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2026.10.26 16:00

「働く=義務」から「誰かを喜ばせる体験」へ…地域と若者をつなぐ起業家が明かす“キャリアの原点” 


「就活は自分を評価される場だ」「面接官にウケる自分を作らなきゃ」。そんなふうに肩に力が入りすぎて、息苦しさを感じていませんか。もし、働くことが誰かに採点される義務ではなく、温かい出会いと感謝に満ちた心躍る体験の連続だとしたら——。

現役大学生が自ら運営する就活メディア『脱力就活。(毎週日曜よる9時〜/ShibuyaCross-FMにて放送中)』。そのコラム版となる本連載では、番組のシナリオディレクターを務める加瀬優花氏が、過去放送を振り返りながら、番組が就活生に届けたかった想いやメッセージを改めて言葉にしていきます。

今回の『脱力就活。まがじん。』では、旅先でお手伝いをしながら地域の人々とつながるマッチングサービス「おてつたび」を展開する、株式会社おてつたび代表取締役CEOの永岡里菜さんをゲストに迎えます。「誰かの役に立つ喜び」という働く原点に触れながら、自分らしいキャリアの描き方を考えていきます。

「どこそこ?」と言われる地域に、「お手伝い」という目的地を作る

今回のゲストは、株式会社おてつたびの代表取締役CEOを担当されている永岡里菜さんです。

「おてつたび」は、学生の「お金がないけれど旅をしたい」という悩みと、地方の「魅力はあるのに人手不足」という課題を解消するマッチングサービスです。旅行者は地域で農業や宿泊業などの「お手伝い(仕事)」をして報酬を得ながら、滞在して旅を楽しむことができます。

友人たちから「どこそこ?」と不思議な顔をされる地域にこそ、面白い発見や温かい出会いが隠れています。そうした場所に「お手伝い」という目的地を作り、暮らす人々と深く関わる。共に汗を流すからこそ見えてくる景色があり、気づけばそこが自分にとっての「特別な地域」になっていく。それが「おてつたび」の提案する新しい旅の形です。

「もっとたくさんの人が日本各地に気軽に出かけて、地域に入り込み、日本の愛おしいほど豊かな魅力を知るきっかけを作りたい」

そう語る永岡さんがサービスを立ち上げた背景には、ご自身の原体験がありました。永岡さんの故郷は、東京から約6時間かかる三重県尾鷲(おわせ)市。著名な観光名所が少なく、周囲に伝えてもピンとこない方が多い地域だったそうです。

しかし、一度足を運んで時間を過ごせば、土地に溢れる魅力や人の温かさが必ず伝わるはず。そう確信していた永岡さんは、日本各地に眠る「まだまだ知られていない魅力的な地域」へ人が訪れる仕掛けを作りたいと考え、事業を立ち上げました。

「働く」をポジティブな体験へと変えていく

自身の原体験や「地域の魅力を伝えたい」という思いをビジネスの形にして活躍されている永岡さん。彼女のお話をスタジオで聞きながら、私は「おてつたび」が「働く」という言葉の入り口をポジティブなものに変えていると感じました。

就活を目前に控えた学生たちと話していると、「働く=やらなくてはいけない義務」といったネガティブなイメージを抱いている場面によく遭遇します。

実は永岡さんご自身も、「学生のときは『働く』ということに対してあまりいいイメージがなかった」と振り返っていました。ですが、社会に出て働き始めてから「働くのってすごく楽しい」と捉え方がガラリと変わったそうです。

「働くって、目の前の人が喜んでくれるようなことをすること。そして、働くことは自分1人ではできないからこそ、いろんな人と助け合いながら絆が生まれていく過程がすごく楽しいんです」

笑顔で語ってくれたこの言葉に、働くことの本質が詰まっています。見知らぬ地域でお手伝いをして「助かったよ、ありがとう」と感謝の言葉をもらう。仕事のあとに、地元の方々と温かいご飯を囲みながら笑い合う。そうした体温の通った経験は、「働くこと=人とのつながりや新しい喜びを生み出すポジティブなもの」だという確かな実感を与えてくれます。

働くことは決して、苦痛を伴う義務ではありません。自分の行動が誰かに喜ばれ、人と深くつながり合えるきっかけを生み出す、とても豊かな営みなのです。

旅を通じた出会いが、人生の選択のヒントになる

家と学校の往復の中だけで過ごしていると、出会える大人や生き方の選択肢は限られてしまいます。就活においても、有名な企業や親が安心するような「わかりやすい正解」ばかりを目で追ってしまうのは、仕方のないことかもしれません。

しかし、「おてつたび」を利用してさまざまな地域を訪れてみると、そこには想像を超える多様な世界が広がっています。エリートコースのレールや「こうあるべき」という固定観念にとらわれず、自分らしく健やかに暮らしている魅力的な大人たちにたくさん出会えるのです。

実際におてつたび先で出会った地域の方々に、キャリア相談をしている学生さんも多いと聞きます。「こんな生き方や働き方があっていいんだ」という新鮮な驚きが、彼らの人生の選択に大きなヒントを与えているのでしょう。

自分の「好き」を信じ、事業という形にして歩んできた永岡さんだからこそ、番組の最後に就活生へ届けてくれたメッセージには、深い説得力がありました。

「就職活動には絶対的な正解はありません。どれを選んでも正解だし、そのためには自身の『納得感』が重要です。迷うことも多いと思うけれど、『おてつたび』もうまく活用してみてください。地域での多様な出会いを通して『いろんな人生があっていいんだな』と知っていただけたら嬉しいです」

地域での偶然の出会いや汗を流した体験が、自分の意思でキャリアを選び取っていくための大きな道しるべになっていくはずです。

自分にしか歩めない「納得のいく人生」を探す旅へ

就職活動は決して、自分の価値を誰かに採点されたり、企業が用意した正解の型に無理やり合わせたりするためのものではありません。自分がどんなときに喜びを感じ、誰とどんな環境で過ごしたいのか。自分自身が「これでいいんだ」と心から納得できる働き方を、じっくりと見つけていくためのプロセスです。

誰もが知っている有名な企業に入ることだけが、豊かな人生とは限りません。あなたが「この仕事は素敵だな」「この人たちと一緒にいると楽しいな」と思える瞬間や、心から信頼できる大人との出会いの中にこそ、大切なヒントが隠れていると思います。

もし今、就活に行き詰まったり、将来のキャリアに漠然とした不安を感じて迷ってしまっているなら、まずは一度、深呼吸をして肩の力を抜いてみてください。「脱力」することでしか見えてこない景色が必ずあります。そして『おてつたび』のように、今まで知らなかった新しい場所や温かい出会いへ、思い切って一歩踏み出してみるのも素敵な選択肢の一つです。

周りの目や「こうでなければならない」という固定観念にとらわれる必要はありません。焦らず、自分のペースでいい。いろいろな世界を見て、いろいろな大人と話をして、自分自身が本当に納得できる、自分にしか歩めない唯一無二の人生を、少しの脱力とともに楽しみながら探していきませんか。

この記事を書いた人
加瀬優花
『脱力就活。』シナリオディレクター
“若者の街”渋谷で、現役大学生が制作する日本一易しい就活メディア『脱力就活。』。毎週日曜よる9時~渋谷クロスエフエムから生放送しているラジオ番組。MCは就活を何も知らないインフルエンサー、週替わりに企業ゲストをお招きし、働き方や生き方についてをゆるっと学びます。

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