「欲しいのはおもちゃじゃない、鉛筆だ」——学生団体ASANTE PROJECTが貫く、徹底した“現地主義”の原点
「ESG&well-being」連載第6回は、前回に引き続き『SDGs AWARD for University 2026』決勝進出団体による寄稿レポートをお届けします。学生たちが自らの筆で、活動の最前線にある「熱狂と葛藤」をありのままに綴ります。
今回登場するのは、タンザニアの教育支援に取り組む学生団体『ASANTE PROJECT』。
「おもちゃより、ノートが欲しい」——現地で突きつけられたこの言葉が、彼らの活動の原点となりました。良かれと思った支援が、時に現地のニーズと乖離してしまう現実。言葉の壁や予期せぬトラブルに翻弄されながらも、一方的な「支援」を超えた「対等なパートナーシップ」を築こうとする、泥臭くも真摯な挑戦の軌跡が描かれています。
海を越えたタンザニアの地で、理想と現実の狭間に立ちながら彼らが見つけた「真の貢献」とは? 国境を超えて共に豊かさを創るためのヒントを探ります。
届けたかったのは、現地が本当に必要とするもの

私たちの団体は東京支部が主に上智大学、大阪支部が大阪大学の学生で構成されています。タンザニアの教育支援を目的に、民間の幼児/初等教育施設の政府認可獲得に向けた建設支援を行っており、主にSDGsゴール4(「質の高い教育をみんなに」)に貢献することを目指しています。
創立のきっかけは、創立者の稲川雅也がタンザニアでのボランティアに参加した際に、その支援団体が寄付しているものと現地で本当に必要とされているものとのギャップを感じ、より現地の子ども達のためになる活動をしたいと思ったことです。当時寄付していたおもちゃに対し、現地の先生が本当に必要としていたのは鉛筆やノートでした。
私たちの理念は、「現地のニーズを最優先に」「持続的かつ将来性のある支援を」「学生の力で社会に変化を」の3つで、設立当初より大切にしているものです。
学生だけの直接交渉。お金とニーズに向き合う日々
私たちは半年に1回、希望者によるタンザニア渡航を行いますが、毎回初めてアフリカ、タンザニアに行くメンバーもいます。慣れない環境に学生だけで渡航し、コーディネーター役の現地ボランティア団体と協力して、学校のニーズや必要な支援を話し合い、金額の交渉・調整まで行うため、うまくいかないこともあります。
現地団体の調整や通訳といったサポートを得ながら、英語と拙いスワヒリ語を介して先生たちとの話し合いや、滞在期間中のやり取りを行っています。すると、日本語、英語、スワヒリ語と複数の言語を介するため、意図がうまく伝わらなかったり、異なった意味で解釈されたりすることもあります。その際は、表現を工夫し、コーディネーターと何度も話し合うことで、お互いの意図を正確に理解できるよう調整してきました。
また、渡航前には前回渡航したメンバーからの情報や、コーディネーターから伝えられる学校の状況、先生方の要望を元に、事前計画や資金準備を行います。しかし、実際に現地で学校の様子を見たり、先生方と話したりすると、状況がまったく変わっていることもあります。そうした際は、過去の渡航メンバーや先生方と十分に話し合って現状と必要な支援を再確認し、メンバー同士やコーディネーターと意見を交わしながら、計画や資金分配を再考します。
さらに、渡航前に現地の知識を学んでいきますが、実際に訪れると想定と異なることも少なくありません。言語や文化に不慣れな私たちは、渡航中、多くの人々に助けられながら過ごします。支援をするために現地へ行ったはずが、逆に助けられる場面の多さに気づかされるのです。
私たちは活動を通して、理念の一つであるニーズの重要性とその確認、そして渡航メンバーやコーディネーター、各学校の先生方との対話がいかに大切かを学びます。また、現地活動を通して、私たちは一方的な支援者という立場ではなく、パートナーシップのように、助け、助けられる、相互協力の関係を知ることができるのです。
未来を拓く、私たちの「次の一手」

私たちはこれまでの活動に加え、今後は多分野・多世代とつながる団体を目指します。
具体的には、これまで行ってきた商品制作を基盤に、BASEを活用したインターネット販売を再開し、支援の輪を広げます。さらに、小学校でのワークショップや他のアフリカ系団体とのコラボレーションを継続・拡充し、タンザニアについて知っていただく機会を増やしていきます。
タンザニアへの「無関心」を「関心」に変え、共感者・協力者の輪を広げ、教育支援を持続可能なものにしていきたいです。
Future Leaders Hub 編集部 