「日本で起業するよりも、成功のハードルが低い」ベトナム起業を選ぶ日本人たちの本音【編集後記】
「ベトナムはすごい。なんでみんな来ないのかと不思議なくらい」
今年、ベトナムに豚骨ラーメン店を開業した菅原智美さんは、そう言って笑いました。
私もベトナムには仕事や旅行で何度か足を運んでいますが、そのたびに「ベトナム、すごい」を実感しています。
初めて訪れたのは大学生の時。中国・北京からシンガポールまでバスや電車を乗り継いで旅をしていた途中でした。
押し寄せるバイクの群れや、日中は暑すぎるからと夕方になってから服を着たまま海水浴を楽しむ老若男女の姿など、日本とはまるで違う、街のエネルギーに圧倒されました。
あれから20年以上が経ち、リゾートホテル建設など風景はかなり変わってきましたが、あふれ出るエネルギーは当時のまま。むしろ経済成長の真っただ中で、建設ラッシュや旺盛な購買意欲など、よりパワフルになっている印象です。
現地日本人が明かす「ベトナムならではのメリット」
菅原さんのほかにもベトナムで起業した日本人に何人か会ったことがありますが、「ベトナムにはチャンスがある」とみなさん口を揃えます。
でも、「エネルギッシュ」だけなら他の東南アジア諸国でも感じられそうですよね。それでも「ベトナム」と強調する人が多いのはなぜなのでしょうか。
数年前にベトナムへ出張した際、現地で働く日本人から「ベトナムならではのメリット」を聞いたことがあります。
人によって意見は違うでしょうが、印象的だったのは次のような点でした。
・王制国家ではないので「国王誕生日」などの祝日が少なく、工場の生産がストップしにくい。
・日本人と少し似た国民性で、勤勉な人が多い。
・アオザイ縫製などを見てもわかるように手先が器用で、日本人的な細やかさを表現できる人が多い。
・食べ物などで宗教的なタブーが少なく、日本の文化や生活様式を受け入れてもらいやすい。
・物価が比較的安く、日本人にとって食生活のハードルも低い。
もちろん、これらはほんの一例です。ただ、こうした話を聞いていると、ベトナムに魅力を感じる日本人ビジネスパーソンが多い理由もわかる気がします。
初めから海外で成功するほうがハードルは低い

そうは言っても、「縁もゆかりもないベトナムで起業するなんて考えられない」という人も少なくないでしょう。
しかし、菅原さんの考えはちょっと違います。
「起業するなら、日本でやるよりベトナムでしたほうがいい。多くの日本人は『日本で成功したら海外に行こう』って考えますけど、日本で成功するのは大変なんです。初めから海外で成功する方がハードルは低い」
菅原さんは、日本国内で飲食やレンタルオフィス、エステなどいくつもの事業を展開してきましたが、すべてが順風満帆だったわけではありません。
今回のインタビューでは、売上ゼロで終わった事業の話なども明かしてくれました。
何度も挑戦と失敗を経験してきたからこそ、ベトナムという新しい市場の可能性を人一倍感じ取っているのかもしれません。
「何をするか」よりも発展していく市場に行く
ベトナムでグローバル人材紹介事業などを手掛けるICONICを創業した安倉宏明さんに、ベトナムで起業したきっかけについて聞いたことがあるのですが、同じようなことを言っていました。
「何をするか決めるよりも、これから発展していく市場に行かないと厳しいなと思った」
ICONICは、いまやマレーシアなどでも事業を展開するグループ企業へと成長しています。ベトナムという成長市場を選んだからこそ、いまの躍進につながったのかもしれません。
(もしよろしければ、「小心者でビビリ」という安倉さんが何のツテもなくベトナムで起業した動画もどうぞ)
ビジネスや起業とは少し縁遠い人でも、今のベトナムのエネルギーを感じることはきっと刺激になるはずです。ぜひ観光やショッピングにでも訪れてみてください。
私も、菅原さんのラーメン店に行ってみなきゃ!
<文/清水俊宏 撮影/林 紘輝>
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