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2026.11.06 04:01

「人生が終わった」サイバーエージェント退職から3か月引きこもり…挫折の末に見つけた生存戦略


「もう人生が終わった」

かつて、過酷なハードワークの果てに心身を崩し、3か月間の休養を余儀なくされたMs.Engineer代表のやまざきひとみ氏。

しかし、一歩も外に出られなかった期間を、自身の価値観をアップデートする「リスキリング」と捉え、事態を好転させていった。深い挫折を経て彼女が行き着いたのは、「伸びる市場に身を置き、個人の可能性を最大化させる」という生存戦略だ。

今回はAIを単なるツールとして「使う側」から「作る側」へとステップアップするための具体的な道筋をやまざき氏に聞いた。

休養期間が“リスキリング”になった

サイバーエージェント在籍時、「ママ事業部」事業部長を務めていた頃のやまざきさん

── サイバーエージェントを辞めるきっかけは何だったんですか。

サイバーエージェントに在籍していた当時は、かなりハードに働いていたこともあって、体調を崩してしまったんです。本当にメンタルの部分も含めて、結構大きなダメージを受けてしまい、家から出られなくなってしまったんですよね。

そのため、申し訳ない気持ちを抱えながらも、そのまま退職する道を選びました。でも今振り返ると、あの時期が自分にとっての“リスキリング”だったのだと思います。3か月ほど家から一歩も出られない状態が続いたんですが、その間はひたすら本を読んだり、映画を見たりしていました。

私は20代の頃、とにかく仕事に全力投球する毎日を送っていました。ただ、社会のことを知る余裕もないまま、目の前の業務だけに没頭していたんです。だから、会社に行けなくなった瞬間に「自分はもう何もできない」「人生が終わってしまった」という強い絶望感に襲われてしまった。

そうしたなかで、社会学や哲学の本、小説などを読み、さまざまな映画に触れることで、少しずつ自分の視野が広がり、「それまで自分が当たり前だと思っていた働き方や価値観を、一度見直してみてもいいのではないか」と考えるようになったんです。

今まで知らなかった世界に触れ、自分の中にあった価値観が広がったことで、「これまでと同じやり方で頑張らなくてもいいんじゃないか」と思えるようになり、そこから体調が回復していきました。

大きく伸びる市場に身を置くことの重要性

── 体を壊さない程度に働けるとしたら、どのような働き方の工夫が必要だったとお考えですか?

30代に入りかけた頃、藤田さんに「30代になったら、少し働き方を考えたほうがいいよ」と言われたのを覚えています。

20代は自分がどれくらい働けるのか、どこまで頑張れるのかを把握するために、がむしゃらに走り抜けていいと思うんです。もちろん無理のしすぎはよくないですが、自分の限界を少しずつ広げていくことで、できることも増えていきます。

特に私の場合は、20代からプレイヤーとして仕事をしていたので、「自分はどれくらいの仕事量をこなせるのか」というのを体感として掴むことができました。そうして自分のキャパシティを広げていった延長線上に、チームマネジメントや管理職へとステップアップしていったのだと思います。

しかし、プレイヤーからマネージャーへと立場が変わると、自ずと働き方の本質も変わってくるのです。

自分一人で成果を出すのではなく、人を動かして、チームとして成果を出さなければいけなくなる。そうなると、今度は「自分がどれだけ働けるか」だけではなくて、「自分のキャパシティにどれだけ“余白”を残した状態で成果を出せるか」ということが重要になってくるんですよ。

── もし新卒に戻るとしたら、どんなことをやりたいですか。

今の自分だったら、AIに対して本気で取り組んでいる会社や先進的なスタンスを持っている会社に入ると思います。私自身のキャリアを振り返ってみても、ファーストキャリアとしてIT業界に飛び込めたのは本当に幸運だったと感じています。ITは当時も、そして今も伸び続けている分野であり、他の分野よりも成長の幅が大きいからです。

「伸びている分野」の近くで働くことはチャンスが巡ってくるだけでなく、自分自身も成長でき、賃金も上がりやすい。藤田さんも「上りのエスカレーターに乗っているようなもの」とよく言っていますが、まさにそうだと思います。最初にどの分野に飛び込むかによって、その後の成長スピードや幅が変わってくるからこそ、今の自分が新卒だったとしたら、AI領域を選ぶと思います。

AIを本気で活用させてもらえる会社に入るでもいいし、AIを使って仕事をする側に行くでもいい。あるいは、AIそのものをつくる仕事に挑戦するのでもいい。大事なのは、大きく伸びていくAI領域の環境に飛び込んでいく勇気だと思います。

伸びている市場に身を置くだけでも、その後のキャリアの可能性はかなり変わってくるのではないでしょうか。

未経験から「AIを作る人」になるための3ステップ

── AI業界を選ぶのは間違いないと思うんですけど、具体的に何から始めればいいか教えてください。

AIとの関わり方について、私たちは大きく3段階あると考えています。まずステップ1は「AIを使ってみる」段階です。例えばChatGPTやGeminiに相談してみたり、何かを調べてもらったりするところから始まるので、今は多くの方がステップ1には入っていると思います。

次のステップ2が、「AIで仕事をしてみる」段階です。自分の業務をAIで効率化してみるとか、チームの仕事の仕組みそのものをAI化してみるなど、実際の業務の中にAIを組み込んでいくフェーズです。そのためにはAIの性能や仕組み、エージェントがどう動くのかを知ることが必要になります。

「AIを知る」という意味では、もちろん学習することも大事なんですけど、私はそれ以上にChatGPTやClaude、Geminiなど、さまざまなAIを使ってみることが大事だと思っています。

いろんなAIを実際に触っていると、それぞれのAIの得意不得意や自分との相性がわかり、感覚的に理解が深まります。そこから、エージェントを自律的に動かす仕組みの理解へとつながっていくわけです。

そして、ステップ3は「AIを作る」段階です。AIを仕事に活かすだけでなく、AI自体を作る仕事に挑戦するイメージです。まずは使ってみることから始め、ある程度使いこなせるようになってからエージェント化へと進み、最終的にはAIを作る側にステップアップしていく。

これが、私たちの考えるAIとの関わり方です。

時間と場所に縛られない働き方が求められる理由

── 普段、20代の方と接する機会も多いと思いますが、自分たちの世代と感覚が違うところは何かあったりしますか。

20〜30代の女性は、働き方のサステナビリティを求めている方が多い印象ですね。共働きが一般的になっている中で、結婚や子育てを考えた時に、あまりに仕事がハードだったり、時間や場所に縛られていたりすると、ライフステージが変わったときに持たない。そこは、男性も女性もかなり現実的に考えるようになっていると思います。

だからこそ、「リモートワークができる働き方を身につけたい」「場所や時間に縛られずに働けるスキルが欲しい」という方が以前よりも増えているんですよね。

さらに最近の傾向として、キャリア意識や年収の高い女性たちが、AIを学び始めるケースも急速に増えてきています。今の仕事にプラスしてAIのスキルを身につけ、将来的にはリモートでも働けるようにしたいというニーズが非常に高まっているのを感じますね。

<構成/古田島大介 撮影/星 亘>


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