「就活は自分を評価される場ではない」星野リゾート人事担当が語る”自分に合う会社を探す旅”の始め方
就活が近づくにつれ、つい「意識高い系」の波にのまれ、息苦しさを感じる学生は多いのではないでしょうか。そんなとき、心を救ってくれるのが「非日常」です。たとえば旅行に出かけたとき、同じ毎日に追われて見失っていたものが、不思議と見えてくる気がします。
現役大学生が自ら運営する就活メディア『脱力就活。(毎週日曜よる9時〜/ShibuyaCross-FMにて放送中)』。そのコラム版となる本連載では、番組総合プロデューサーの黒澤洋士氏が過去の放送を振り返りながら、番組で就活生に届けたかった想いやメッセージを改めて言葉にしていきます。
今回の『脱力就活。まがじん。』では、「旅は魔法」というミッションを掲げ、国内外でリゾート施設を展開する「星野リゾート」の人事担当・岩居夏奈子さんをゲストに迎えます。就活で自分に自信が持てなくなったとき、自分に合う環境を見つけるためのヒントとは何かを探ります。
宿泊施設ではなく「旅という体験」をプロデュース
国内外で72施設を運営するリゾート運営会社「星野リゾートホールディングス」。どのブランドにも、まるで物語のような異なるコンセプトが存在します。
・非日常を味わうことができるラグジュアリー路線の「星のや」
・地域の魅力を体験することができる温泉旅館ブランドの「界」
・街を楽しむ観光ホテルとして若い世代からも人気を集める「OMO」
番組内で紹介された「リゾナーレ下関」では、関門海峡を望むロケーションの一室に、なんと本物の砂を使用した砂浜が広がっています。まさに従来のホテルのイメージを超えた、「体験型施設」のような楽しみ方ができるリゾート施設です。
単なる宿泊施設の枠を超えて、「旅」という体験そのものをプロデュースする。その土地ならではの旅をデザインする仕事は、非常にクリエイティブで、働く側にとっても大きな魅力と言えそうです。
マニュアル通りではない。「出会い直す」ことで生まれる感動
今回のゲストは、2022年に星野リゾートへ新卒入社後、現場でのホテル運営業務を経て、現在は新卒採用をなどを担当されている岩居夏奈子さんです。
彼女のお話の中で特に印象的だったのは、そのキャリア以上に「働き方」でした。ホテル業界というと、フロント、レストラン、清掃など役割が分かれているイメージがありますが、星野リゾートでは一人ひとりがホテル運営に関わる幅広い業務を担当するそうです。
岩居さん自身も現場で働いていた頃は、朝食の仕込みから始まり、お客様へのサービス、客室対応、フロントでのお出迎えまで、一日の中でいろいろな役割を担当されていました。一見すると大変そうに思えますが、岩居さんはその仕事についてとても楽しそうに語ってくれました。
旅人に感動を届ける仕事というのは、決してマニュアル通りに接客をすることではありません。お客様が何に喜び、何に感動するのか。そのヒントは、お客様と接する時間の中にしかありません。
岩居さんは番組内で「出会い直す」という言葉を使っていました。毎日同じ仕事をしていると、どうしても作業になってしまいます。しかし、毎日新しい気持ちで向き合えば、昨日まで見えていなかった発見がある。それはお客様に対しても、一緒に働く仲間に対しても同じです。
旅人に感動を届ける仕事とは、特別なサプライズを用意することではなく、こうした小さな発見を積み重ね続けることなのだと考えさせられます。
企業が選ぶのではない。「優秀さ」よりも大切なマッチング
番組後半、スタジオが大きく盛り上がる場面がありました。なんとMCの栞麗さんが「実は専門学生時代、星野リゾートを受けていて、内定もいただいていました」と突然カミングアウトしたのです。
現在、人気タレントとしていろいろなメディアで活躍されている彼女が、一企業で働いている姿はこれまで想像したことがありませんでした。
しかし星野リゾートの「人とのつながりを大切にする」「誰かに喜んでもらうことが好き」という価値観を聞いていると、栞麗さんがそこで働いている姿を容易に想像することができます。
今回の放送を見ながら感じたのは、星野リゾートの採用は「優秀な人を探す採用」というより、「自社に合う人を探す採用」に近いのではないかということです。
番組内では何度も「マッチング」という言葉が出てきました。企業が学生を選ぶのではなく、学生も企業を選ぶ。お互いが本当に合うかどうかを確かめる。その考え方が、通年採用という仕組みにも表れているように感じます。
数年前の栞麗さんと星野リゾートの縁も、偶然ではなく価値観の相性が生み出した必然だったのかもしれません。
就活は評価される場ではなく、自分に合う場所を探す「旅」である

旅にはいろいろな楽しみ方があります。温泉でゆっくり過ごしたい人もいれば、観光地をたくさん巡りたい人もいる。都会のホテルが好きな人もいれば、自然の中で過ごしたい人もいる。正解は一つではないからこそ、星野リゾートもそれぞれ異なるブランドを展開しているのでしょう。
それは就活も同じです。就活をしていると、自分には強みがないように感じたり、周りの学生が優秀に見えたりすることがあります。しかし本当は、一人ひとりに違う魅力があり、向いている会社も違います。
岩居さんが「学生に求める能力はありますか?」という質問に対して、「持っていてほしい能力はありません」と答えていたことが非常に印象的でした。
大切なのは、自分を企業に合わせることではなく、自分自身を知ること。どんなことに価値を感じるのか。どんな環境で働きたいのか。どんな人生を送りたいのか。それが分かれば、自分に合う会社はきっと見つかるはずです。
就活は、自分を評価してもらう場ではなく、自分に合う場所を探す旅です。もし今、自分に自信が持てなくなっている人がいたら、決して焦る必要はありません。
旅先で素敵な景色に出会うように、きっとあなたにも素敵な会社との出会いが待っています。そんなことを感じさせてくれる、今回の星野リゾート回でした。
Future Leaders Hub 編集部 