「私は優秀です」と語る人が全員不採用になるワケ…“自己PR”が失敗に終わる決定的な要因【編集後記】
「自己PR」って難しいですよね。就職活動では必ず必要になるのに、ちゃんと教えてもらう機会はそう多くはありません。
「サークルで代表をやっていて、リーダーシップがあり…」
「カフェのバイトを続けているので、コミュニケーションには自信があり…」
「ゼミでは縁の下の力持ちで、常に責任感が強く…」
一生懸命考えているのに、なかなか魅力的な言葉が浮かばない。エントリーシートを前に手が止まってしまう人も多いでしょう。でも、それは仕方ないと思います。多くの人が「自己PR」と「自己アピール」を混同しているからです。
「アピール」と「PR」は似て非なるもの
今回、PRのプロである青﨑曹さんにインタビューをしたところ、こんな話を聞きました。
「面接では学生に自己PRを求めていないんです」
理由はシンプルです。
「自己PRを“アピールの場”だと思っている人が多いので、全員不採用になってしまう」
たしかに、「自己PRしてください」と言われたら、多くの人が具体的なエピソードを増やしつつ冒頭の例のような形で答えるのではないでしょうか。
「私はリーダーシップがあります」
「私はコミュニケーション力があります」
「私は責任感があります」
実は、ここに大きな勘違いがあります。これらは「自己PR」ではなく、「自己アピール」です。アピールとは「自分の長所や強みを伝えること」。主語は「私」。つまり、「私は、こんな強みがあります」という話です。
では、「PR」とは何でしょうか。PRとは、「Public Relations(パブリックリレーションズ)」の略です。直訳すると、「関係づくり」。「相手との関係の中で、自分がどんな価値を生み出せるのかを伝える」というのが本来の意味です。
主語は「私」ではなく、「相手との関係」であることが重要。例えば、「サークル代表として、リーダーシップを磨きました」は自己アピールです。
一方で、「サークルで培ったリーダーシップを生かして多様な関係者をまとめて〇〇をしたことがあり、(私とあなたの会社は)〇〇業界が直面する〇〇の課題を前に進めることができます」であれば、自己PRです。
違いは、「だから私は優秀です」で終わるか、「だからあなたの役に立てます」まで伝えられているか、です。
「自己PR」は相手を知らなければ成立しない

もう少し具体的に違いを見てみましょうか。
・自己紹介「報道とコンテンツ事業に携わるテレビマンです」
・自己アピール「現場に飛び込み、人の話を聞き、企画に落とし込む力があります」
・自己PR「現場で見つけた社会の変化や人の熱量を、新しいコンテンツや事業へと転換する価値を提供できます」
自己紹介は事実、自己アピールは強み、自己PRは提供価値と言えます。さらに優しく言い換えるとこうなります。
・自己紹介 =私はこんな人です。
・自己アピール =私にはこんな強みがあります。
・自己PR =私はこんな価値を提供できます。
それにしても、「自己アピール」に比べて、「自己PR」って難しいですよね。なぜなら、「自己アピール」はひとりでも考えられますが、「自己PR」は相手を知らなければ成立しないからです。
相手はどんな会社なのか。何を大切にしているのか。どんな人材を求めているのか。そして、自分はその中でどんな価値を生み出せるのか。そこまで考えてはじめて、自己アピールは自己PRへと変わります。
その力で誰の役に立てそうか、誰の役に立ちたいのか
ちなみに青﨑さんは、就活生を見る際に「情熱」「地頭のよさ」「ミーハーさ」を重視しているそう。PR業界は常に世の中の変化を追い続ける必要があるため、流行や新しい情報への好奇心が欠かせないからです。
もちろん、求める人物像は業界や企業によって異なります。だからこそ大切なのは、自分の強みを探すだけではありません。その強みが、相手にとってどんな価値になるかを考えることが肝要です。
私は人にたくさん会う仕事をしていて、誰にでも必ず強みがあることを実感します。ただ、その強みを自分で言葉にするのは意外と難しい。今回のインタビューが、あなた自身を見つめ直すきっかけになっていたらうれしいです。
もしエントリーシートで手が止まったら、「私は何ができるか」だけでなく、「その力で誰の役に立てそうか、誰の役に立ちたいのか」も考えてみてください。きっと、その先にあなたにしか語れない「自己PR」があるはずです。
<文/清水俊宏 撮影/林 紘輝>
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