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2026.06.15 16:00

共同代表は「9割5分が失敗する」…それでも2人で経営を続けるために“絶対に不可欠なルール”


自身も学生起業の経験を持ち、数多くの大企業で経営参謀を務めてきた株式会社サクラサク代表取締役・山崎伸治氏が、次世代を担うZ世代経営者の悩みに答え、ともに将来を切り開いていく「Special Mentor」。

今回の相談者は、株式会社想結び代表取締役CEO・関春樹氏。まちづくり会社を経営しながら、「町がなんとなく良くなったと言ってもらえる世界」を目指して活動する若き経営者。共同代表制の難しさ、そして売上からの逆算では見えにくいソーシャルインパクト重視の事業計画について、山崎氏が率直なアドバイスを届けます。

「ワクワクの起爆剤」と「なんとなく良くなった」という哲学

山崎:改めて、人生のゴールとビジネスのゴール、そして得意なことを教えていただけますか。

関:人生のコンセプトは「ワクワクを創造する、起爆剤になる」ということです。目の前で喜んでいる人がいると、自分自身がとても楽しくなる。そして、自分がアクションしたことによって相手がワクワクしてくれる環境を作りたい、という思いがあります。

ビジネスのゴールは「町がなんとなく良くなったと言ってもらえる世界づくり」です。この「なんとなく」がとても大切で、私たちのアクションの効果範囲は一部であることも多い。でもそれが徐々に派生して、水滴が落ちて波紋のように広がっていく。その「なんとなく」が広がったときが成功だと思っています。

山崎:素晴らしい考え方ですね。歴史を振り返っても、時代が変わったのは一人のスーパースターが変えたのではなく、ファーストペンギンのように飛び込んだ人の影響を受けて次々と人材が現れ、大きく動いていく。そういうムーブメントだったはずです。

得意なこととして「他力力」をおっしゃっていましたが、これもすごく共感できます。相手を動かすのはすべて義務の精神だと私は思っていて、スタートアップによくある「大企業のリソースを使わせてほしい」というテイクからの発想ではなく、「御社をこう変えられます」と言えるかどうか。そこに根本的な哲学をお持ちであることは本当に素晴らしいと思います。

共同代表制は「9割5分が失敗する」、それでも残る5分に…

関:弊社は共同経営者がいて、代表取締役が2人いる会社です。私はロジカルな考え方をするのですが、相手はアーティスト的な感性を持っていて。だからこそ惹かれているのですが、規模が大きくなるにつれてお互いが自立して動くようになり、相手が何をしているか分からない部分が出てきました。共同経営ってよく失敗すると言われますが、うまくいく共同経営とはどういうものなのでしょうか。

山崎:私が上場させた会社も、副社長二人は中高の同級生でした。13歳からの友達と29歳で起業したわけです。友達と一緒に経営をやって成功した側の人間として言いますが、確率論的に見ると9割5分は失敗すると思っています。

ただ、その確率を乗り越えて成功できたときの喜びは倍増しますし、安心して背中を任せられる感覚というのは、友達だからこそ得られるものでもある。一方で、共同代表同士はさらに難しい。代表権を2人が持つということの重さは相当です。

関:私たちは出会って半年で共同経営を始めたんです。共通の知り合いの居酒屋で地方創生について熱く語っているやつがいて、そいつが今の共同経営者です。ただ、最近は友情を通り越した関係になってきている気がしていて、ビジネスのときは本当にぶつかり合うし、連絡も取り合わなくなるくらい喧嘩もします。でも、信頼できる相手だからこそ背中を任せられる。ただ、アーティスティックな相手が何を考えているか分からないときがあって、それが不安なんです。

山崎:パートナーとしては良い関係だと思うので、進んでいかれたらいい。ただ、不安があるというのはやはりコミュニケーション不足だと思います。私は副社長2人と、忙しくなってからも定期的にちゃんと飲んでいます。社員の前では語れないこともある。それをぶつかり合って人と人として向き合うことをサボると絶対にだめです。

私がドライに接していたときに、副社長から「自分はもう必要ないと思っていた」と言われたことが何度かありました。その経験から、「いつもありがとう」という言葉をちゃんと伝えることの大切さを痛感しました。

もう一つ大切なのが、お互いが意見を譲らなかった場合のルールを事前に決めておくことです。分野によって優先権を分けるのか、2人が一致しなければやらないというルールにするのか。これを事前に決めておかないと、そのときになってから考えるのでは遅い。

関:ミッション・ビジョン・バリューに反することはやらないというルールは持っています。

山崎:そのレベルではほとんどずれない。問題はお互いが真剣に会社の成長を考えているときにこそ意見がずれるということです。ミッション・ビジョン・バリューは共有されているのに、具体的な施策で割れた場合にどうするか。そこを決めておくことが重要です。

3人目の経営者より「言いにくいことを言ってくれる」外部の目

関:もう一つ相談があります。創業2期目で来月で3期目になるのですが、3人目の経営者が必要なのかどうか悩んでいます。2人ともビジョンを先行して打っていくタイプなので、それを現場に落とし込む役割の間に誰か一人入れた方が良いかもしれないと感じていて。社内から育てるべきか、外部から入れるべきか。

山崎:こういう人が必要だという役割設計から入らない方がいい、というのが答えです。この人だったらやれるのではないか、という人ありきで考えるべきです。

同じテンションで、同じレベルで、同じ責任感で経営を背負える人というのはそう簡単にいるものではありません。テンションが一段低い人を経営の中に入れると、どこまでその人を立てつつ付き合えるかという問題が生まれる。

私がおすすめするのは、圧倒的なノウハウを持つ2人に対して正々堂々と文句の言えるアウトソーサー、つまり経営顧問や経営参謀のような外部の専門家です。プロを雇うのはコストが高いように見えて、いろんなコストを考えると圧倒的に安い。

雇用した人間は、どうしても「雇われた側」という意識が生まれます。対等な関係にはなりにくい。それよりも、切ろうと思えば切れるし、こちらを切れる立場にもあるような人が「それは違う」と直言してくれる。そういう外部の目を持っている組織の方が強いと思います。社内から自然にそういう人材が育ってくるのは素晴らしいことですが、それを「育てよう」と意図してやるのは少し違う気がします。

ソーシャルインパクトの数字を自分たちで定義する

関:もう一つ、事業計画についても聞かせてください。弊社はソーシャルインパクトを重視する会社なので、売上からの逆算で事業計画を作ると、どうしても違和感があります。ただ、私自身がサラリーマン時代に税理士法人にいたこともあって、売上からの逆算の方がしっくりくるというのも正直なところで。

山崎:事業計画を作る目的によって内容を変えればいいと思っています。銀行取引や投資家から資金を調達するためであれば、彼らにとって分かりやすい事業計画を作ることはコミュニケーションの一つです。それはそれで割り切って作ればいい。

ただ、地方創生というのは売上や利益で振り回されるものではないと私は思っています。ソーシャルインパクトとは何かというと、例えば、地域に住んでいる方の幸せの合計値なのか、関係人口の合計なのか、帰ってくる人の数なのか。いろんな指標が考えられます。

だから、地方創生の新しい形として「本当の意味でのソーシャルインパクトを示す数字はこれだ」と自分たちで定義してしまって、それをベースに計画を作る。そのうえで、銀行や投資家のために翻訳した事業計画を補助的に作ればいい。

関:今まさに売上以外のところで数字を作っていたのですが、それが正しいのかどうか自信が持てなかったんです。すごくしっくりきました。

山崎: 数字の集め方は社長の手の内にあります。借り入れでも、自ら稼ぐでも、投資家から集めるでも構わない。ただ、それをやらないのはだめです。夢を語るならお金を用意しろ、ということです。

その集め方や説得の仕方は、自分の魂の声に耳を傾けて進んでいけばいい。周りがいろんなことを言ってくる。謙虚に「ありがとうございます」と受け止めながらも、自分の信じた道を進む。それが経営者というものです。ただ、一旦は受け止めること。「あのときのアドバイスが正しかった」と後からわかる経験は、私自身にも何度もありました。

共同代表の最終決定をどう設計するか?

関:最後にもう一点、共同代表での最終責任の置き方について教えてください。最終責任者が曖昧になることへの不安があって。

山崎:権限と責任はセットです。権限があるのに責任を取らないというのは論外で、誰かが決める権限を持つなら、その人が責任を取る。分野で分けるのか、時期で分けるのかは問いません。ただ、決め方のルールだけは明確にしておくこと。

最終的に2人で責任を取るというのもあります。ただ、それは実際にはとても難しいことです。だからこそ、分野ごとにどちらが最終的な権限を持つのかを決めておくことを強くおすすめします。

関:ありがとうございます。

本記事でご紹介した対談の様子を、動画でもご覧いただけます。
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Mentor
山崎 伸治
株式会社サクラサク 代表取締役
京都大学経済学部卒業後、長銀、米系大手戦略コンサル、ベイン&カンパニーを経て起業し、上場を経験。現在は有名大企業の経営顧問を15社歴任するかたわら、25社以上のスタートアップに投資・成長支援を行うなど、“経営のプロフェッショナル”として活躍。


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