妊娠6か月で動脈出血、離婚、4人の連れ子を育てた女性起業家が、それでも「チャレンジは全部宝物になる」と言える理由
「すべてはきっかけ。ちょっとしたきっかけで、人生が180度変わるということを、私自身が体験したんです」
そう語るのは、株式会社ウェルスクリエイション代表の吉田愛美さんです。セミナー運営、複数企業の顧問・コンサルティング、海外講師の招聘、さらには国際的な交渉の場での「公証人」まで、その活動領域は一言では語り尽くせません。
38歳、5人の子どもを持つシングルマザー。昨年には孫まで誕生したという、まるで映画のような人生を歩む彼女が、どのようにして今の自分をつくり上げてきたのか、一つの確信が見えてきました。
人生を変えたニューヨークでの出会い
11人兄弟の長女として生まれ、ホームスクーリングで育った吉田さん。大家族を支えながら過ごした10代は「自分の人生の選択肢」を考える余裕などなかったといいます。
「起業とか、自分で会社を持つとか、そういう発想はまったくなかった。いい人を見つけて結婚して、大家族みたいな感じかなって、ほんとシンプルで」
そんな彼女の世界を一変させたのが、20歳の頃に参加した世界的に有名なコーチングセミナーでした。知人に誘われ、半ば勢いでニューヨークへ。アンソニー・ロビンズ氏のセミナーに足を踏み入れた吉田さんは、セミナー内で火渡りにも挑戦し、最後には「自分には可能性がある」という感覚を生まれて初めて身体で感じたといいます。
「『世界が広まった』という感じでした。論理的に説明できないんですが、スイッチが入ったようなスーパーアンビリーバブルな状態が起きていて」
帰国後、彼女は100万円を超える海外のリーダーシップ研修に申し込む決断をします。当時は貯金もなく、関わっていた会社の社長に直談判し、給与からの天引きで立て替えてもらうという、周囲からすれば無謀とも思える選択でした。
しかし、その「圧倒的な確信」は本物でした。その後、セミナー運営会社に入社し、半年ほどで全国5都市のイベント統括ディレクターへと急成長。年間300本のセミナーを取り仕切るようになります。

「ウィンウィンウィン」が継続的なビジネスを生む
現在の吉田さんの仕事を一言で表すなら「きっかけをつくる人」です。
複数企業の顧問として国内外のビジネスをアドバイスする一方、海外コンテンツを日本市場へ持ち込みたい企業の交渉に「通訳兼公証人」として同席することも多いといいます。
英語力と15年以上のセミナー運営経験、そして問題解決力が買われ、キリマンジャロの登山ワークショップにも帯同。現地スタッフとの金額交渉から、参加者のサポートまでを担いました。彼女が交渉の場で常に意識するのは、「ウィンウィンウィン」という哲学です。
「交渉の中で、うちの取り分だけを考えていたら、継続的なビジネスは生まれない。相手のことも、参加者のことも、みんながやってよかったと思えるような形を探すんです」
「成功メソッドがあるわけではない」と吉田さんは笑います。現場で相手のレスポンスを見ながら、何を大切にしているのかを丁寧に読み解き、お金以外の「価値」で折り合いをつける。そのプロセスはいつも、「家族みたいな感覚」で双方に接することから始まるといいます。
「Aさんの代理で交渉しているのに、Bさんからも『あの人は私たちのことも思ってくれている』と思ってもらえることが多くて。それがうまくいく秘訣なのかもしれません」
人のためにしてきたことが返ってくる
吉田さんの人生には、事業の成長だけではなく、命に関わる経験もありました。
7〜8年前、妊娠6か月の時期に医療ミスが重なり、動脈から出血するという危機的な状況に陥りました。通常であれば脳へのダメージが避けられない事態でしたが、偶然にも体内のしこりが血流をせき止め、命をつなぎとめたといいます。
「赤ちゃんを優先してください、私の命は大丈夫だからって、ほんと映画のシーンみたいに思ったんです」
無事に退院し、出産を終えた数か月後には全身麻酔の手術も乗り越えました。生まれた息子は4312グラムという大きな体で誕生し、慶應義塾大学病院で「巨大ベイビー」と記録されたほど。その後、元夫と離婚することとなり、アメリカへ帰国した際には元夫の4人の連れ子を引き取り、シングルマザーとして育て上げてきました。
試練が続く中でも彼女が折れなかったのは、「人」の支えがあったからだと話します。手術中、多くの人々から祈りやエールが届いたといいます。
「私の人生は、人のためにしてきたことが返ってきて、波及効果が生まれているという感じ。すべてはきっかけからの始まりで、それはいつも人との出会いがつくってくれたと考えています」
諦めずに没頭して、海外へ行って、人に頼れ

「今の時代は情報が多すぎる」と彼女は言います。SNSによって比較や評価が日常化し、一歩踏み出すことへの恐れが増している。しかし、彼女が若いころに経験した手紙を書いて知人からお金を集め、ニューヨークへ飛んだあの決断はまさに「やってみる」ことの力そのものでした。
「チャレンジなことや大変なことは、全部宝物になる。その経験が価値につながって、価値はいずれビジネスにすることができる。だからチャンスを恐れず、諦めずにい続けることが何より大切です」
また、自分のパターンを見つめ直すことも重要だと強調します。飲み会や惰性の付き合いを続けることで生まれる「都合のいい居心地」は、心の声が「やめるべき」と知っている状態のまま続く関係でもある、と。
「心の声には従うべき。それには勇気が必要だけれど、その決断を迫られたとき、ついてきてくれる人こそ本当の仲間だと思います」
さらに、若いうちに海外へ出ることを強く勧めます。16歳で訪れたインドで目にした現実、キリマンジャロで感じた自分の悩みの小ささ。そういった体験が、人生の視野を根本から変えてくれるといいます。
「日本は守られた国です。海外に行くと、自分がどれだけ恵まれているかがわかります。ビジネスをするなかでは、感謝の気持ちがない人は成功できないと思います。そしていつか、その体験がきっかけとなってビジネスや人生につながっていくはずです」
最後に彼女はこう付け加えました。「ビジネスの相談をするときは、正しい人に相談をすること。実際にビジネスで成功している人、そしてあなたを本気で応援し、キツくてもリアリティーを伝えてくれる人に相談をすることがすごく重要です」
今年9月には、ジェイ・エイブラハム氏を招いた大規模イベントを主催する予定で、その準備費用は約1億円に上るといいます。採算への不安を正直に明かしながらも、「宇宙は祝福してくれると信じています」と笑う吉田さん。きっかけを作り続けること。それが、彼女の人生そのものです。
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Future Leaders Hub 編集部