「夢を語れない経営者なんている意味ない」すべての起業家が知っておくべき”社長の本質的な仕事”
自身も学生起業の経験を持ち、数多くの大企業で経営参謀を務めてきた株式会社サクラサク代表取締役・山崎伸治氏が、次世代を担うZ世代経営者の悩みに答え、ともに将来を切り開いていく「Special Mentor」。
今回の相談者はするのは、全国のコミュニティFMと連携しながら番組制作やウェブメディア支援事業を手がける、株式会社Heart Station代表取締役・藍田真優氏。
価格設定の迷いや社長としての真の役割、ラジオが持つ地域連携のポテンシャルを巡る問いに対し、山崎氏が事業の核となる考え方をわかりやすく提示していきます。

価格は「二次利用のバリュー」で決まる
山崎:今どのようなことで悩んでいますか?
藍田: 月額10万円でラジオ番組の制作と動画コンテンツをセットで提供しているんですが、この価格設定が正しいのかどうか、正直自信が持てなくて。
山崎: 価格って何で決まるかというと、お客さんがその値段でいいと思ったらその値段でいいし、高いと思ったら間違っているということなんですね。すごくシンプルだと思っていて。
藍田: ラジオって他の広告媒体と比べると、メディアパワーの面でどうしても不利な気がしていて、そこがネックになっているんです。
山崎: でも、ラジオだからこそ距離が近い会話ができる。その模様が動画で収まっているということ自体にむしろ意味があるような気がして。ラジオでこれだけの人が聞いていますよで戦うよりも、クライアント企業さんがそれをコンテンツとして二次利用されるときのバリューで値段は決まるような気がしているんです。
藍田: 二次利用のバリューで価格を考える、ということですね。では、具体的にどうやって価値を高めればいいでしょうか?
山崎: 出口から逆算して動画を作るべきだと思います。15分番組だから15分のものを取って納品して終わりではなくて、目的が採用なのか、ホームページなのか、販促なのか、それぞれに応じて1分動画に編集したものも付けて3種類渡すとか5種類渡すって言われたら、え、そのまま使えるの? めっちゃいいじゃんってなる。
藍田: 用途別に編集して複数パターンを渡す、ということですね。
山崎: そう。さらに権利関係をクリアにした上での納品であれば、価格をもっと引き上げられます。ホームページだとか採用で使えるように編集までしてくれて、そのまま使えるようにしてくれるなら倍でもいいかなという感じ。どこまでカスタマイズするかで値段は変わってくる。

「夢を語り、決断し、責任を取ること」が社長の仕事
藍田: 経営者として現場のパーソナリティ業務も続けていて、社長にしかできない仕事って何なのか、正直まだよく見えていないんです。
山崎: これはすごくシンプルで、まず一つが夢を語ること。社員に対して、お取引先に対して、お客さんに対して、銀行さんに対して夢を語る。夢を語れない経営者なんている意味ないでしょう。夢に共感して社員さんも集まってくださるし、お客さんも買ってくださるし、お取引先さんも支援してくださるわけだから。
藍田: 夢を語ること、ですか。他にはどんなことがありますか?
山崎: 決断することから逃げないこと。AIがどれだけ進化したって最後の決断は経営者。社員さんがどれだけ優秀であったとしても、最後の決断は経営者なんです。楽天の三木谷(浩史)さんのような超トップの方でも、ここは俺が見るとおっしゃっているところがある。やはりそういうものだと思っていただいて。
藍田: 決断と、あとは責任を取ることでしょうか。
山崎: そう。そして四つ目が、撤退基準を明確にしておくこと。撤退基準がないまま事業を進めてしまうケースが多い。いけるかいけないかよくわからないとなったときでも、これをクリアできなかったら引かなければならないという基準を明確に持っているかどうかは、経営者にとって勝つか負けるかの大きな差になる。
藍田: 撤退するとなったとき、どう動けばいいんでしょう?
山崎: 負けるとかあかんとか思ったら、もう全力で引き返せということ。徳川家康は、脱糞しようが何しようがとにかく逃げたらしいというのがあって、それは彼に俺にはもっとやることがあるという、視座の高さと自分への期待感があったから。自分さえ生きていればなんとかなるという気概を持って、勇気ある撤退をすること。これはすごく大事なことで、本質中の本質ではないかという気がします。
藍田: 現場からはどこまで離れるべきでしょうか。
山崎: 一ミリも離れたらあかん。お客さんの声をほかの人に任せて満足できるようなら経営者をやめたほうがいい。一次情報は必ず自分で取りに行くと決めていて、投資するとか支援するという企業も必ず向こうの本社まで行って、現場でどんな仕事をやっていて、どんな工場か全部見て、社長と飲む。部下からのレポートだけで終わらせない。
藍田: 現場との兼務って、経営者として不安になることも多くて……。
山崎: 経営者なんてそういうもの。自信とかは最初からみんなないし、どれだけ結果を出しても不安ですよ。そんなもの完成されることはないんだから、全然心配しなくていい。

ラジオの強みは「クローズドなワン・トゥ・ワンメディア」
藍田: 自社で制作した番組を他局に横展開したり、獲得したクライアントの記事を他局のウェブメディアに掲載したりという事業を展開しているんですが、改めてラジオである意義って何だと思いますか?
山崎: ラジオってやっぱり耳から直接入ってくるから、自分に直接語りかけられている感が一番の特徴だと思っていて。パーソナリティとリスナーの一対一の関係がベースにあることが強みだから、リスナー一人一人に語りかける型のコンテンツとして、商品を案内するときにどんな順番で語りかけると自分だけに言ってくれていると感じるのかをすごく考えたほうがいいと思う。
藍田: ワン・トゥ・ワンの感覚を大切にすることが重要なんですね。
山崎: それともう一つ、ラジオはクローズドメディアであるということ。テレビはまだかろうじてマスな感じがするけれど、ラジオはもう選びに行っている。マスメディアの形を取りつつ、きちっとクローズドメディアであるというところこそがラジオの魅力だから、そこを逆手に取ることが大事。
藍田: 地域連携型のビジネスとしてはどう活かせるでしょうか?
山崎: 例えば、「富山マニア」みたいなものをラジオ主体でクローズドにやりながら、同じような活動をしているユーチューバーと提携してコミュニティを広げていくとか。地域情報を囲いつつ広げていくというところにラジオの特徴が生きる。ラジオのパーソナリティがイベントをやるとめちゃくちゃ集まるから、そのパワーを活かしていかに地域のマニアックな情報を広げるかを考えると特徴が出る。
藍田: ラジオとYouTubeや推し活のようなメディアとの連携も面白そうですね。
山崎: ラジオの持つ可能性はめちゃくちゃ信じています。マスメディア的な生き方ではないところとラジオが結びついたほうがおもしろい。ユーチューブだとか推し活だとか、そういった今生まれてきているメディアと連動しながら、いかに地域のこのコミュニティを深めていくかということに思いを馳せると、これからの時代にむしろ合っていくのではないかという気がします。今日はありがとうございました。
藍田:ありがとうございました。

本記事でご紹介した対談の様子を、動画でもご覧いただけます。
記事だけでは伝えきれない「現場の熱量」を感じてみてください!
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Future Leaders Hub 編集部 