが続いた“どん底”の経験だという。
「本当に売れなかったですね。今までのやり方が全部通用しなくて、正直かなりきつかったです。それでも踏みとどまれたのはお客様の支えがあったから。すごくいいお客様に出会えて、その方と話していて『もう一回ちゃんと向き合おう』と思えた。自分を成長させてくれるのは結局お客様なんですよ」
この経験を経て、営業に対する考え方は大きく変わった。
「トークじゃなくて“価値”なんだなと。お客様にとって意味のある提案ができているか、それだけなんですよ」
そこからトップセールスへと上り詰めた背景には、独自の習慣があった。
「とにかく1位を取り続けることを意識していました。ただ、それは大きな目標じゃなくていいんです。『今日の電話数1位』とか『上司に相談した回数1位』とか、本当に小さいことでいい。1回1位を取ると、それを維持したくなるんですよ。そうすると気づいたら“1位を取り続ける行動”が習慣になっている」
積み重ねの重要性を、藤井氏はこう語る。
「いきなりすごいことをやろうとしなくていい。目の前の小さい1位を積み上げた結果が、大きい成果になるだけなので」
「やりたいことをやれ。本気で、そして続けろ」
キャリアについても、考え方は一貫している。
「よく『向いてる仕事を探す』って言いますけど、あれは正直後付けだと思うんですよ。やってみないとわからないし、やってみて初めて『向いていた』と言えるものなので、やりたいと思ったことをやればいい」
その上で強調するのが“本気と継続”だ。
「どうせやるなら本気でやるし、それを続ける。この2つだけですね。だから若い人には『とりあえずやってみたらいい』と伝えたいと思っています。多くの人は失敗を重く考えすぎなんですよね。でも成功ってだいたい失敗の先にしかないので、むしろ『失敗しにいく』くらいの感覚でいいって考えています」
そして最後に、藤井氏の哲学を象徴する言葉を紹介してくれた。
「『プロフェッショナルとは、辞めなかったアマチュアのことだ』という言葉があって、最初は誰でもできなくていい。ただやって続ける、それだけでプロに近づいていく。だからあまり難しく考えずに、一回やってみましょうよ、と思います」
藤井氏の言葉に特別な装飾はない。だが、小さな行動と継続の積み重ねこそが成果を生むという、その実感の重みが、何よりの説得力を持っている。

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Future Leaders Hub 編集部